若林栄四 ニューヨークからの便り wakabayashi

トランプ以外の共和党の人々

2024/03/28

今回は1日早めの更新となる。

今週はイースターで、マーケットも議会も休暇に入る。

イエス・キリストが刑を受け、はりつけになった後、復活した、キリスト教徒にとっては最大の聖なる祭典である。

一方で4月15日からトランプの、NYでの裁判が始まることが決定した。トランプの主催するウェブ・ニュースのTRUTHではこれをキリストの受難になぞらえて、トランプの受難と称した記事を掲載している。まったくお笑いとしか言えないが、それがお笑いで済まない所に今の米国の問題がある。

共和党下院議員マージョリー・テイラー・グリーン(MTG)はジョージア州選出のトランパーである。過激な発言で世間を騒がせるろくでもない女である。

そのMTGが、下院議長マイク・ジョンソンを更迭すると騒いでいる。

下院議長が、共和党過激派右翼の反対を押し切って、民主党と妥協して予算案を可決したことに対する抗議である。今の共和党下院は8人の過激派がいて、一人でも議長更迭の動議を出せるようになっている。もっともMTGが更迭の動議を出しても、民主党が賛成しないだろうから、更迭は成立しない。

このダイナミックを利用してマイク・ジョンソンは、上院ですでに通過している、ウクライナとイスラエルへの軍事援助をトランプの反対を押し切って、下院で通すことを考えている。

下院議長が当選もしていない大統領候補のいうことを聞くのは、それでもなくても小物の評判の高いマイク・ジョンソンには耐えられない屈辱であるが上に、ジョンソン自身、特にウクライナへの軍事援助はやらなければいけないと考えている。プ―チンは狂人だと彼は常々言っている。

ということでジョンソンは彼の議長としての一つのレガシーとしてウクライナ軍事援助を打ち立てたいとしている。意外にまともな男なのである。

MTG以下半分狂人のような共和党過激派の反対を押し切って、この議案を下院に提出し、民主党議員の賛成を得て、下院を通過することになるのだが,それが簡単に言うほどやさしいことではない。しかし彼はトランプの反対を押し切ってでもこれをやるつもりなので、議会が2週間の休暇を終えてワシントンに帰ってくると次の大きな議会の争点はこの軍事援助問題だろう。

トランプも4月15日からは自分を被告人とする裁判が始まるので、欧州にとっては一大関心事であるが彼にとってはどうでもよい話である、ウクライナ軍事援助にかかずらわっている暇はないだろう。

ウクライナへの軍事援助再開は、最近の世界で唯一明るい話であり、良識のある米国人がみな期待していることである。

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プロフィール

わかばやし・えいし
若林栄四

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍中。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
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・etc

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