たっしーが教える、中国株なら俺に聞け!! tashiro

17日のハンセン指数は7.04%高、大きく巻き戻す!!

2022/03/17

中国株投資家のみなさん、こんにちは。

 17日(木)のハンセン指数は高寄り後、一旦戻り売りに押されたものの投資家の買い意欲は旺盛です。

商いを伴って上昇、終値は7.04%高の2万1501.23ポイントで引けました。

17日(木)の中国企業指数は7.52%高で引けました。

参考として、2022年以降の主要4指数の値動きを示しておきます。

御覧の通りの急騰です。

ハンセン指数はこの2日間で16.8%上昇しています。

その要因は主に2つあります。

一つは日本のマスコミでも伝えられているように、3月16日午後に行われた国務院金融発展委員会による会議の内容です。

足元の経済情勢と資本市場の問題を検討するための専門会議でした。

金融政策、海外上場中国概念株、プラットフォーム経済の管理、不動産など、現在、市場で関心を集めているホットイシューに関する内容満載の会議でした。

香港市場に直接関連する部分では、”香港金融市場の安定に関して、本土、香港、両方の監督管理機関が関係を強化して協力して行う”としています。

本土市場はしばしば、政策発動のみならず、当局のいろいろな形での介入で上げ下げするのですが、今後は香港も同じような動きをするようになるかもしれません。

本土株式市場は安定が重視されています。

過去のバブルの発生、崩壊で、価格安定に苦労した経験から、まず、大きく動かさないこと、初動で動きを抑えることが重視されています。

実質的に、多様なルートでの安定化工作が行われていますが、香港もそうした形での安定化が期待できるかもしれません。

アメリカSECは3月10日、「ヤムチャイナ(YUMC、09987)が2020年12月に成立した外国企業説明責任法に定めたSECベースでの監査に応じてないとして、上場廃止の危機に直面している」と発表しました。

中国当局が欧米系監査法人による直接的な内部監査を認めないことから、273社が上場廃止リスクがあるとしています。

アメリカによる中国企業外しは、機関投資家にとって香港株を含め中国株を所有する際の大きなリスクと映ります。

弱気になった投資家にショートで攻める投機家が加わったことで、14日、15日の香港市場は大きく崩れました。

今回の会議では、「海外に上場する中国概念株に関して、現在米中双方の監督管理機関が良好な交渉ルートを保持しており、具体的な協力案形成に向けて、積極的に取り組んでいる。中国政府はいろいろな形態の企業が海外に上場することを引き続き支持する」と強調しました。

これが、足元の”巻き戻し”の最大の要因だろうと思います。

そのほか、”プラットフォーム経済の健全な発展を促進する”とか、”しっかりと第1四半期の経済を振るい立たせるために、金融政策を主体とし、新規貸出の増加ペースを適切に高めるなど、共産党中央委員会が決定した政策を必ず実行する”とか指摘しています。

要するに、”金融当局は足元の株価下落を憂慮している。経済政策、産業政策、資本市場政策など多方面から政策を打ち出し、株価下落を防ぐ”と言っているのに等しいのです。

もう一つの要因は少し大きな話ですが、ドル一極支配構造が崩れる可能性がみえてきたという点です。

ダウ・ジョーンズ通信は15日、消息筋の話として、「サウジアラビアは現在、中国に対する石油販売に関して人民元を使うことを検討している」と伝えています。

これは、世界最大の石油輸出国がアジア向け業務に重心を移すこと、グローバルな石油市場において主導的な地位を持つドルの力が弱められることを示唆しています。

1990年頃にはアメリカは、サウジアラビアから1日当たり200万バレルの石油を輸入していたのですが、2021年12月のデータでは50万バレルを下回ってます。

また、唐突にアフガニスタンから撤退するようなアメリカの外交政策に不満があるようです。

サウジアラビアは既に、中国寄りの国に変わっています。

ウクライナとの戦火の中、ロシア政府は、制裁によって金融システムが受ける影響を減じるために、ルーブル-人民元間の相互取引の強化を検討しています。

また、本土メディアによれば、「先日、インド中央銀行とロシア、中国政府はドルに対する過度の依存を減らすために、3か国における通貨協力を如何に強化するかを検討した」と伝えています。

アメリカがロシアをSWIFTから排除したこと、ロシア中央銀行の海外資産を凍結したことは、改めて各国にドル依存のリスクの高さを再認識させました。

オフショア市場の人民元対ドルレート(香港オフショア)をみると、11日以降一旦、人民元安に振れていたのですが、16日日以降、再び人民元高方向に戻しています。

今回の切り返しで、人民元高トレンドが維持される可能性が高まりました。日本円対ドルレートが円安方向に進んでいるのとは対照的な動きです。

アメリカについて、制裁を科したい政治筋と金融筋とは決して遠い関係ではないでしょうが、中国に関しては利害が対立します。

中国が商売になるグループがアメリカ内部にあることを意識しておいた方がよいでしょう。

人民元高トレンドが変わらない限り、香港市場、本土市場の下値は限られるとみています。

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プロフィール

たしろ・なおき
田代尚機

中国株アナリスト
1958年生まれ。愛知県出身。大和総研、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立、TS・チャイナ・リサーチ(株)を設立。現在は生活の拠点を中国に移し、日本と中国を行き来しながらフリーランスとして活動中。マスコミ、金融機関や、個人投資家向けに情報提供を行っている。大和総研勤務時代に1994年から9年間、北京に駐在、中国経済、個別企業の調査を担当。それ以来、中国経済、企業に関する情報提供をライフワークとしている。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
【著書】
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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