まさかの坂
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10月の投稿を11月5日の米大統領選特別編の為に遅らせていました。お楽しみください。(編集部)
悪夢が現実になった。
あの傍若無人なドナルド・トランプが事もあろうにアメリカ大統領に再選されてしまった。テレビの選挙特番に釘付けだった私は思わず全身から力が抜けた。
2016年にトランプが大統領に選ばれたのは、まあ、大目に見て“fluke”(まぐれ)か、ひどい間違いだったと片づけられたはずだった。なにしろ米国史上初めて2度も弾劾され、34件で有罪判決を受けた重罪犯、常習的な嘘つきで連邦議会議事堂を暴徒に襲わせた”rogue”(ならず者)だからだ。
そのうえ、オハイオ州でハイチ移民が「住民のペットの犬を食べている、猫を食べている」というソーシャルメディアのフェイク記事まで事実のように叫ぶ始末。
それにもかかわらず、アメリカは以前より年老いて今や下品な言動に歯止めがかからなくなったほら吹き男をふたたび大統領に選んだ。
それは、私を含め世界の多くの人々が期待していた民主主義大国アメリカとは真逆の醜い分裂国家の姿を世界にさらけ出した瞬間だった。トランプのやり口は醜く虚栄心に満ちているが、アメリカという国もしばしば醜く、教育不足で虚栄心に満ちているのだ。
カマラ・ハリスが負けた理由はいろいろ挙げられるだろう。NBC放送の調査では歴史的な規模で男女格差が明らかになった。つまり女性の大多数はハリスを支持し、男性はトランプを支持した。
だが、いちばんの理由は不人気なバイデン政権の負の荷物があまりにも重かったことではないか。81歳のバイデンはトランプを倒すために一期だけ大統領を務め後任にバトンタッチする約束だった。ところが権力の座に居座ろうとした。惨憺たるテレビ討論会での失態の後ようやく断念したが、時すでに遅し。
それに加えてCNNの出口調査では「低所得層は共和党、高所得層は民主党」という逆転現象が起きていたからラストベルト(東部や中西部にまたがる「錆びた工業地帯」)で勝てるわけがなかった。ラストベルト激戦州3州をトランプが全勝で奪還している。
トランプの「メキシコ人はみな犯罪者」「不法移民は悪い遺伝子を持ち込む」といった反移民の扇動的なレトリック、女性に対するマッチョな態度、アメリカ経済を復活させるという単純な口約束が多くの有権者の胸に突き刺さった。まともな政治的意見ではなく肌の色でアメリカを分断し、喝采を浴びた。トランプ支持者の間では自らを「ショーマン」と呼ぶトランプの無頼ぶりはすでに織り込み済みなのだろう。
そしていよいよトランプの復讐が始まる。復讐の精神ことが彼の信念だ。株価は一時的に上がってもアメリカに深刻な不安の時代が訪れる。
ホワイトハウスに戻ったトランプは連邦官僚機構全体を大規模に粛清し、政権の重要な職務には大統領と思想(そんなものがあるかは疑問だが)が一致する人材を採用。
2021年1月6日の暴動で連邦刑務所に収監されている過激なトランプ支持者たちを赦免し、彼に従順な司法長官とともに政敵の訴追を開始する。同時に、落選していたら一生続いたかもしれない自分が被告の大量の刑事訴訟を無くしてしまう。
気候変動のパリ協定離脱。国内の石油・ガス産業の規制撤廃。ウクライナをプーチンに明け渡し、NATOと欧州の民主主義同盟に反対するなどリベンジリストは続くだろう。
トランプ主義はすでに他国でも反映されている。英国のブレクジット、フランス極右政党台頭、イタリア極右メローニ首相。スウェーデン・カナダでも極右が台頭。これらすべての潮流にしているのは移民に対する脅迫観念と恐怖だ。
そもそも誰が破産を繰り返し借金まみれだった不動産業者トランプをモンスター政治家にしたのか。
大統領選最中に、元NBCチーフマーケティング最高責任者ジョン・D・ミラーはUSニューズ&ワールド・レポート誌への寄稿で謝罪し次のように暴露した。
「アメリカに謝罪したい。私はとんでもない怪物を生み出すのを手助けしてしまった。番組『アプレンティス(見習い)』を売るためにトランプが王族のような暮らしをする超成功したビジネスマンというフェイクニュース、嘘の物語を作ってアメリカ中に猛吹雪のように広めた。
「トランプもアメリカナンバーワンの視聴率だと嘘をまき散らした。…彼をホワイトハウスに押し上げる一助になるとは夢にも思わなかった。私は生まれながらの共和党員だが、カマラ・ハリスに投票することを強く勧める。国はよくなるだろうし、あなたもよくなる」
彼の謝罪は残念ながら有権者に届かなかったようだ。
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