若林栄四 ニューヨークからの便り wakabayashi

日柄で推察する米デフレ経済の軋み

2022/07/12

米国長期金利10年物が1.25%近辺まで下がってきた。

今年第1四半期には1.77%まで上昇し、2%超を見る人が大勢を占めたが、筆者はやや懐疑的であった。

というのは1981年9月30日の利回り最高値15.84%から、四半期足で下げ18度チャネルの加速54度チャネルの下げパターンから外れていないと見ていたからである。

この54度チャネルの上限に最初に触れたのは、2018年10月の3.26%である。

この時54度チャネルの上限は3.125%で、これに抵触した金利はその後急落、2020年3月には0.31%で底を打った。それから一年後の今年4月に1.77%まで反騰したが、その時の54度チャネル上限は1.5%であり、それを約0.27%オーバーしたが、その後は徐々に1.5%に向けて修正安、今期はその54度チャネル上限が1.25%にある。

筆者はずっと米国はインフレではなくデフレだとこの金利を見ながら申し上げてきたが、これで今期1.25%以下で期末相場が保たれると、1.77%への戻しは騙しであり、米国金利はまだ下げ54度チャネルから抜け出していないことをマーケットが証明することになる。FRBのまやかしのインフレ懸念などに騙されてはいけない。彼らはエコノミストだから何もわかっていない。

文明世界の歴史的最低金利は1619年イタリアのジェノバで記録された1.125%であるが、その36.5単位、365年後の1984年5月に米国金利は2番天井の13.85%をつけている。筆者の見方では、この1619年からの大きな日柄が米国デフレの底になるはずと考えている。その日柄は黄金律1.618単位の1618年の4分の1の404.5年を1619年に加えた2024年が、そのデフレの底のタイミングではないかと考えている。

このデフレの底は、米国株式バブルが破裂し、底を見るタイミングではないかとみている。

米国株式相場は、NYダウは21年5月10日の35,091ドルで天井を見たと思われる。

一般的にはバブル破裂の大相場は2年8-10ヵ月継続、底を見るが、NYダウでは2024年第1四半期がそのタイミングである。

その5月10日の天井の日柄は、2015年5月19日の高値18,351ドルからの309週(短月77.25ヵ月、すなわち77.25×8=618ヵ月の黄金律)の日柄であった。2015年5月の日柄はリーマンショック底値2009年3月からの6年2ヵ月【323.6週―短月80.9ヵ月】の美しい日柄であった。2009年3月のバブル破裂底からの短月81ヵ月【161.8単位】からの短月77.25ヵ月が今年5月10日の高値であったことがわかる。

SP500 は2015年5月20日2,134、7月20日2,132ときれいなダブルトップであり、今回7月まで相場崩壊が遅れたのは、その7月20日からの309週-77.25ヵ月(短月)の日柄を待っていたということになる。

同じことはNASDAQでもいえる。2015年7月20日がNASDAQの高値5,231を見た後、翌年2月世界同時株安で4,209まで約20%下落している。

NASDAQの今回の高値は7月7日の14,755であった。第1次ITバブル頂点2000年3月10日5,132にダブルペンタゴン9550単位、9550ポイントを加えると14,682が限度ではないかとみていたが、70ポイントほどオーバーシュートして相場が崩壊を始めたものと理解している。

時あたかも原油相場(WTI )が7月6日の高値76.98から71ドル台へ急落を開始した。

2008年7月の天井147ドルに36.5単位73ドルを当てはめると74ドル以上は無理筋である。

原油相場は2年ほど暴落するのではないかと思われる。

突如として起こったデフレ波の到来は、テクニカル分析の日柄のスタディーからすればそれほど突如ではないが、これからエコノミストがどうこれを説明していくのか、やや意地悪な楽しみである。

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プロフィール

わかばやし・えいし
若林栄四

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍中。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
・富の不均衡バブル
・etc

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