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田代尚機(たしろ・なおき)

TS・チャイナ・リサーチ代表。
1958年愛知県出身。大和総研勤務時代、北京に9年間駐在し、引受リサーチ、中国エコノミスト、中国株担当アナリストなどを担当。その後、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立。個人投資家、機関投資家向けに中国株投資に関する助言・情報提供などを行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。現在、マネックス証券で「田代尚機の注目5銘柄」を掲載中。その他、SBIサーチナ、日経CNBC、ストックボイスなど、メディアへの出演・寄稿多数。

【著書】
・中国株二季報
・人民元投資入門
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・レッド・センセーション好機到来!

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中国経済、金融政策の効果は限られる!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

中国は流動性の罠に陥っている。

これまで民間のエコノミストがそうした発言をすることはあったが、当局からの発言は見当たらなかった。しかし、中国人民銀行調査統計司の盛松成司長は7月16日、2016年中国資産管理年会に出席した際、「M1とM2の伸び率の差が大きく拡大している。中国企業はすでに流動性の罠に陥っている」などと発言している。

中国金融市場において、何が起きているのか?

1年前となる2015年6月末のM1(現金預金+預金通貨)は35兆6083億元、M2(現金預金+国内銀行などに預けられた全預金)は133兆3375億元で、差額は97兆7293億元であった。

それが、直近となる2016年6月末では、M1は44兆3600億元、M2は149兆500億元で、差額は104兆6900億元である。ほとんど増えていない。

2015年6月末のM1伸び率は4.3%に過ぎなかったが、その後増え続け、9月末には10%台、3月には20%台に突入しており、6月末には24.6%に達しており、伸び率は加速している。

一方、2015年6月末のM2の伸び率は11.8%で、翌月には13%台となり、2016年1月には14.0%まで上昇したが、その後は逆に下落基調となっており、6月末は11.8%にとどまっている。

当局は、「資金は企業に流入しているが、企業は資金を抱えて投資をためらっている。企業は適切な投資プロジェクトを見つけられないでいる。だから、大量の資金が預金通貨(要求払い預金-保有小切手・手形)に滞留してしまっているのだ」などと分析している。

18日の毎日経済新聞の記事によれば、証券系アナリストの分析として、「資金が供給されても、それは実体経済に向かわず、たとえば、不動産などに向かっており、資産価格上昇を引き起こしている。売買成立によって、企業、個人預金は不動産の要求払い預金に振り替わるが、不動産会社は次の投資に資金を向けられず、資金はそのまま要求払い預金に滞留している」などといった意見を紹介している。

また、「不動産以外では、工業企業などの収益が回復しつつある。キャッシュフローが増えているのだが、使い道、有望な投資先・案件が見つからない。そのことが、要求払い預金の増加につながっている」などといった見方も紹介している。

こうした状況では、資金を市中に広くばらまく形での金融緩和は、効果がない。

中国人民銀行は2年ほど前(2014年9月にMLFを創設)から、SLF (Standing Lending Facility、常設貸出ファシリティー)、MLF( Medium-term Lending Facility、中期貸出ファシリティー)、PSL (Pledged Supplementary Lending、担保補充貸出)などといった新たな金融調節手段を使い始めている。

金融政策の重心は、はっきりとした資金需要のある個別金融機関に対して、ピンポイントで資金を供給するといった方法に移りつつある。

もっとも、流動性の罠に陥っているのだから、有効需要を高める政策の方が適しているはずだ。

積極財政政策が効くはずだ。中国は今年の財政赤字率目標について、3%としていたが、減税政策、インフラ投資の加速などにより、当初目標を上回る赤字率を容認する可能性がある。

この点は株式市場にとって、大きな買い材料である。

日本について。

ヘリコプター・マネーが議論されている。中央銀行が無制限に国債を引き受けたり、政府紙幣を発行したりして資金を供給したとして、果たして効果があるだろうか?

中国のように、実質経済成長率(2016年4-6月期)が6.7%もあって、金利は1年物貸出基準金利が4.3%もある国ですら、流動性の罠に陥っている可能性があるという点に注目する必要があるだろう。

日本では中国以上に金融政策は効かないだろう。

 企業は"資金が潤沢にある"とか、"資金調達コストが安い"からといって、設備投資を増やすわけではない。残念ながら、多くの日本企業が何に投資をしたら良いのか、その答えを見つけられないでいる。

中央銀行が無茶な資金供給を行えば、企業経営者は将来に不安を感じ、身構える。思わぬ資金が手に入れば、借り入れを返済したがるだろう。来る不況に備え内部留保を厚くするだろう。

日本企業には、中国やアメリカ企業のように背後に大きな市場がない。また、世界各国と比較すれば、多くの日本人は変化を嫌い、多くの経営者はアニマルスピリットをなくしている。経済の発展といった観点から言えば、供給側、社会そのものに根本的な問題がある。

