酒匂隆雄の畢生の遊楽三昧 sakoh

糸の切れた凧。

2022/03/29

ドル・円相場の騰勢が止まらない。

まるで糸の切れた凧の様な上がりっぷりである。

昨日の東京市場では日銀が”このところの長期金利の動きを踏まえ、10年金利の操作目標をゼロ%程度とする市場調節方針をしっかり実現する様に努める。”として無制限の国債オペを通告した為にドル買いが台頭し、あれよあれよと言う間に3円以上も急騰して125円台に乗せた。

日銀のお役所言葉を平たく言うと、”最近、国債10年物の金利がイールド・カーブ・コントロール上限の0.25%近くまで上昇しているので、0.25%で無制限に国債を買って金利がそれ以上上がらない様にします。”と宣言したのだ。

確かに先週10年物国債は0.245%まで上昇しており、一部には昨今の物価の上昇を受けてもしかして日銀が一時的にせよ0.25%以上の金利上昇を認めるかも知れないとの憶測が有ったが、大方の予想通りにオペを通告したのだ。

市場はもしオペを行わないで金利上昇を容認したら円高に振れると予想していた。

片や政策金利の0.5%の利上げをも容認し、10年物債券利回りが2.5%になろうとしている間、もう一方は政策金利をゼロに固定し、10年物債券利回りが0.25%を超えることはまかりならんと宣言したのだから、ドル・円相場が更なる上昇を続けるのはごく自然な動きであろう。

拡大し続ける日米金利差、悪化し続ける日本の国際収支、ゲーム・チェンジによるリスク・オフ時の円買いの動きの終焉などを見ると、ドル・円相場が何処まで上昇するのか見当も付かない。

只、チャート見ると売られ過ぎ、買われ過ぎを示すストキャスティクスは明らかに買われ過ぎを示している。

年初、暫くレンジの高値であった116.34を付けた時にもストキャスティクスは天井に張り付いて買われ過ぎを示していたが、その後ドル・円は113.47まで下落した。

天井に張り付いていたストキャスティクスは、125円台から123円台への下落で本日は多少下げて来ているが、依然としてドルが下がっても不思議ではない様相を呈している。

テクニカル分析はあくまでも参考にするに留めるべきだと思うのだが、昨今はテクニカル分析を重視して売買の指示をするAI.の活躍は無視出来ない。

市場はアベノミクスによる円安誘導で2015年6月に付けた125.85を意識しだしたが、上で述べたテクニカルな観点からの反落や、123~125円のストライクで買われた大量のドル・コール・オプションの利食いのドル売りにも留意したい。

ストップを入れてのドル買いポジションの保持か、下がったら買うBuy on dips.の戦略が

有効であろうか?

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プロフィール

さこう・たかお
酒匂隆雄

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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