大統領の命運も
一週間ほど前に米国共和党上院議員(サウス・カロライナ選出)のリンゼイ・グラハム
(70歳)が心臓病で倒れ、亡くなった。年長者の多い上院議員の中ではまだ比較的若いほうであった。
このリンゼイ・グラハムの死はトランプ大統領にどのような影響を与えるだろうか。
彼は47代大統領のゴルフ友達でもあった。
何よりもこの男ほどトランプをめぐる評価を2転、3転させた人間はいないからである。
2015年トランプが大統領に立候補したときに、当時の、上院議員のグラハムは、トランプのことを人種差別主義者、外国嫌い、狂信者とし、浅い人間で、軍隊の最高指揮官に最もふさわしくない男と酷評し、このような男を当選させるわけにはいかないと強調した。
しかし2016年の大統領選挙でトランプが予想外に当選すると、圧倒的な手のひら返しで今度はトランプを激賞し始め、頻繁にホワイトハウス訪問や、マール・ア・ラーゴ(トランプのフロリダの私邸)へ足を運び始めている。
その結果選挙区のサウスカロライナ州での実績も上がり、グラハムは有力な上院議員として政界で重きを置かれるようになった。
ところが、2020年の選挙でトランプが敗北し、数々の不祥事とともに21年1月6日の議事堂襲撃事件で、トランプが弾劾される可能性が強まると、一気にトランプ離れに鞍変えする。そこではトランプを批判する言動を復活させる。
グラハムの読みでは、トランプは再起できないというものだったのだろう。
ところが2024年の選挙でトランプは2選される。
グラハムは臆面もなく、トランプに接近、ゴルフ友達として、政界での地位を復活させる。何とも言えない人物であるが、政治家というのはこんなものかもしれない。
トランプもよほど心の許せる友達がいないのだろう、こんな男を友達扱いして重用した。グラハムが軍事委員会の重鎮として米国国防政策に重要な役割を果たしてきたが、トランプの2転、3転する国防政策に苦労させられ、その心労で亡くなったのではないかと思われる。
運命論的に言えば、これ以上トランプにかかわりあうとろくなことがないという運命が彼に死を与えたのではないかと思われる。
トランプもそうだが、このように全くインテグリティー(真実の心)にかける人物が、政界で重きをなす、米国政界の現状は建国250年を経てこの国がいかに腐敗したかの証左である。
流石の悪運の47代大統領も、内外の苦境に大きく揺さぶられるタイミングに入ってきたようだ。其の嚆矢がグラハムの急逝ということではないか。
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