たっしーが教える、中国株なら俺に聞け!! tashiro

10日のハンセン指数は1.27%高、5日ぶりの反発!!

2022/03/10

中国株投資家のみなさん、こんにちは。

 10日(木)のハンセン指数は高寄りしたものの上値は重く、戻り売りに押される展開となりました。

終値は1.27%高の2万1106.57ポイントで引けました。

10日(木)の中国企業指数は0.92%高で引けました。

参考として、2022年以降の主要4指数の値動きを示しておきます。

4指数のチャートについて、今回から基準取引日を1年新しくし、2021年最終取引日の終値を100としました。

昨年のハンセン指数は、恒大集団のデフォルト懸念、共同富裕の促進によるIT企業に対する管理強化、バイデン政権による前政権とは違った角度からの対中強硬策などを嫌気して、他の3指数をアンダーパフォームする展開が続きました。

主に3つの悪材料があったのですが、それが今年に入り、恒大集団のデフォルト懸念については国内金融市場にほとんど影響を及ぼさないことがはっきりしてきました。

残りの2つについても、一旦織り込まれ、それ以上の売り材料とはならなくなりました。

人民元対ドルレートは人民元高に傾き、中国の人民元建て国債が買われるなど、中国への資金流入が顕著となり、そのことが香港市場にも追い風となって年初から相対的に強い動きとなりました。

しかし、それもロシアのウクライナ侵攻で一変してしまいました。

市場が予想する以上にバイデン政権が強い制裁を打ち出し続けたことで、欧米機関投資家がリスク回避を強めた結果、香港市場も大きく売られることになました。

直近の下げが厳しく見えるのは、年初から見れば上げていたからで、その部分が一気にはげ落ちた感があります。

9日の欧米市場は大きく反転しています。

ウクライナの与党である「国民の奉仕者」は8日、NATOがウクライナ加盟を今後15年は認めないだろうといった認識を明らかにしました。

ロシアが要求する中立化をウクライナが受け入れる可能性が出てきたことで、停戦までの道筋が見えてきました。

ウクライナ情勢の悪化により原油先物価格が急騰し、直接的にはそれが国際市場における最大の悪材料となっていたのですが、9日の石油先物価格、欧州天然ガス先物は急落しました。

国際エネルギー機関(IEA)加盟国は先日宣言したよりも多くの原油備蓄の放出を行うと発表したり、アラブ首長国連邦(UAE)がOPECプラス産油国による生産規模拡大を支持すると発表したことなどが急落の要因です。

10日に発表されるアメリカの2月のCPI次第では状況がさらに動きそうです。

ちなみに、市場予想は前月と比べ0.4ポイント高い7.9%です。

グローバル市場については、やや明るさが出てきましたが、本質的な問題、バイデン政権の支持率回復を目指した海外強硬策が続く限り、潜在的なリスクは消えません。

8日のニューヨークタイムズによれば、レイモンド商務長官は、アメリカの対ロシア輸出規制に違反する中国企業に対して、製品の製造に必要なアメリカ製装置、ソフトウエアの供給を止める可能性があると警告しています(8日、ロイターより)。

一方、日本ではほとんど報道されませんでしたが、中国の米国批判は厳しさを増しています。

たとえば、8日の外交部記者会見では、趙立堅報道官はアメリカがウクライナで生物兵器を開発していた疑惑に関して次のように伝えています。

・・・最近、アメリカのウクライナにおける生物ラボが各方面から高度な関心を集めている。

報道によれば、こうした生物ラボでは大量の危険なウイルスが保存されている。

ロシアによる軍事行動によってアメリカがこうした設備を利用して生物軍事計画を展開しようとしていたことが明らかになった。

アメリカのウクライナにおける生物軍事活動は氷山の一角である。

アメリカ国防省は、生物によるリスクを削減し、グローバルな公共衛生を強化するなどといった名目で、全世界30か国で336の生物ラボをコントロールしている。

アメリカの真の意図は何か。

アメリカだけがこの20年来、「生物武器禁止公約」査察メカニズムを作ることに反対し、国内外の生物施設の査察受け入れを拒否している。

我々はアメリカに対してこうした生物軍事化活動について全面的にはっきりさせ、多面的に査察を受け入れることを催促する・・・

非常に気持ちの悪い話です。

毎日のように繰り広げられる多面的な対米批判のほとんどが日米のマスコミから無視されています。

中国は欧米によるロシアへの制裁には断固として反対しています。

こんな状態ですから、米中関係は非常に厳しいといわざるをえません。

アメリカ政治筋の暴走が香港をはじめ、国際金融市場に大きなリスクをもたらしています。

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プロフィール

たしろ・なおき
田代尚機

中国株アナリスト
1958年生まれ。愛知県出身。大和総研、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立、TS・チャイナ・リサーチ(株)を設立。現在は生活の拠点を中国に移し、日本と中国を行き来しながらフリーランスとして活動中。マスコミ、金融機関や、個人投資家向けに情報提供を行っている。大和総研勤務時代に1994年から9年間、北京に駐在、中国経済、個別企業の調査を担当。それ以来、中国経済、企業に関する情報提供をライフワークとしている。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
【著書】
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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