たっしーが教える、中国株なら俺に聞け!! tashiro

11日の上海総合指数は2.61%安、金融政策不発で失望売り!!

2022/04/11

中国株投資家の皆さん、こんにちは。

11日(月)の上海総合指数は安寄り後、終日売りに押される展開となりました。

終値は2.61%安の3167.13ポイントで引けています。

農業関連、物流、小売の一角が買われました。

一方、不動産、半導体・部品、電力設備、自動車、国防軍事などが売られました。

11日(月)の創業板指数は4.20%安となりました。

11日(月)の上海50指数は2.70%安となりました。

先週末の上海総合指数は、預金準備率引き下げなどの金融緩和期待の高まりから戻していました。

しかし、週末、何の発表もありませんでした。

11日に相場が崩れてしまった最大の要因は政策に対する失望だとみています。

金融緩和期待が広がった背景には景況感の悪化があります。

その悪化を助長しているのが、長春市、上海市などで実施される異常に厳しいゼロコロナ対策です。

4月10日現在の発病ベースの本土新規感染者数は1164人で、9日よりも154人少なく、減少傾向にあります。

一方で、陽性反応を示したものの症状のない新規感染者数は2万6345人で、9日よりも1309人増えています。

また、上海市の無症状の感染者数は2万5173人で圧倒的多数を占めています。

発病ベースでも上海市は914人で長春市の102人を上回っています。

一見すると大変な数字と見えなくもないですが、全国ベースでも死亡者は引き続きゼロです。

風邪ですら高齢者は肺炎にかかり、亡くなられることが少なくないのに、これは一体どうしたことでしょうか。

先週も指摘しましたが、想像を絶する数の検査を極めて短い時間で行っているのですが、どうやったらそんなことができるのでしょうか。

その方法がわからない以上、結果を素直に信じることはできません。

新エネルギー自動車の新興メーカーでニューヨーク、香港に重複上場する蔚来集団(NIO、09866)は9日、「3月以来、新型コロナ禍のため、吉林省、上海市、江蘇省などのサプライヤーが生産停止を余儀なくされており、現段階で復旧のめどが立っていない。このため、組み立て工場の生産は止まっており、ユーザーへの納車期限に遅れが出ている」といった公告を出してます。

更に10日には、「原材料価格上昇の影響で、5月10日以降、主力製品について値上げを行う」と発表しています。

株価は▲11.44%下落しています。

こうしてミクロベースではっきりとゼロコロナ対策の影響が出てきてしまうとマーケットはどうしても動揺してしまいます。

もう一度、10日における発病ベースの患者が出ている地域を詳しく示しておきます。

上海市が914人、吉林省が187人、広東省が19人、福建省が9人、江蘇省が7人、陝西省が7人、そのほか、山東省、海南島、四川省、安徽省などでも感染者(発病ベース)が出ています。

この中で輸出産業として重要なのは広東省ですが、もし、広東省でも上海市並みに感染者が増え、長春市のような破壊的なゼロコロナ対策が行われたとしたら、輸出産業は大きなダメージを受けることになります。

資源、農産品の価格が上昇していますが、中国からの多方面にわたる輸出品目で需給ひっ迫による価格上昇が起きれば、日米欧経済は危機的状況に追い込まれかねません。

もちろん、内需にも大きな影響があるわけですから、中国国内も大変ではありますが、長春市のとんでもないゼロコロナ対策を市民に強要して従わせるだけの統制力が中央にはあります。

また、生活に必要な物資は全国に分散して存在するので、実生活への影響はそれなりでしょう。

中国の感染状況、それに対する当局のゼロコロナ対策は非常に奇怪です。

今後、米国が台湾への政治的な介入を強めるのであれば、中国は必ず報復するはずです。

台湾を軍事的に攻撃すればそれこそ米国の思う壺なので、中国としては最後まで避けるはずです。

中国は経済面から米国に圧力をかけ、政権を揺さぶろうとするでしょうが、米国の中にいる中国と関係の近い貿易、金融産業に恨みを買わないようにバイデン政権一派を攻撃しようとすれば、「中国も被害者です」といった形をとれる新型コロナ禍を利用したやり方が一番利口なやり方だと思いますが、どうでしょうか。

本土市場については、景気動向、新型コロナ禍、ゼロコロナ対策がネガティブ要因で、当局の政策、特に金融政策がポジティブ要因です。

しばらくの間、相場は強弱材料の間を揺れ動き、不安定な値動きが続きそうです。

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プロフィール

たしろ・なおき
田代尚機

中国株アナリスト
1958年生まれ。愛知県出身。大和総研、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立、TS・チャイナ・リサーチ(株)を設立。現在は生活の拠点を中国に移し、日本と中国を行き来しながらフリーランスとして活動中。マスコミ、金融機関や、個人投資家向けに情報提供を行っている。大和総研勤務時代に1994年から9年間、北京に駐在、中国経済、個別企業の調査を担当。それ以来、中国経済、企業に関する情報提供をライフワークとしている。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
【著書】
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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