酒匂隆雄の畢生の遊楽三昧 sakoh

口先介入。

2020/07/29

ドル・円相場が105円の大台を下切った。

昨日付けた安値は104.96であったが、流石に心理的なサポート・レベル(下値抵抗線)であった105円を切ってもそのまま下がって行かないのは値頃感で買い戻す人達が居るからである。

今朝の東京市場で9時になった途端に海外の投機筋からドル売りが持ち込まれて104.95まで下げたが、我が国の為替政策を司る財務省から”相場動向を注視している。”とのコメントが出て、すかさず105.24まで切り返した。

(ドル・円相場の本日午前6時からの10分ローソク足)

市場では財務省からの”口先介入”と一瞬身構えたが、彼らにはそんな意図は無い。

我が国は歴史的に円高アレルギーでちょっと円高になると騒ぐ傾向にあるが、これはその昔我が国が大きな貿易黒字を抱えて円高が景気の足を引っ張るという妄想に駆られていた頃の話で、今は違う。

今は我が国の貿易収支は赤字である。

貿易収支が赤字と言う事は円高はむしろ歓迎すべきことであり、財務省が”相場動向を注視している。”からと言って、どうってことはない。

為替ディーラーの端くれの筆者だって今でも相場動向は注視しているさ。

そして上がると思えば買うし、下がると思えば売ってお小遣いの足しにしている。

市場はこのレベルから財務省が何かをする(例えばドル買い&円売り介入)とは思っていないから、ドル・円相場は直ぐに反落して今は105円のちょい上で取引されている。

一昨日、中国絡みの地政学的リスク増大は株価下落とドル売り&円買いを加速すると述べたが、未だ終わった訳ではない。

3月のコロナ騒ぎの時を除いて今まで何度か105円の壁で突っ返されてきたので多少のリバウンドは有ろうが、夏に向けてのトレンドは更なるドル安&円高であろうと思う。

(今年に入ってからのドル・円相場日足ローソク足)

まあ、一旦ここら辺で利食って戻ったところを売り戻しますか?

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プロフィール

さこう・たかお
酒匂隆雄

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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