酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

原油高、金利高、そしてドル高。

2026/07/27

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原油高をきっかけに米金利とドルが上昇し、ドル円は164円目前まで上昇。
中東情勢の緊迫化に加え、FOMCと日銀金融政策決定会合を控える中、市場は金融政策の行方と為替介入のタイミングを探っている。円安はさらに進むのか、それとも転換点を迎えるのか――今後のドル円相場を展望する。

先週は、親イラン系武装組織のフーシ派による活動活発化でホルムズ海峡のみならずバベルマンデブ海峡の封鎖による中東からの原油供給不安の拡大から原油価格が急騰し、それにつられて米金利高、そしてドル高となりドル円相場は162円台の膠着から一気に高値163.98まで駆け上がる事となった。

7月20日7月24日変化
WTI.82.4989.31+8.3%
米10年債利回り4.593%4.681%+0.088%
日本10年債利回り2.705%2.795%+0.090%
ドル円162.50163.86+0.8%
ユーロドル1.14131.1360-0.5%
ポンドドル1.34291.3320-0.8%

テレビのニュースは連日の様に、“凡そ40年ぶりの円安水準!”と囃し立て、片山財務相は“過度な為替変動に対して‌は断固たる措置を果断にやる!”と息巻くが、高市首相は今朝も、“為替相場は多様な要因を背景に市場において決まる。”と、まるでこの未曾有の円安水準に対して他人事の様な発言しかすることが出来ない。

危機感はゼロである。

今朝の新聞各紙が一面に、“内閣支持、急落!”と書いたが、さもありなん。

読売新聞によると、高市内閣の支持率は前回6月の調査時の69%から57%へと急落し、昨年10月の内閣発足以降最低となった。

不支持率は21%から34%へと急上昇した。

読売新聞は理由として、皇室典範改正など重要法案や政策についての高市首相の説明不足や、長引く物価高への不満が影響したと解説する。

一般庶民にとっては“長引く物価高への不満。”が一番の問題点である事は間違いあるまいが、高市首相はその元凶がこの円安である事を知らなくはあるまい。

支持率低下の理由を聞かれ、“原因は分からない。国民の気持ちとして参考にさせて貰う。”と能天気な答えをしたが、これでは益々トリプル安によりたった49日で退陣を余儀なくされたイギリスのトラス内閣の轍を踏むのではないかと危惧せざるを得ない。

“私の睡眠時間は時には1~2時間しか有りません。”と泣き言を言うが、一国の宰相として自らの危機管理能力を疑わざるを得ない。

台湾問題に関しての果敢な発言により政治に余り関心の無かった若年層や一部の保守層の圧倒的支持を受けた筈が、どうやら化けの皮がはげ落ち始めた感が有る。

高市首相の公約である、“積極的に財政支出を行うことを基本方針とし、物価高対策を最優先に位置付ける。”の後半の部分が白々しい。

高市批判はこれくらいにして今週のイベントを見ると、28日~29日に開催されるFOMC.と30日~31日に開催される日銀政策決定会合が注目される。

両者共に今回は政策金利の変更は無いと思われるが、会議後の記者会見でウォーシュFRB.議長、そして植田日銀総裁が今後の金融政策に関してどの様な発言をするかが注目されており、前者に於いては現状では年内に2回の利上げを見込む市場に対して期待に反してハト派的な発言が為されるのか、そして後者に於いては逆にタカ派的な発言が為されるのかが注目される。

発言内容によってはドル円相場は大きく上下に振れる可能性が高いが、もし上に振れた場合は今はだんまりを決め込む三村財務官が、“断固たる措置を果断にやる。”可能性は極めて高かろう。

ところで先週米財務省が半期ごとの外国為替政策報告書を公表したが、その中で“日本の円相場ついて、過度な変動は好ましくない。”との見解を示した。

為替政策報告書にこの様な表現が盛り込まれるのは極めて珍しいが、市場の反応は冷ややかな物であった。

為替政策報告書発表前の7月21日付けになるが、シカゴ・IMM.は再び円の売り持ち(ドルの買い持ち)を23億ドル相当分増やして、117億ドルのロングとなっている。

片や我が国個人投資家は逆にドルの買い比率が前週から5%減少して33%となり、売り比率は67%となった。

両者の相場観は相変わらず真っ二つに割れている。

(外為どっとコム社のホーム・ページを参照。)

ところで殆ど毎回シカゴ・IMM.のポジションをご紹介しているが、今週はネットで152,125枚の円の売り持ちで、これは152,125枚×12,500,000円÷162.50(月曜日の終値)≒11.7Billion USD=117億ドルとなるが、上で見る様にこれは円買いポジション107,590枚と円売りポジション259,715枚のネットである152,125枚であり、シカゴ・IMM.の投機筋の間でも比率は円買い(ドル売り)ポジションは107,590÷(107,590+259,715)=29%で、円売り(ドル買い)ポジションは259,715÷(107,590+259,715)≒71%であることが興味深い。

極端に言えば、今はドル・ブル(ドルに対して強気)の権化と思われているシカゴ・IMM.でさえ、3人に1人はドル・ベア(ドルに弱気。)なのである。

今週のテクニカル分析

今週のテクニカル分析の見立てはレンジの上サイドを切ったので更なる上昇を見込むが、彼らは介入などの突発的な外的要因は分析出来ない。

今週のレンジ

ドル円:156.00~164.00
ユーロ円:182.00~188.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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