こう着状態が続く、ドル円相場。
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ドル円相場は161円台後半で膠着状態が続き、ドル買い・円売り圧力と為替介入への警戒感がせめぎ合う展開となっている。財務相と米財務長官の協議や中東情勢の混乱を受けても相場は大きく崩れず、市場は「次の介入」があるのかを固唾をのんで見守っている。
日米協調介入への期待は残る中、ドル円相場はいよいよ正念場を迎えようとしている。
ドル円相場がこう着状態に陥り、高値圏で動かない。
先週は、週初に前週からのFRB.による年内利上げ観測の高まりの動きを受けて高値161.92を付けたが、その後片山財務相がベッセント米財務長官とオンラインで緊急会談を行い、歴史的な円安への対応を協議し、為替介入の可能性についても議論したものとみられるとの報を受けて161.07迄急落したものの、“イランがホルムズ海峡の通行料として年間400億ドルの徴収を計画している。”との報道や“イランがホルムズ 海峡を通航しようとした貨物船を攻撃した。”などの報道を受け直ぐに値を戻し、161円台ミドルを中心とした狭いレンジ取引に終始し、結局週のレンジは高値161.95、安値161.07の値幅88銭に留まった。
木曜日にはイランがホルムズ海峡航行中の船舶に対してドローン攻撃を行った事に対して米中央軍がイランの軍事拠点を空爆して、停戦交渉が暗礁に乗り上げるとの懸念から週の高値161.95を示現したが、強い介入懸念から162円の大台を超えることなく161.76で週を終える事となった。
ドル・ブル派(ドルを買いたい人)は、先々週の利上げは行ったものの、ややハト派的と見られた日銀政策決定会合後の内田副総裁の記者会見、そして政策金利据え置きを決めたFOMC.後のややタカ派的と見られたウォルシュFRB.議長の記者会見を受けて、更なるドル買いに意欲を見せるが、何と言ってもお化け(介入)が怖くて、高値には手が出せない。
一方ドル・ベア派(ドルを売りたい人)は、我が国金融当局が強力な介入を行って2024年7月に付けた161.95を超えさせることは無いだろうとの希望で、恐る恐るドルのショートを保持していると思われる。
筆者は後者に属し、今でも日米協調介入を含めた強力な円安阻止が行われるであろうとの観測(希望?)を捨てていない。
此処迄来るとファンダメンタルズ分析(経済的・基礎的要因)とか、テクニカル分析(過去の動きを分析して、将来の動きを予想する。)とは全く異なったPolitical considerations.(政治的考慮)が有る筈だとしか言い様が無い。

かつてはG5.が協調して意図的にドル安を目指した1985年のプラザ合意がそうであったし、その後の円高阻止、そして現在の円安阻止を目的とした我が国の為替介入がそうである。
そしてその介入に関しては自らの経験から言うと、
-当局があからさまに介入警戒感を煽る。(1998年、当時の榊原大蔵省・国際金融局長がフォレックス大会でお盆介入を警告し、今年のゴールデン・ウィーク前には現在の片山財務相が外出時にスマホを携帯する様に警告した。)
-当局が全く素振りを見せないで突然、秘密裏に介入を行う。(1991年1月3日、東京市場が未だ正月休みの日に、極秘裏に円買い&ドル売り介入を行った。介入額の公表が始まったのは1991年4月からで、此の介入は殆ど誰にも知られることは無かったが、筆者はこの介入をお助けした。)
-当局が介入をチラつかせて市場に警戒感を産ませる。今回が此れに当てはまる。
徐々に口先介入を繰り出して、最後に実弾介入を行う。
等の方法が有るが、基本的には“お化け。”と呼ばれる様に、介入は恐くて謎が多い。
介入にはドル安&円高を阻止するドル買い介入と、ドル高&円安を阻止するドル売り介入が有るが、前者は円を無尽蔵に売って買ったドルを外貨準備に組み入れれば良いので、理論上は無制限に出来るがアメリカが一定の制限(為替操作国認定)を設けており、自ずから限界が有る。
後者は手持ちの外貨準備を取り崩して介入資金の捻出をしなくてはならず、物理的限界(外貨準備高)と金利上昇を伴う米債券売りを嫌うアメリカ財務省のOK.(承認とまでは行かないが、了承とでも言おうか。1997年に当時の橋本竜太郎首相が、“米国債を売りたい誘惑に駆られたことがある。”と発言してダウ平均株価がブラック・マンデー以来最大の下げを記録して以来、アメリカは我が国の米債売りに対して敏感になったと言われている。自国の外貨準備の組み換え、或いは売却に関して文句を言われるのは筋違いと思わくもないが..)
話が逸れたが、そんな訳で更なる円安進行を阻止する為の円買い&ドル売り介入は、簡単ではない事は事実である。
ゴールデン・ウィーク中の11.7兆円もの円買い&ドル売りの単独介入が結果的に不発に終わった(失敗だとは思わない。介入が無かれば、もっと早い時期に現在の円安局面に遭遇していたことであろう。)事から鑑みて、矢張り米国を含めた協調介入が最も効果が有ると思われる。
上述したベッセント・片山会談で何が語られたかは知る由も無いが、40年ぶりの円安水準にまで達したドル円相場に対して、双方がEnough is enough.(もう充分過ぎる。もう限界である。)との認識を持ったとしたら、日米協調介入の可能性は有ると感じている。
それを知ってか知らずか、或いは気にしていないのか、シカゴ・IMM.は先週若干(4億ドル)売り戻したものの、依然として約113億ドルの大きな買い持ちポジションを保持している。


当局によるドル売り&円買い介入が行われれば、相当なインパクト(シカゴ・IMM.による損切りの円の買い戻し。)が有る様な気がしてならない。
沈黙を保つ三村財務官もそこら辺はよくご存じのことであろう。
我が国個人投資家のポジションは相変わらず把握出来ないが、ドル円相場のこう着を見て大きなポジションの変化は無く、歯を食いしばってドルの売り持ちを保持しているもの推察する。
相変わらず介入頼みで情け無いが、今は辛抱の時と心得る。
今週のテクニカル分析
今週のテクニカル分析の見立ては先週と同じく、ドルの買われ過ぎに注意。
今週のレンジ


ドル円:152.00~162.00
ユーロ円:176.00~186.00

酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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