酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

日銀、9月にも利上げ?

2026/08/10

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日米協調介入により、一時は安値155.22迄下げたドル円相場であるが、じりじりと値を戻して金曜日には高値158.56迄付けたが、同日に発表された7月の米雇用統計の数字が非常に弱い結果となり156.63迄下げた後に再び157円台のHigh.に戻すと言う目まぐるしい展開を見せた。

2026年8月10日号

日米協調介入により、一時は安値155.22迄下げたドル円相場であるが、じりじりと値を戻して金曜日には高値158.56迄付けたが、同日に発表された7月の米雇用統計の数字が非常に弱い結果となり156.63迄下げた後に再び157円台のHigh.に戻すと言う目まぐるしい展開を見せた。

現役のディーラー諸君の話によると、協調介入により7円以上も下げたドルに対して、輸入業者からの“空前の規模のドル買い。”が入り、又月初恒例の新NISA.に対するドル需要も相まって、ドルが大きく戻したらしい。

7月の米雇用統計では失業率が市場予想の3.5%から3.2%に好転したものの、非農業部門雇用者数が市場予想の+8万人に対して-2.3万人と言う衝撃的な結果となり、同時に5月分が+12.9万人から+6.3万人へ、そして6月分が+5.7万人から+2万人へと大きく下方修正された。

米労働市場の減速は急速に進んでおり、市場が期待していた9月のFOMC.での利上げ期待は大きく後退することとなった。

それに対して、日銀による9月の政策決定会合に於ける利上げ期待が増しつつある。

今回の日米協調介入に同意したベッセント米財務長官は、今回の円買い介入の理由として、“多くのアジア通貨が円と連動している。1990年代のアジア通貨危機は大幅な円安が引き金となった。”と言及して、強まる円売り圧力がアジア通貨へ波及する懸念を示した。

但し、此処でも何度も触れた様に、ベッセント氏は円安の元凶は一向に進まない日本の金融政策の正常化、要するに日銀による利上げの遅れであり、日米協調介入の見返りとして早急な利上げを求めてきているとも言える。

そして、“8月末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で日銀の植田和男総裁に会うのを楽しみにしている。”と述べて、その場で9月の利上げの言質を取るのではなかろうか?

“15年間に渡る強固な景気刺激策で日本経済は強固なものとなっており、アベノミクスの時代は終わった。”と述べて、暗にアベノミクスを踏襲し、サナエノミクスと標榜される財政拡大や減税などの経済政策を遂行しようとしている高市政権に間接的な批判を行ったことは興味深い。

円安進行に対して危機感を持たない高市政権に対して相当苛ついている事には驚かない。

それにしても先週155.22迄下げたドル円相場に対して、またしても無策に放置した(要するに追い掛け介入を行って155円をブレークさせる事をしなかった。)事に驚きを隠せない。

ゴールデン・ウィーク介入後の155.04の時もそうであった。

あの時、もう一弾の追撃介入を行って155円をブレークさせれば、少なくとも160円を超える様な円安進行には成らなかったと思っている。

申し訳無いが、お上は余りディーラー、或いは投機筋の心理をご存知無い様な気がしてならない。

此処だけの話であるが、この話を昔お上にお仕えで介入の指揮をされた方に愚痴ったら、“僕ならやったけどね。”と仰ったことには笑ってしまった….

さて今回の日米協調介入に対して、流石のシカゴ・IMM.も大幅に円の売り持ちポジション(ドルの買い持ちポジション)の縮小に迫られた。 前週7月28日付けで約125億ドル保持していたドルの買い持ちポジションを介入後の8月4日付けでは約89億ドル減らして約36億ドルの買い持ちに留めている。

その後ドル円相場は158円台迄戻したが、順張りが得意な彼らが再び円を売り戻し(ドルを買い戻し)ているであろう事には驚かない。

彼らをぎゃふんと言わせるには、兎に角“これ以上の円安進行は無い。”と思わせる程の更なる円買い&ドル売り介入が必要である。

我が国個人投資家であるが、協調介入後ドルの買い持ちに転じてから大きくはポジションの変化は無く、8月9日時点で買い比率が67%、売り比率が33%となっている。

(外為どっとコム社のホーム・ページより。)

今週は7月の米消費者物価指数(CPI.)が有り、前月に引き続き弱い結果であれば先週の弱かった雇用統計の数字と相まって多少のドル安が進もうが、矢張り市場の関心はあれだけ言い放った“断固たる措置。”が継続されるか否かである。

円安&ドル高が進んだ場合だけ介入するのか、或いは機を見て果敢に円安是正の介入をするのか?

正に日米金融当局の“本気度。”が試されていると言っても良かろう。

今週のテクニカル分析

今週のテクニカル分析の見立ては更なるドルの下落を見る。

今週のレンジ

ドル円:153.50~158.50
ユーロ円:179.00~184.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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