中国株投資家のみなさん、こんにちは。
供給側改革の成果、PPP加速で下期も景気は安定成長!!
足元の景気は順調に拡大しているようだ。
国家統計局は17日、2017年4-6月期の経済統計を発表した。実質GDP成長率は6.9%で、2017年1-3月期と同じ、市場コンセンサスを0.1ポイント上振れした。前四半期との比較では1.7%で、1-3月期の1.3%と比べ、0.4ポイント高い。

国家統計局の邢志宏報道官は、
(1)成長率が8四半期連続で6.7~6.9%といった狭い範囲に留まっていること、
(2)上期における都市部新規就業者数は735万人で、昨年の同じ時期よりも18万人増えており、年間目標の66.8%を達成していること、
(3)上期の消費者物価上昇率は1.4%で、安定的に推移していること、
(4)上期の貿易黒字は1兆2800億元、6月末の人民元対ドルレートは3月末と比べ1.84%上昇、6月末の外貨準備高は5か月連続で上昇するなど、国際収支が改善していること
などを指摘、経済は安定していると分析している。
その背景としては、
(1)供給側構造性改革が進展、第三次産業の成長率が第二次産業より高く、製造業の中では、ハイテク、機械、自動車など装備産業が高成長しており、需要面では民間消費が高度化、ハイテク産業の投資が加速していること、
(2)規制緩和の進展で、新規事業者数が増えており、また、ネットショッピングが急成長していること、
(3)工業企業利益を見ると利益率が改善、また、上期の一人当たり可処分所得(実質ベース)は7.3%増で、成長率を上回っており、経済の質が改善していること、
などを指摘している。
GDPベースのデータがないため、需要項目については月次の名目統計で整理してみる必要がある。1-6月と1-3月とを比較すると、以下の通りである。
鉱工業生産:1-6月は6.9%増、1-3月は6.8%増で、その差は0.1ポイント
全国固定資産投資:1-6月は8.6%増、1-3月は9.2%増で、その差は▲0.6ポイント
民間固定資産投資:1-6月は7.2%増、1-3月は7.7%増で、その差は▲0.5ポイント
全国不動産開発投資:1-6月は8.5%増、1-3月は9.1%増で、その差は▲0.6ポイント
小売売上高:1-6月は10.4%増、1-3月は10.0%増で、その差は0.4ポイント
輸出(人民元ベース):1-6月は15.0%増、1-3月は14.4%増で、その差は0.6ポイント
輸入(人民元ベース):1-6月は25.7%増、1-3月は31.0%増で、その差は▲5.3ポイント
4-6月期は1-3月期と比べると、固定資産投資は鈍化しており、外需、消費が好調で、これらが景気をけん引しているといえよう。
下期の経済はどうなるだろうか?
政策面で気になるのは、不動産価格コントロール政策と金融政策である。
まず不動産であるが、6月の70大中都市住宅販売価格変動状況を見ると、新築商品住宅では、前月と比べ、6都市で価格が下落、60都市で上昇、4都市で横這いとなった。
前月は9都市で価格が下落、56都市で上昇、5都市で横這いとなった。また、前年同月比では、70都市すべてで上昇した。不動産価格が下落しているのは、北京、上海、成都、無錫、福州など、一線、二線都市だけである。
全国的に価格が調整しているわけではなく、ほとんどの地域で、不動産価格の上昇は続いている。

国務院の不動産政策は一線、二線都市など価格上昇率の大きな大都市圏に対しては、価格に対する制限、投機のリスク防止を進めている。しかし、三線、四線都市などの中堅都市に対しては、在庫処理を促す政策を打ち出している。
1-6月の全国不動産開発投資は8.5%増で、1-3月よりも0.6ポイント下落しているが、政策が強化されたとしても、基本的な方針は変わらないはずである。せいぜい緩やかに鈍化するといった状態であろう。
金融政策については、昨年の11月以降、銀行間取引金利は上昇傾向にあり、銀行に対しては、理財商品の拡販を中心に金融レバレッジ縮小政策を行っている。そのほか、保険、証券業界に対しては、投機的行動を制限するといった行政指導が行われている。
一方で、金利を一律に引き上げたり、預金準備率を一律に引き上げて、資金供給を縛ったりしているのではない。 銀行間取引市場を利用し、中国人民銀行がピンポイントで各銀行の貸出先を大まかにコントロールできるような形で資金を実体経済に送り込むといったことを行っており、それがうまく行っている。
6月末のM2は9.4%増で前月末と比べ0.2ポイント低下、市場コンセンサスは9.5%増で、0.1ポイント下回った。6月の人民元新規貸出純増額は1兆5400億元で、前年同月を1533億元上回った。市場コンセンサスは1兆2000億元で3400億元上回った。
金融を引き締めているといった状態とはなっていない。政策がうまく機能しているので、下半期も投機抑制政策を続けたとしても、実体経済への影響は小さいであろう。

国家発展改革委員会によれば、「6月末に質の悪い、いわゆる"地条鋼"の処理計画が明らかになり、これから監督・調査が開始される。
また、石炭の生産能力削減に関しては、年度目標の74%を実行しており、如何にして生産能力削減と安定供給を両立させるかといった新たな問題についてもうまく処理できるだろう」などと発言している。
また、7月16日まで、石炭、非鉄金属、鉄鋼、セメント、化学工業など伝統的なシクリカル産業において、198社の上場企業が上半期の業績見通しを発表しているが、この内、158社が増益など好決算を発表しており、全体の79.79%を占めている。
これは上海、深セン上場企業全体の値を大きく上回っている。足元では着実に供給側改革が進んでいる。
同じく国家発展改革委員会によれば、「一連の措置により、PPPプロジェクトは着実に加速している。2014年1月から2017年6月までの間に、全国で公示されたPPPプロジェクトは3774件に上り、総額は5兆6000億元に達する。
この内、2016年以降では3205件、総額4兆6000億元に達する」などと説明している。PPPプロジェクトによるインフラ建設投資が下期、加速するとみられる。
今年下期の景気は決して悲観することはない。
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