酒匂隆雄の畢生の遊楽三昧 sakoh

偉いこっちゃ!

2024/04/17

先週、ドル・円相場が152円のオプション・バリアをいとも簡単に破り、その後米国長期金利の上昇と共に更に上昇速度は衰えず、昨日のニューヨーク為替市場では高値154.78を付けた。

市場は何時為替介入が出るかと固唾を飲んで見守っているが、固唾を飲むどころか、息を潜めて成り行きを見守っている人達が居る。(皆さんはそうでないことを祈ります。)

以前、海外から“ミセズ・ワタナベ。”と揶揄された我が国個人投資家であるが、34年ぶりのドル高&円安の現在、果敢にドルの売り持ちを抱えているのだ。

先週152円を上切った時点で損切りのドル買いを行って、今はポジションは奇麗であろうと思ったが、昨日発表になったレポートを見ると、ドル急上昇の引き金となった先週の米国3月の消費者物価指数(CPI)前日の4月9日時点の”-6億ドル”から昨日時点で”-11億ドル”に売り持ちを増やしているではないか?

下は年初からの公表されている我が国個人投資家のポジションであるが、彼らは所謂“逆張り。”を好み、相場が下がれば買い向かい、相場が上がればそれを売って利食うと言うパターンを好む。

以下は相場とポジション変化の説明だが、

日付ポジションドル円相場ポジション変化の説明
1/3+9141.99前週の142.31から下がったから
ドルを買った。
1/90144.2ドルが大きく上がったから喜んで利食って
ポジションはゼロになった。
1/16+2145.78ドルが更に上がったから
再び恐る恐るドルを買った。
1/23-2148.13ドルが大きく上がったから喜んで利食って
ポジションをショートに転じた。
1/30-1147.5ドルが少し下がったので利食って
ポジションを小さくした。
2/6-5148.68ドルが上がったが150円は超えないと思って
ショートを増やした。
2/13-6149.35更にドルが上がったが150円は超えないと思って
ショートを増やした。
2/20-4150.14150円を超えたので損切りのドル買いを行ったが
未だショートをキープ。
2/27-2150.70更にドルが上がったので損切りのドル買いを行ったが
未だショートをキープ。
3/5+1150.51もう我慢出来なくなって
ロングにドテンした。
3/12+7146.94ドルが大きく下げたので買い下がって
大きくドルロングに転じた。
あーあ、ドル・ショートを持っていれば良かった。
3/19-1149.16ドルが再び上がったのでロングを利食い、
逆にショートに転じた。此処から苦難が始まる
3/26-7151.42ドルが再び150円を超えて152円に迫ったが、
介入を信じて大きくドル・ショートを増やした。
4/2-6151.64介入を信じてドル・ショートで我慢。
4/9-6151.85依然として、我慢。早く介入が出てくれ!
4/16-11154.27152円で介入が出ず、154円台に乗ってしまった..どうしよう..

とまあ、こんな具合である。

個人的には154.50辺りに来ると介入が出る可能性が高いと思ったが、実は現在は円安ではなくドル全面高であり、我が国財務省にとって“円安を止める為。”の介入はやり難いと思われる。

ワシントンに於いて、今日から明日の予定でG20.財務省・中央銀行総裁会議が開催される予定で、その間の介入は難しかろう。

このドル高で多額のドル建て債務を抱える多くの新興国が経済的危機に瀕しており、G20.の集まりでドル高是正についての話が行われる可能性は高いのではないのかなと思っている。

介入が有るとしたら、その後かな?

介入しないと(今までの口先介入が)馬鹿にされるし、介入して余り効かずに円安が進むと此方も馬鹿にされるし、さあ困ったぞ!

今は大きなリスクを取る状況ではないので、気を付けて参りましょう。

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プロフィール

さこう・たかお
酒匂隆雄

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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