中国株投資家のみなさん、こんにちは。
30日(木)の香港ハンセン指数は安寄り後、終日売りに押される展開となりました。終値は2.62%安の26449.13ポイントで引けました。
30日(木)の中国企業指数は2.77%安となりました。
参考として、2019年以降の主要4指数の値動きを示しておきます。
下げ幅は違いますがTOPIXも下げています。
日本の報道がこの話一色といった感じですし、東京市場の下げの要因などでも紹介されているのでよくご存じでしょうが、新型肺炎の患者数が増え続けています。
国家衛生健康委員会の発表によれば、1月29日(水)24時現在、本土累計患者数は7711人。この内重症患者は1370人で、死亡者は170人です。
治療が終わり退院した患者は124人。このほか、特定はできないが似たような症状の患者が12167人います。
追跡調査を続けている患者と密接に接触した人は88693人で、医学監察中の人は81947人です。
この2日間で、累計患者数は3196人、この内重症患者は394人、死亡者は64人増えています。
強烈な勢いで感染が進んでいます。
本土の資料によれば2003年のSARSの際の患者数は8069人、死亡者数は774人でした。
この2日間の増加スピードを考えると、累積患者数は30日の時点で、既にSARSの際の数を超えているでしょう。
死亡者数こそ随分と少ないようですが、重症患者が1370人もいることを考えると、決して死亡率が低いと決めつけるわけにはいきません。
中国の大半の地域において、これから1~3か月の間、ウイルスの活動が活発となる低温で乾燥した時期が続くことを考えると、感染拡大を止めるのは簡単ではありません。
武漢市以外での流行は小規模にとどまっていますが、全国的に人民の予防意識は大きく高まっています。
先ほど、北京市、長春市に居る知り合いに30日(木)の街の様子を聞いてみたのですが、いずれも地下鉄は閑散としていて、外出する人はほとんどいないそうです。
もっとも中国の北方は、気温が低く、長春などは日中でも寒い時は気温が氷点下20度以下まで下がってしまうので、この時期、出歩く人が少ないといった特殊事情はあります。
ここ数年、ネットショッピング、出前が市民の生活により密接になっています。
家に閉じこもる人が増えれば、こうした消費は増えるでしょうし、ゲームサービスの利用が増えたりするでしょう。また、板藍根のような抵抗力を高める中薬や、マスク、うがい薬、消毒薬などの消費は伸びるでしょう。
ですから、消費の減少効果については、さほど悲観的になる必要はないと考えています。
また、患者数が減り始めれば、悪影響はすぐに無くなるでしょうから、少し長い目で見れば、消費については心配していません。
しかし、生産については、消費ほどには柔軟ではありません。
米中貿易戦争は停戦状態とはいえ、流行が長引けば、リスク回避のための生産移転のようなことが加速するかもしれません。
設備投資についても、影響を受けるでしょう。
総合的に考えると、やはり、景気への影響は無視できません。
そうした点が株価の下落圧力となっています。
ただ、患者数の増加が止まり次第、買い手は出てくるとみているので、悲観しすぎるのは禁物です。
国家衛生健康委員会の統計をしっかりと確認しながら、ワクチンや、効き目のある薬、治療法に関する情報、国務院の景気対策などの発表に注意しながら、底打ち反転のチャンスを辛抱強く待ちましょう。