そうした中で、国家ができることは限られる。財政状況が厳しい中、安易な積極財政は難しい。てできるとすれば、為替市場、株式市場を安定させ、事業環境を整えてやることだ。

少なくとも、為替市場が長期的に安定すれば、企業もリスクを取って、大きな投資を行いやすくなる。

株式市場に関しては、株価が大きく変動しすぎる。下落すれば、下落相場に弱い日本人投資家がより多くの損を出す。上昇しても外国人が利益の多くを持っていくのでは、資産効果も働かない。

いずれの市場についても、中国の真似をすればよいとまでは言わないが、少なくとも、日本の政策担当者も、誰のための市場なのかを忘れないでほしい。(7月23日作成、有料メルマガから一部抜粋)。

 

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25日の上海総合指数は0.10%上昇、押し目継続か!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

25日(月)の上海総合指数は安寄り後、前場は買いが優勢となったのですが、出来高が増えません。上値は重く、後場に入ると売りに押されました。

ただ、下値も堅く、大引けにかけては戻しており、結局、小幅ですが前営業日比プラスで引けています。

先週1週間の動きみると、上げ下げを繰り返しながら、緩やかな押し目を形成するといった展開でした。

細かく見ると、19日(火)は下値の堅さを、21日(木)は上値の重さを感じさせる値動きとなりました。

一方、22日(金)は、前日の上値の重さを受けて0.86%下落、25日(月)は逆にその反動で買われるといった展開となりました。

413日に記録した高値3097.16ポイントが届きそうで届かないといったもどかしい状態が続いています。

今週の見通しですが、先週に続き、押し目が続く可能性があるとみています。

というのも、小型材料株のウエートが高い深セン総合指数は21日(木)、場中で1月7日以来の高値を更新したのですが、その後上値が重くなっています。

7月は下期に向けて、政策の調整が行われることが多く、今年は国有企業改革の加速が話題となっています。

15日に発表された経済統計については、表面上はそれほど悪くはありませんが、製造業を中心に設備投資の減速が目立ち、全体の見通しとしては、先行きを懸念する投資家が多いようです。

そのことが、一層の金融緩和期待やインフラ建設投資の加速期待につながる部分もあります。

しかし、上海総合指数の動きを見る限り、大規模な景気対策で経済が急回復したり、大幅な金融緩和政策で金融相場になったりすると予想する投資家は少ないようです。

もっとも、長期投資家が底値を拾っているといった見方も根強く、売り仕掛けも難しい状況です。

出来高が減っていることからわかるように、見通しが立たず、様子見を決めている投資家が多いということです。

現在、投資家がもっとも注目しているのは年金保険基金の株式市場での運用本格化だと思います。

人社部の李忠報道官は先日、「基本養老(年金)保険基金投資管理弁法」の関連法案を制定し、できるだけ早く養老(年金)基金委託投資ができるよう努力している」などと発言しています。

華泰証券の張晶アナリストは、「年金保険基金の額は小さく、短期的には市場に与える影響は大きくないものの、国家の意向を受け、市場構造に良い影響を与えるだろう。年金資金の株式市場参入により、長期資金が増加、それが企業価値に基づいた株価形成につながる。また、一機関あたりの資金量は大きいことから、株価変動が小さくなり、市場の安定に役立つ。投機の抑制につながる」などと分析しています。

資本市場改革は株価を押し上げるというよりも、下支えするといった作用が大きいと考えています。

テクニカルには今週も押し目が続きそうですが、下値は限られるでしょう。

国有企業改革やインフラ建設関連が下げるようなら、買いのチャンスだとみています。

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成長目標達成のためには金融市場の安定が不可欠!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

国家統計局は15日、2016年4-6期における実質経済成長率は6.7%と発表した。
これは1-3月期と同じで、市場コンセンサスである6.6%と比べ、0.1ポイント上振れした。

今年の全人代で決まった今年の成長率目標は6.5~7.0%。上期を終えて6.7%なので、通年の計画達成は容易であろう。

とはいえ、下期に入り、景気が崩れる可能性は無いのだろうか?直近となる6月の状況について、生産、需要がどういった傾向にあるのか知っておきたいところである。


まとめて結果を示せば、以下の通りである。

鉱工業生産:6.2%増で、前月と比べ0.2ポイント高く、市場コンセンサスと比べ0.3ポイント高い
全国固定資産投資(累計):9.0%増で、前月累計と比べ0.6ポイント悪化、市場コンセンサスと比べ0.4ポイント低い
民間固定資産投資(累計):2.8%増で、前月累計と比べ1.1ポイント悪化した
全国不動産開発投資(累計):6.1%増で、前月累計と比べ0.9ポイント悪化した
小売売上高:10.6%増で、前月と比べ0.6ポイント改善、市場コンセンサスと比べ0.6ポイント高い
輸出:4.8%減で、前月と比べ0.7ポイント悪化、市場コンセンサスと比べ0.7ポイント低い
輸入:8.4%減で、前月と比べ8.0ポイント悪化、市場コンセンサスと比べ3.4ポイント低い
貿易収支:481億ドル1000万ドルの黒字で、前月よりも18億7000万ドル減少

