中国株投資家のみなさん、こんにちは。
28日(木)のハンセン指数は僅かに高寄り後、前場は売り買い交錯となりました。
後場に入ると売りに押されそうな場面もありましたが下値は堅く、終値は0.28%安の2万5555.73ポイントで引けました。
28日(木)の中国企業指数は0.45%安で引けました。
参考として、2021年以降の主要4指数の値動きを示しておきます。
28日の上海総合指数は3日続落、1.23%下落しています。
本土市場の地合いの悪さが香港市場にも影響しています。
国家発展改革委員会は27日、石炭メーカーが価格を吊り上げ、暴利を得ていると、どのような基準で判断すべきなのかについて、連日、経済、法律などの専門家や、石炭、電力の企業、業界団体の関係者を招き、会議を行ったと微信を通じて公表しました。
エネルギー価格を市場による自由な価格決定メカニズムに任せておけば、供給サイドの非道徳的行為によって急騰してしまい、社会に悪影響を与えると当局は考えています。
当局が価格決定メカニズムに対して手を加えようとしていることが伝わると、コークス、石炭、動力用石炭などの昨日夜取引の先物価格が軒並みストップ安となりました。
これが原因となり、28日の商品先物価格が崩れ、それが本土株下落の要因となりました。
社会主義国家の立場から言えば、市場は万全ではなく、度々「市場の失敗」が起きるので、価格メカニズムについて当局が十分に注意しながら適宜、機動的に介入すべきだということです。
しかし、欧米のほとんどの市場参加者たちは、「市場は万全ではないが、政府がそれをコントロールするのは難しく、介入は最小限にすべきだ」と考える人々でしょう。
ですから、当局による市場介入の効果には懐疑的です。
当局は不動産市場に介入し、不動産ディベロッパーを粛清したり、自社の利益ばかりを考えるハイテク、ゲーム、教育関係の企業などに対して厳しい行政指導を行ったりしています。
こうした「市場は万全ではない」という前提での当局の政策に対して、欧米の機関投資家たちはどうしても拒否反応を示しがちです。
本土マーケットに連れ安したというよりかは、体制の違いに違和感を覚え、市場介入がもっと頻繁になり、経済、企業業績、株価形成が自分たちの予想の付きにくい形になることを恐れているのではないでしょうか。
ハンセン指数の動きをみる限り、そうした懸念はまだ大きく広がってはいませんが、こうした政府の市場介入が続けば投資家離れが起きかねません。
米中関係についてですが、アメリカ連邦通信委員会は26日、チャイナテレコム(00728)のアメリカでの事業免許を取り消しました。
国家安全保障上の問題だということです。
チャイナテレコムの収益基盤は、ほぼ国内なので、業績への影響は軽微でしょう。
ですから株価もほとんど反応していません。
27日の株価は少し下げましたが、28日は1.47%上昇しています。
ブリンケン国務長官は27日、サイバースペースとデジタル政策を担当する組織を新たに国務省内に立ち上げると発表しました。
この件については中国本土でも報道されています。
中国ハイテク企業を排除する動きを助長するのではないかといった懸念があります。
ただ、それ以上の具体的な話は何もないので、市場関係者はそれほど強く意識はしていないとみられます。
その他の悪材料としては、不動産絡みで当代置業のドル建て社債が25日にデフォルトした件があります。
ただ、不動産については、最悪の場合、たとえばCITIC、招商局、華潤、光大といった中央系の投資会社でも、資本関係を超越した行政権、人事権などを通してしっかりとコントロールできる国有銀行、地方系列の都市銀行などを使い、債権をばらして回収してしまえば何とでもなります。
欧米の投資家たちはそうした中国の特殊性を理解し始めているので、市場は不動産会社がデフォルトしたぐらいでは動揺しなくなっています。
売りの口実としても、今後、使いにくくなっているように思います。
不動産絡みについては既に市場は織り込んでいるとみています。
当面の懸念材料は、当局の市場介入が更に広がるかどうかだと考えています。