鈴木雅光の「奔放自在」

J-REITは買い?

2026/07/29

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経済ジャーナリストの鈴木雅光氏が、J-REITは今が買い時なのかを解説。長期金利上昇による価格調整の背景や、高利回り銘柄への投資ポイント、分散投資の考え方を分かりやすく紹介します。
この記事で分かること:J-REITが調整している理由/高利回り銘柄の見方/分配金を重視したポートフォリオの考え方

東証に上場されているJ-REIT、つまり不動産投資信託全体の市場動向を示すインデックスが「東証REIT指数」です。算出開始が2003年3月で、この時の指数を1000として計算されています。ちなみに当時の上場銘柄数は6銘柄でした。

その後の東証REIT指数の推移を見ると、2007年5月には3047.85まで上昇しました。ちなみに、J-REITは値上がり益を積極的に狙うよりも、どちらかというと分配金を安定的に獲得していく性質の強い金融商品なので、分配金込みの指数を見ていきます。

指数算出から4年と2カ月で3倍になった東証REIT指数ですが、2009年2月には988.75まで下落しました。サブプライムショックと、その影響で生じたリーマンショックが原因です。その後、なかなか指数は高値を超えられませんでしたが、2014年11月に3139.72まで上昇して高値を更新しました。それ以降も順調に値上がりを続け、2020年1月には4608.85まで上昇しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞と、マーケットへの影響により、2020年4月には3313.25まで急落しました。

新型コロナウイルスの感染拡大では、観光が著しく制限されたことに加え、リモートワークの普及によって、オフィスビルの空室率が高まり、その影響はJ-REITにも及びましたが、パンデミックが終息に向かったことで、経済活動も徐々に通常へと戻り、2026年2月には5400.52まで上昇しました。

しかし、このところの東証REIT指数はやや不振です。直近、株価は大きく調整していますが、今年6月半ばにかけて、日本の株価が大きく値上がりする一方、東証REIT指数は6月時点で4935.71まで調整しています。

一番の原因は長期金利の上昇です。2025年6月、1.3%台で推移していた10年物国債利回りは、2026年7月時点で2.6%台まで上昇しました。わずか1年間で、その水準は倍になったのです。

直近で東証REIT指数が高値をつけた2026年2月時点の、J-REITの平均予想分配金利回りは4.52%でした。対して10年物国債利回りが2.1%前後だったので、その差は2.4%前後でした。それが、2026年5月時点のJ-REITの平均予想分配金利回りは4.98%であるのに対し、10年物国債利回りは2.7%近傍まで上昇しているので、その差は2.28%まで縮小しています。

基本的にJ-REITの平均予想分配金利回りは、10年物国債利回りに対して3%程度上回るのが適正と言われているので、2.28%という金利差は、10年物国債利回りとの対比で、割高と判断されます。このところのJ-REIT市場の不振は、10年物国債利回りの上昇に原因があると考えられます。

とはいえ、J-REITの平均予想分配金利回りを見ると、そろそろ投資妙味が出てきても良いのではないかと考えられます。2026年6月末時点のそれは5.09%まで上昇してきました。また、この数字は東証に上場されている、58本のJ-REITの平均予想分配金利回りなので、個別銘柄によって利回り差があります。

7月28日時点の分配金利回りを個別で見ると、最も高いのは「いちごオフィスリート投資法人」の7.93%、次が「インヴィンシブル投資法人」の7.05%でした。

以下、6%台の分配金利回りを出している銘柄が9銘柄、5%が18銘柄となっています。

もちろん分配金利回りが高いということは、逆に言えば売られていて、その分だけ投資口価格が安くなっているからと考えることもできます。したがって、分配金利回りが高い銘柄に投資する際は、1銘柄に集中させるのではなく、複数銘柄に分散させるのが良いのですが、その際にひと工夫することによって、特に分配金の確保をメインに運用したいと考えている人にとってベターなポートフォリオを組むことができます。それは、年金生活者を中心として、これまでつくってきた資産を活用して生活する「資産活用層」向けのポートフォリオです。

J-REITは個別銘柄によって決算日が異なるため、それを利用して毎月分配金が得られるポートフォリオを考えます。

たとえば分配金利回り上位からこの手の組み合わせをすると、次のようなポートフォリオが考えられます。

霞が関ホテルリート投資法人(1/7月決算)・・・・・・6.44%

MIRARTH不動産投資法人(2/8月決算)・・・・・・6.47%

グローバル・ワン不動産投資法人(3/9月決算)・・・・・・5.68%

いちごオフィスリート投資法人(4/10月決算)・・・・・・7.93%

日本ホテル&レジデンシャル投資法人(5/11月決算)・・・・・・6.10%

インヴィンシブル投資法人(6/12月決算)・・・・・・7.05%

以上6本のJ-REITを組み合わせると、年平均で6.61%の分配金利回りが得られます。元金が2000万円であれば、年間132万2000円の分配金が得られますから、1カ月平均で11万円ちょっとになります。年金に加え、毎月これだけの分配金が得られれば、もちろん人によって生活水準が異なるとはいえ、かなり生活の足しになるはずです。

値動きを狙うのではなく、分配金利回りの確保を目的にしてJ-REITへの投資を検討するのであれば、今のように長期金利の上昇によって売り圧力が強まっている時期は、投資するチャンスと考えることができます。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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