更にこれらの結果を短く整理すると、外需が低迷、設備投資が鈍化する中、消費が大きく回復しており、生産は予想以上に良かったということになる。

輸出の伸びは2015年1月以来、18カ月中15カ月でマイナスといった状況であり、6月は5月よりも減少幅が拡大している。ただし、輸出以上に輸入の落ち込みが激しい。加工貿易が主体の貿易構造なので、輸出が減れば、自然に輸入が減る。また、本土企業の実力が着実に上がっており、輸入品を駆逐して売上を伸ばしている部分もある。だから、輸出の落ち込みが景気全体に与える影響について、それほど心配する必要はないだろう。

心配なのは固定資産投資である。特に、民間固定資産投資の鈍化が厳しい。
今後もこうした傾向が続けば全体の成長率低下は避けられないだろう。

産業分類からみると、第1次産業は6月累計で21.1%増、第3次産業は11.7%増である。厳しいのは第2次産業で4.4%増に過ぎない。

第2次産業について少し詳しくみると、鉱物採掘業は19.7%減であり、前月累計と比べ3.3ポイント低い。製造業の括りでは3.3%増にとどまっており、前月累計と比べ1.3ポイント低い。

製造業について更にブレークダウンすれば、非金属鉱物製品、化学原料・製品などの投資が減少している。

もっとも、こうした第2次産業における一部セクターの伸び率鈍化は、供給側改革進展の結果であり、決して悪いことではない。今後も、供給過剰産業の設備投資は減少傾向が続くであろう。

しかし、固定資産投資全体を回復させるためには、供給側改革によって減少する分をどこかで補う必要がある。

期待されるのは、新規産業や、サービス産業の投資拡大である。

第3次産業の固定資産投資は全体(6月累計)の57.7%を占め、製造業の39.4%を大きく上回っている。鉄道・道路、水利、電力といったインフラ関連や、不動産、建設、流通などのウエートが大きく、これらのセクターが今後、どれだけ投資を増やせるかが景気動向に大きな影響を与えそうである。

民間固定資産投資の鈍化が著しい。6月累計の民間固定資産投資は全国固定資産投資の61.5%を占めることから、この落ち込みの影響は大きい。

もっとも、民間固定資産投資の約半分は製造業である。供給側改革による"良い落ち込み"である部分も大きい。しかし、別の側面として、零細企業が主体であり、景気減速による影響を受けやすい。資金繰りを支えてやるための金融緩和が重要となるだろう。

下期の景気が安定成長するためには、やはりインフラ投資、公共投資の充実や、周到な金融緩和政策の継続などが不可欠である。見落としがちなのは、金融機関の経営活動である。株式市場、債券市場を安定させ、金融機関がその役割をしっかりと果たせるように環境を整備することが重要である。(7月16日作成、有料メルマガから一部抜粋)。

 

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18日の上海総合指数は0.35%下落、今週は押し目買いのチャンスか!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

18日(月)の上海総合指数は安寄り後、上値の重い展開となりました。ここ3営業日、出来高は低調です。日足は2日続けて十字線を付けています。

この日は、証券会社の下落が目立ちました。

中国証券監督管理委員会(証監会)の鄧報道官は15日、2016年証券会社分類評価の結果を発表しました。

調査期間は20155月~20164月です。95社の対象企業の内、A類は36社(38%)、B類は51社(54%)、C類は8社(8%)、D、E類はゼロでした。

この評価は、証券会社のリスク管理能力を基礎として、市場競争力や法律・管理規定順守水準を加味し、証券会社の総合力を評価したものです。

ブローカレッジ、信用取引、IPO主幹事などの業務において違法行為があったとして、中信、海通、国信、広発、華泰、興業などの6社はAAAクラスからBBBクラスへ、方正証券はAクラスからCクラスへと降格となっています。

