たっしーが教える、中国株なら俺に聞け!! tashiro

28日の上海総合指数は1.13%高、寄り付き天井!!

2023/08/28

中国株投資家の皆さん、こんにちは。

28日(月)の上海総合指数は寄り付き天井、ほぼ安値引けといった展開となりました。

終値は先週末終値比1.13%高の3098.64ポイントで引けました。

セクター別では、不動産関連、建材、石炭、証券、保険などが買われました。

一方、通信サービスの一角などが売られました。

28日(月)の創業板指数は0.96%高となりました。

28日(月)の上海50指数は1.32%高となりました。

28日の上海総合指数は前営業日比5.1%高で寄り付くといった極端な高寄りとなったのですが、その後は下げ続け、大引け間際に少し戻したものの、ほぼ安値引けとなりました。

両市場合計の売買代金は1兆1266億4900万元で、先週末比47%増と大商いとなりました。

寄り付き前に大きなポジティブサプライズがありました。

財政部、国税総局は27日“証券取引印紙税の徴収を半減させることに関する公告”を発布、これにより、28日の取引分から印紙税(売却時のみ徴収)が現在の0.1%から0.05%に引き下げられることになりました。

また、証券監督管理委員会は27日、資本市場活性化政策を発表しました。

具体的には、株価がIPO価格を割り込んでいたり、PBRが1を割っていたり、直近3年間無配もしくは累計支払い配当額が3年間の平均純利益の3割に満たないような企業について、株式を50%以上所有していたり、実質的にコントロールできる決議権を持つ株主に対して、市場での売却を禁止しました。

そうした株主のいない企業については、筆頭株主などが対象となります。

そのほか、需給悪化を防ぐために、IPO、増資の抑制も行うようです。

また、信用取引倍率について、9月8日の大引け後、100%から80%に引き下げるそうです。

それぞれの効果についてですが、まず、印紙税の引き下げは、投資家サイドからいえば、あまり大きなコストダウンにはなりません。

というのも、たとえば零細投資家などは現在でも売り買いともに0.27%の売買手数料を要求されています。

もちろん、資金量が100万元を超えていたり、取引経験の長い投資家に対する手数料は印紙税よりもずっと安いでしょうが、日本のネット証券のようにゼロとはいきません。

そもそも、日計り取引の禁止されているA株市場では、現在の印紙税率は株価変動リスクと比べ十分小さいと言えるでしょう。

大株主に対する売買制限は、急落を防ぐ意味では効果があると思います。

過去に、株価が下がり出すと、大株主が売り逃げするといったことが頻繁にあり、それで中小型株から相場が崩れたといった経緯が何度もあるからです。

ですが、自社株買いを強制させるわけではないので、株価を直接引き上げる効果はありません。

一方、信用取引倍率の引き下げは資金量を増やすという点で一定の株価引き上げ効果はあるでしょう。

現在、ほとんどの証券会社が10万元、あるいは20万元を信用取引の最低保証金額としています。

たとえば、50万元を一つの口座で運用している投資家が信用取引を申請、50万元の資金をすべて株式で所有していたとします。

現在、代用有価証券の換算率は70%ですから、現行制度では35万元まで信用取引を建てることができるのですが、今後はその限度額が43万7500元まで引き上げられることになります。

信用買残高が増え続ける過程では株価の引き上げ効果があるでしょう。

ただ、25日の信用買残高をみると1兆4694億5800万元でした。この日の新規買い建ては442億8500万元、売り埋めは540億500万元といったレベルでした。

この日の売買代金は両市場合計で7662億9200万元でしたので、その効果はそれなりでしょう。

こうして細かく考えてみると、それぞれの効果が決定的にマーケットの回復につながるというほどではありません。

当局がこれ以上の株価下落、特に急落を放置したりはしない、株価を安定させたいと考えているからこうした救済策を打ち出しているのであって、当局のその姿勢を投資家は強く意識したからこそ、寄り付きから大きく買ってきたのです。

もっとも、これらはこれまで何度も行われてきた政策です。

2015年6月から9月の急落時に、同様の政策がもっと強力に打ち出されたのですが、その際には大きな反動がありました。

大株主の売買制限が解除された2016年1月には再度、暴落が起きたのです。

もう8年も前のことですが、ベテランの投資家はこの時のことを覚えており、政策により株価を支えるのは決して簡単ではないことをよく理解しています。

ですから、急騰した段階で、大量の売りが出て、チャートは大きな陰線を付けています。

重要なのはこれから当局はどんな新しい政策を打ち出してくるのかという点です。

高いキャッシュポジションを持ちつつ、証券の急騰に備えたいところです。

ちなみに、本日の証券株、例えば中信証券(600030)はストップ高で寄り付いていますが、大引けでは1.54%高まで上げ幅を縮小させています。

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プロフィール

たしろ・なおき
田代尚機

中国株アナリスト
1958年生まれ。愛知県出身。大和総研、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立、TS・チャイナ・リサーチ(株)を設立。現在は生活の拠点を中国に移し、日本と中国を行き来しながらフリーランスとして活動中。マスコミ、金融機関や、個人投資家向けに情報提供を行っている。大和総研勤務時代に1994年から9年間、北京に駐在、中国経済、個別企業の調査を担当。それ以来、中国経済、企業に関する情報提供をライフワークとしている。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
【著書】
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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