中国株投資家のみなさん、こんにちは。
29日(月曜日)の上海総合指数は激しい値動きとなりました。高値は寄り付き直後に記録した2.49%高(先週末終値比、以下同様)、安値は後場寄り後に記録した7.58%安、大引けでは3.34%安となりました。
終値は4053.03ポイントで、12日の場中で記録した7年5か月ぶりの高値5178.19ポイントと比べると、21.7%低い水準です。
この日で3日続落ですが、25日は3.46%安(終値ベース、以下同様)、26日は7.40%安でした。
ここで、先週後半から週末にかけての状況を簡単に説明しておきます。
中国人民銀行は25日、リバース・レポ取引を実施しました。インターバンク市場で資金供給を行ったのです。期日は7日、規模は350億元。レートは2.7%で、同期間のShiborと同じでした。
中国人民銀行の幹部は「現在銀行体系における流動性は充実している。ただし、半期末の金融監督管理指標検査やIPOなどにより、一部の中小金融機関における短期的な資金需要は幾分増加している」などと発言しています。
多くのエコノミストは「今回のリバース・レポ取引の実施によって、6月中に預金準備率が引き下げられる可能性は大幅に低下した」と分析したため、市場では金融緩和期待が大きく後退し、その結果、25日、26日の上海総合指数は大幅下落したのです。
ところが、27日(土)夕方、中国人民銀行は電撃的に利下げ(0.25ポイント)、預金準備率の引き下げ(特定先、0.5ポイント、財務公司は3ポイント)を発表、28日(日)から実施しました。
中国人民銀行が利下げと預金準備率引き下げを同時に行うのは2008年12月12日以来です。
中国人民銀行は、利下げについて、更に一歩進んで企業の融資コストを引き下げること、預金準備率引き下げについては実体経済の発展を支え、構造改革を促進することが、それぞれ目的であると説明しています。
しかし、このタイミングで実施したというのは、誰がみても、「当局は株価の急落を防ぐために行った」ということは明らかです。
このように、政府の強烈な株価支援策が出た中で、29日の上海総合指数は大きく下げたのです。
日本のマスコミのマーケットコメントなどをみると、26日はパニック売りが出て下げたとしていますが、上海市場の売買代金は7878億元に過ぎませんでした。6月8日には1兆3099億元あったのと比べると、随分と少ない額です。
もちろん上場銘柄の3分の2近くがストップ安になったことを考慮する必要はありますが、それでもやはり、下げの原因はパニック売りではなく、買い手の不足と言えるでしょう。
29日の売買代金は少し増えてはいますが、9042億元に過ぎません。
急落したことで先安観が出てきたことも要因の一つでしょうが、やはり、それだけではなく、6月末を控え、銀行、証券が間接的に株式市場に資金を供給できないこと、事業法人が中間決算を控え、一旦、投資勘定を調整しなければならないことなどが要因としては大きいのだろうと考えています。
しかし、こうした要因は7月以降、無くなります。
これだけ下げれば投資家心理は悪化し、これまでのように急ピッチでの上昇は難しくなるかもしれませんが、これ以上株価が下落するリスクは低いでしょう。
7月上旬までには一旦、底打ち反転すると見ています。
これから下半期にかけて、当局は景気を下支えする政策を矢継ぎ早に出さざるを得ません。第13次五カ年計画の策定も最終段階に入っています。
物価が安定している中で、金融緩和余地は依然として大きく、株式市場に対して、今後、好材料がたくさん出て来ることになるでしょう。
関連ETF、H株は押し目買いのチャンスです。