酒匂隆雄の畢生の遊楽三昧 sakoh

介入は出たか?

2023/10/11

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この1週間、ドル・円相場が149円を挟んで膠着状態に陥っている。

先週1週間アメリカに滞在していたが、10月3日(火)の朝にイリノイ州シカゴからウィスコンシン州サンドヴァレーに移動中の午前9時(日本時間午後11時)過ぎにふと為替相場を見ると、それまで150円台近くで取引されていたドル・円相場が148円台半ばで取引されているのを見て驚いた。

その少し前の午前9時に、最近になって注目を集めだした8月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数が市場予想の880万件を大きく上回る961万件と発表され、長期金利上昇と共にドル・円相場は高値150.15を付けていた。

そしてその数分後に150.08からあっと言う間に安値147.31迄急落して、市場は“すわ、介入か?”と身構えた。

筆者も恐らく介入が入ったのだろうと思ったが、今回の動きについて鈴木財務相は”為替介入があったかどうかは答えない。為替介入の公表は総合的に判断して決定する。”ととぼけ、為替介入の責任者である神田財務官は、“為替介入の有無についてはコメントを差し控える。”とこちらも煮え切らない言葉で濁した。

介入の有無は翌日の日銀当座預金残高の予想と民間短資会社の推計に基づく試算からおおよそ見当が付くが、今回はそのずれが小さくて、“介入は行われなかったのではないか?”との憶測が高まった。

では何故3円近くの急落が起きたかと言うと、そもそも150円越えを見て市場が介入の可能性について疑心暗鬼でびくびくしている時に大口のドル売りオーダーが出され、アルゴリズムやAI.が一斉にBid.(買いオーダー)を引き揚げてストップロス(損切りの売り注文)が執行されたとの説が流れた。

昨年、3回ドル売り&円買い介入が行われたが、1回目は9月22日の東京時間17時30分過ぎに2兆8382億円(約195億ドル)介入して相場は145円台から140円台へと急落、2回目は10月21日の東京時間23時30分過ぎに5兆6202億円(約370億ドル)介入して相場は151円台から146円台へと急落、そして止めの3回目は10月24日の東京時間8時30分過ぎに7296億円(約49億ドル)介入して149円台から145円台へと急落した。

昨年の3回で計9兆1880億ドル(約614億ドル)の大規模介入が行われたが、我が国政府・金融当局のみならず米財務省までもが介入を認めた。

筆者は今回、“24時間、365日為替相場を注視している。”と豪語する神田財務官が3日の雇用動態調査(JOLTS)求人件数の発表後に150円台を付けた直後に、小額(4500億円=30億ドル)の介入を一部の邦銀ニューヨーク支店を通して行ったのではないかと推測している。

鈴木財務相は“特定のレベルを意識している訳ではない。”と言うが昨年の介入実績を見ると、明らかに150円を意識している事は明白である。

神田財務官は、“過度の変動に対しては、これまで通りの方針で臨んでいる。”と強調して、急激な円安進行があった場合には為替介入を辞さない姿勢を改めて示した上、“1日の動きが過度でなくても、一方向に一方的な動きが積み重なって一定期間で非常に大きな動きがあった場合、それは過度な変動に当たりうる。”とも述べてある意味で150円台での介入を正当化させた。

我々が現役の頃は為替介入の事を“お化け”と呼んで、何時出るか出ないか分からないが、出ると怖いと言う敬意を払っていた。

今回のドル・円の急落について市場では、“介入ではなく、単なるレートチェックでしかなかった。”とか、“いや、少額ではあるが、実弾介入が有った。”と憶測が飛ぶが、これで良いのだと思う。

市場を益々疑心暗鬼にさせることで一方的な円安の動きを遅らせることが出来ればそれで良かろう。

遅らせると言ったのは、米長期金利(10年債利回り)が高止まりする中、ドル買い&円売りの動きはある意味仕方無い事であり、何れ起きる日米金利差縮小の動きまでロケットの発射台を低くしておけば良い。

言い換えれば、介入でドル高&円安の動きを鈍らせてドルの高値到達を遅らされることが出来ればそれで良いのだ。

先週は9月の雇用統計の発表が有り、失業率は市場予想より1ポイント悪い3.8%で

あったが、非農業部門雇用者数が市場予想の+17万人を大きく上回る+33万6千人となって11月のFOMC.での利上げの可能性がそれまでの五分五分から再び高まったが、今週は9月の米CPI.(消費者物価指数)の発表が有る。

市場予想は7月の+3.2%から+3.7%へと上昇した8月よりも1ポイント低い+3.6%を予想するが、数字如何によっては波乱が有りそうである。

米長期金利上昇によるドルの堅調地合いが続くか、それとも介入警戒が功を奏して150円近辺が当面のドルの天井となるか見ものである。

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プロフィール

さこう・たかお
酒匂隆雄

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
YouTubeチャンネル「酒匂塾長チャンネル」開設。

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