中国株投資家のみなさん、こんにちは。
先週の上海総合指数は4.3%高。週足ベースでは4週ぶりの上昇となった。
指数ごとの動きを比べてみると、上海50指数は6.1%高と大きく上昇しているが、中小企業板指数は3.9%高、創業板指数は3.3%高、深セン総合指数は3.0%高で、相対的に大型株が強く、小型株がやや出遅れているといった感じである。
今回のリバウンドの起点となったのは、18日(火)である。
この日は寄り付き前から大きな悪材料があった。トランプ大統領は17日、正式に2000億ドルの中国からの輸入品に追加関税をかけると発表した。
本土メディアはこの点について、極力抑えた報道であったが、前日までの報道から、多くの投資家が追加関税発動を覚悟していたと予想される。しかし、株価の反応は意外なものであった。
前引け段階では前日終値比でわずかにマイナスとなっており、この段階では、依然として、ここから急落する可能性も十分にあった。しかし、結果は後場から資金が流入し、1.8%高の高値引けとなった。
誰が買いに入ったのか?
この日は証券、保険、鉄鋼、建材、鉄道・道路関連などが大きく買われた。大型株が買われており、上げの主役はやはり国家隊であろう。
2015年夏を天井とする下げトレンドの中で、最安値は2016年1月29日の場中で記録した2638.30ポイントである。
18日の前場には2644.30ポイントまで下げているが、2638.30ポイントはテクニカルには重要なポイントで、ここを割り込むと下値のめどが立ちにくく、底割れの可能性がある。もし、市場を安定させようと思うのであれば、ここで買い支えをせざるを得ない。
実際に買いに出たかどうかはわからないが、日中足の動きをみていると、大型株が荒っぽく買われており、国家隊が買いに入ったように見られる。それに、提灯を付けた投機家もいたであろう。
アメリカによる追加関税により中国経済には減速圧力がかかる。それを和らげるために当局は景気を下支えするために積極財政政策を加速させるだろう。またそれは、下半期の経済運営方針を決める会議で決まったことでもある。
ならば、鉄鋼、建材、鉄道・道路関連は買いだということになる。
しばらく懸念材料となっていた今回の追加関税措置は、予想通りの内容ではなかった。追加関税率は9月24日から10%、2019年1月1日から25%にすると発表されており、2段階に分けられることになった。最初から25%の関税率がかかるわけではなかった。
これまで、対象に入っていながら、正式決定の際には対象から外れたものがある。レアアースである。中国本土は世界最大のレアアース生産国であり、またアメリカにとって最大の供給元である。
レアアースは自動車用燃料噴射部品からスマホ、石油・天然ガス掘削用のドリルに至るまで、アメリカの工業分野において広範に用いられている。つまり、アメリカにとって、どうしても輸入したい製品である。
そうした製品がある以上、中国からの全製品に輸入をかけることなどできるはずがない。そのことを市場がわかり始めたといえそうだ。
アップルやインテルをはじめ、電気機器、電子部品から、アパレル、バッグ、家具、照明、自転車、タイヤ、化学、プラスティック、食品加工まで、アメリカの幅広いセクターの企業が影響を受ける。
2000億ドルの輸入品をどこのメーカーが作っているのかという点について、商務部は半分弱が外資企業の製品であると指摘している。
グローバルなサプライチェーンにダメージを与えることになり、アメリカ企業も大きな悪影響を受けることになる。
いろいろな角度から考えて、追加関税措置は中国だけでなく、アメリカにも大きな害が及ぶだけに、トランプ大統領がどれだけ強気の発言をしたとしても、これ以上エスカレートさせることはないだろうといった見方が広がったともいえるだろう。
米中貿易戦争の背景には米中の覇権争いがあり、長期化が予想されるものの、当面、これ以上は悪化しないだろう。強い買い材料があるわけではないので、戻りは弱いだろうが、それでも、リバウンド過程に入ったとみてよさそうだ。
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