酒匂隆雄の畢生の遊楽三昧 sakoh

菅さん、大丈夫?

2020/12/23

日曜日の日経新聞に”菅首相が財務省に対してドル・円を100円以下には行かせるなと言った。”と言う記事が掲載され、これが海外でも話題になり筆者のところにも照会が相次いだ。

ドル・円介入についての知識を持たない人はびっくりしたであろうが、筆者はあほくさいと一蹴した。
そもそもドル・円介入は日本政府・日本の財務省の一存では決められないし、こんな記事見たらバイデンさんきっと怒るに違いない。

我が国の最後のドル・円介入は2011年の東日本大震災の折に投資家が”我が国の機関投資家が海外の債権を処分してレパトリ(円への回帰)をする。”と言う間違った思惑で82円台からドルを売り浴びせて76円台まで急落した時に行われたが、あの時は日米政府共に”急激なドル安&円高進行は未曽有の天災に遭った日本経済にとってマイナスである。”との共通認識が有ったが、今は違う。

ドルは年初から対ユーロ、対豪ドルで約9%下落しているのに対して対円では約5%しか下落していない。

市場はバイデン政権が財政支出拡大を行い、FRB.が金融緩和姿勢を続ければドルが下がるのは自然であると解釈しており、ドル・円相場の100円と言うレベルは何の意味も持たない。
市場は2011年~2012年、安倍政権がアベノミクスを掲げて金利安&株高を演出する前は80円前後で安定していたことを忘れている。

そして筆者は2013年にドル・円相場が95円を上切った時にアメリカの政策当局者の一人が”100円を超えることは許さない。”と言った事を覚えている。
その後2015年には125円を超えるドル高&円安となったが、市場には”日銀が超金融緩和政策を続けているんだから円安進行は仕方ない。”と言う雰囲気が有った。
そして余り為替相場のレベルに関しての話は聞かれなくなった。

さて、いみじくも米財務省は先週16日、貿易で有利になるよう意図的に通貨を切り下げているとして、対米貿易黒字を膨らませるベトナムとスイスを「為替操作国」に認定した。2011年以来為替介入を実施していない我が国は為替操作国としては認定されてはいないが、依然として「監視リスト」に指定されている。
この様な状況で我が国がドル買い&円売り介入を行うことが出来ると菅首相が考えているのは滑稽としか思えない。

週末に行われた世論調査によると菅内閣の支持率が39%まで急落したらしい。
“Go to トラベル”への後手後手に回った対応や、我々には”大勢で集まるな。”と言っておきながら自分ではステーキ屋で仲良しがつるんで集まるとか、テレビ番組で”私がガースーです。”とお笑い芸人よりも下手なギャグで受けを狙うなど、どうも危うい。。

神奈川2区を地盤とする菅さんを神奈川県民として応援していたのだが、大丈夫かいな?

この人、直ぐに謝るから未だ可愛いところがある。
頑張って下さい!

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プロフィール

さこう・たかお
酒匂隆雄

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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