証監会は市場管理の徹底を進めています。

資本市場の質を高めるということが最大の理由ではあるでしょうが、株価の下落よりも、株価の急騰、バブル化を警戒しているといった見方もできます。

5月以降、悪材料ばかりが目立つのですが、それでも株価は崩れず、6月下旬からは上昇トレンドが出ています。

5月以降しばらくの間、社会保障基金なのか、国家隊なのか、あるいは保険会社なのか、安値で拾っているような感じがしたので、なかなか売り方は思い切って売り崩せません。

一方、買い方も、資金が大きく流入するような環境にないことから、力不足です。

そうした要因から、4月中旬の高値越えが間近なのですが、なかなか抜け切れないといった状態に陥っています。

短期的には証券株が崩れていること、売買代金が少ないことなどから、今週は押し目があるのではないかと予想しています。

4-6月期のGDP統計が先週末に発表されたばかりです。

結果は1-3月期と同じ6.7%で、市場コンセンサスを0.1ポイントではありますが、上回っています。

ただし、6月の月次統計については、設備投資の弱さが目立ちます。

結果的にはそのことが、インフラ投資の加速、一層の金融緩和への期待を醸成しています。

今週は軍事関連、医薬バイオ関連など、ディフェンシブなところに注目です。

上海総合指数は早晩、4月中旬の高値を越えて来ると見ています。ですから、証券についてはもう少し下げるかもしれませんが、下げ続けるならば、週後半には買い場になるだろうと予想しています。

 

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人民元相場、安定操作続く!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

国際市場では、人民元安が急速に進むのではないかといった懸念が強まっているようだが、それは杞憂であろう。

まず、外貨の需給関係を調べてみると、2014年の経常収支はドイツがトップで2903億2700万ドル。第2位は中国で2098億1900万ドルである。

第3位はオランダで949億9400万ドルである。国際比較では、中国は世界でトップクラスの経常収支を誇る国家である。

更に新しいデータを付け加えておくと、2015年における中国の経常収支は3306億ドルの黒字で、前年比57.6%増である。

今年に入ってからの状況は分からないが、サービスに比べてウエートの大きな財の動きについて、1~5月の貿易収支をみると、2175億ドルに達しており、速報ベースで比較すれば前年同期比0.1%増である。

少なくとも貿易、経常収支段階の数字を見る限り、人民元には売り圧力ではなく、強い買い圧力が加わっていると言えよう。

問題となるのは国際収支である。2015年の資本、金融勘定は▲1424億ドルに過ぎず、誤差脱漏が▲1882億ドルも発生している。

分かり易く言えば、財・サービス貿易で3306億ドルを稼いだのだが、資本・金融面での積み増しは1424億ドルに過ぎず、当局が把握できない1882億ドルもの資金が流出しているということである。

資本勘定以下の増減をブレークダウンすれば、資本勘定は3億ドル、非準備性金融勘定が▲4856億ドル、外貨準備高が3429億ドルである。
プラスマイナスの関係がわかりにくいので説明を加えると、外貨準備高が3429億ドル減って、資本勘定が3億ドル減って、その他の金融勘定が4856億ドル増えているということである。

昨年来、一部の欧米機関投資家はこの点を重く見て、「中国は資金コントロールができないのではないか、このまま資金流出が止まらず、人民元売り、ドル買いが続くのではなかろうか」などと考えたのである。

だから、彼らは、外貨準備高の動きに注目し続けているのであるが、直近ではその外貨準備高がプラスに転じている。

6月末の外貨準備高は3兆2051億6200万ドルで、前月と比べ134億2400万ドル増加した。今年3月末、4月末は増加、5月末は一旦減少したものの、6月末は再び増加に転じている。2015年末と比べると減少額は1252億ドルにとどまっている。

外貨準備高の減少と資金流出は表裏一体であり、また、資金流出は統計ではとり切れない部分、つまり、法的にグレーな取引による流出である。

具体的には、汚職撲滅運動を嫌っての逃避、国内の不動産投機、株式投機の沈静化を嫌っての逃避、人民元の先安観、ドルの先高観から海外への投機のための流出などである。

中国は本来、事業目的以外での外貨取引を厳しく制限している。国内での外貨の運用規制は比較的緩やかであるが、海外への送金は基本的に目的を明らかにしない限り許されないといった状況である。

もっとも、規制は存在していたが、ここ十数年の間は、資金流入を如何に食い止めるかが重要な課題であり、資金流出に対する管理はややおろそかになっていた。しかし、問題に気づき、今年に入り、取り締まりを徹底したことで、資金流出が止まったのである。

更に、今年1月以降、人民元対ドルレートについて、管理方法が、前日の終値を重視する方法から、通貨バスケットをより重視する方法に転換されている。その結果、人民元対ドルレートの先安観が払しょくされたのである。それが資金流出が止まったもう一つの要因であろう。

輸出の不振は続いている。景気を重視するならば、人民元安に誘導したいところだ。しかし、それは人民元安期待に繋がり、資金の流出圧力を再び高めかねない。

アメリカの金利見通しが短期間にめまぐるしく変化し、EUがイギリスの離脱決定を受けて不安定化しつつある。世界の金融市場において、見通しの不透明性が高まる中で、中国人民銀行が目指すのは、景気重視の人民元安ではない。資金移動の安定であり、人民元相場の安定である。(7月9日作成、有料メルマガから一部抜粋)。

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