若林栄四 ニューヨークからの便り

若林栄四(わかばやし・えいし)

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
・富の不均衡バブル
・etc

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最近の日柄を考える上で大切な数値

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3月の弊社講演会で『36.5の不思議』ということを申し上げた。

36.5の数字は相場の転換点をよく律する数字である。36.5単位でいえば73も重要だし109.5や146も重要である。

なぜ36.5なのかと質問されても困る。

一年はなぜ365日なのですかという質問には誰も答えられないはずである。

宇宙のルールでは1年が365日、100年が36524日と決まっている。

相場の世界でも36.5は理屈ではなく、自然現象としてとらえるべきである。

2000年1-3月を期して、ITバブルが崩壊した。

それから18年たった今年、1月にはNYダウ、3月にはNASDAQが天井を付け、次の大きなバブルが破裂し始めた。

丸18年を過ぎた瞬間の破裂である。18年は四半期で72四半期である。

73四半期目に入った途端に、相場が崩壊し始めたのである。

こうした大事な日柄から始まった相場の崩壊は、大崩壊の始まりである。

一時的なものではない。

米国株がいつまで下がり続けるかを考えていたが、やはり36.5単位ではないかとみるのがこれほどの大相場の崩壊に相応しい。

筆者のガットフィーリング(直観力)で行くと365四半期ではないかと思われる。

365四半期は91.25年となる。

91年過ぎたところからそれに該当する。

ここで二つのポイントがある。

一つは大恐慌前の高値386ドルを示現した1929年9月3日、そのポイントからの91.25年は2020年10-12月となる。

もう一つは大恐慌底値1932年7月8日の40ドルからの91.25年である。

2023年8月-10月となる。

 

2018年1-3月に天井を見た株価が2023年8-10月まで下げ続けるとは考えにくい。

ただ不景気は5年間続くことは十分考えられる。

バブル頂点から、破裂の大底までの時間は大恐慌の場合2年10ヶ月である。

ITバブル破裂の場合、2002年10月の大底までNYダウで2年9ヶ月である。

其れで行くと今回も2年9-10カ月とすると見事に2020年10-12月にはまってくるのである。

この2年9-10ヶ月というのはどういう数字かというと、1ヶ月を28日(月齢で宇宙のルールである)で見た36.5ヶ月は28×36.5=1022日である。それを太陽暦の1年12ヶ月に置きなおすと2年(730日)と292日である。292日は365の0.8倍だから丁度2.8年ということになる。

0.8年は12ヶ月で見ると9.6ヶ月となる。すなわち月齢28日を1ヶ月と置くと、36.5ヶ月は33.6ヶ月、2年と9.6ヶ月ということになり、上記の天井から底への時間2年9-10ヶ月に見事に該当するのである。

この計算で行くと2020年10-12月に米国株が底値を付ける蓋然性は結構有力である。

しかもそれが大恐慌前の高値386ドルからの365四半期目というのは美しい。

2023年8-10月の場合は、2018年1月―3月の天井からの28日月で見た73ヶ月目すなわち太陽暦で67.2ヶ月(5年7ヶ月)の美しい日柄である。

大恐慌底値からの365四半期もこの上なく美しい。

常識的には2020年10-12月が下げ相場のduration(存続期間)として妥当だが、

大恐慌底値からの365四半期は、人為バブルの終わりに相応しいエンディングのような気がする。

因みに、NYダウのチャートを見ると2020年10-12月なら14000ドル、2023年8-10月なら5500ドルとなる。

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GAFAの未来は?

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破竹の快進撃を続ける米国ハイテク株に死角はないのだろうか。

アマゾン株はついに1500ドルに達し、時価総額7260億ドル(77.7兆円)となった。

創業者のジェフ・ベゾスは、今や個人資産世界一のスーパーリッチになった。

アップルは時価総額8900億ドル(95兆円)、グーグルは7840億ドル(83.9兆円)と飛んでもない数字である。

アマゾンは株価収益率[PER] 170倍といわれている。

株の時価総額については、いつも素朴な疑問がある。

株価を株数で乗じた数字だが、本当に実体があるものなのかが疑問である。

何故PERが13倍なら割安で、20倍なら割高なのか。

証券界の人たちが金科玉条で振り回すこうした数字は一種のあぶくなのではないだろうか。どこに根拠があるのか。

会社をバラバラにして解散した場合に一体いくらになるのか。解散価値はそれなりに意味があるものと思われるが、時価総額なるものは本当に考えると、裸の王様のようなもので、誰かが王様はハダカだといえば、急に崩れ去るものではないかと思ってしまう。

SNSの弊害がフェイクニュースの元凶として、規制論が高まり、アマゾンのネット販売に対する課税論も出つつある。

ハイテクといえどもバラ色ばかりではないだろう。

今のNASDAQの相場はその辺りを考えて妥当とみるのか。

ホワイトハウスにとんでもない人が坐っている米国に、それほど楽観的になるのはどう見ても間違いのように思える。

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中央銀行介入の竹蓖返し

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米国の第2次大戦後の経済史で最も重要な事件であったのは、実はあまり知られていないが1968年3月の、金二重価格制の採用である。

1オンス35ドルで固定されていた金価格が、国際収支の赤字で60年代後半には何度もドルから金への逃避の動き―ゴールドラッシュ―がみられた。一生懸命ゴールドプールで支えていたが、ついに1968年3月に固定相場が外れ、民間の金取引は、自由価格となった。

金に対するドルの切り下げの開始である。この時に35ドルから放たれた金はいま1350ドルである。そのあとに、全面的に金とドルを切り離したのがニクソンショック(1971年)である。

この1968年3月の日柄は1941年の金利最安値1.87%からの27年目の黄金分割の日柄であった。

その金二重価格制採用から今年は50年目の節目の日柄を迎える。

1968年から米国はインフレが高まりつつあり、その1968年3月のからの13年半(162カ月)の1981年9月に金利は長期金利10年物で15.84%の高値を付け、インフレのピークを見た。

その1968年3月からの40年半(162四半期)の日柄である2008年9月にリーマンショックが起こり、基本的にはデフレ経済に入ったことになる。

2008年の後半、7月に原油が147ドルの天井を付けて暴落を始めている。リーマショックの2か月前に既に原油はデフレ入りを宣言したことになる。

それ以降原油の動きと、米国株式の動きはほぼパラレルである。

ただ天井を付けたのは原油が2008年7月11日であり、米国株式は2007年10月であった。

しかしそののちは2011年5月の高値、2016年2月の安値、昨年8月からの高騰、今年1月26日の高値と美しく軌を一にしている。

今年1月26日はどういう日柄だったかというと、原油が天井を付けた2008年7月11日からの38.2四半期(黄金分割61.8の補数)であった。

原油が天井を付けてデフレ時代の始まりを告げたのに、株式の方は中央銀行の量的金融緩和で、38.2四半期天井を付けるのが遅れたという風に解釈している。

本来原油の暴落で世界のカネは縮小しており、株価は下落するはずなのに、中銀連合による10兆ドルのおカネの印刷で、株価は下がるべきところを急騰した。

しかし本来もうカネは回らないはずであるのに、2008年32兆ドルだった世界株式の時価総額は2017年85兆ドルまで膨らんでいる。

しかしさしもの株価も原油が天井を付けたところから10年目に崩れだしたということであり、それは1968年3月からの50年目でもある。

原油の天井からの10年は黄金分割18度線上を走った時間が10年であり、水平時間に換算すると9.55年となり丁度38.2四半期に該当する。

これからは株価もデフレに協力する形で、本格的なデフレが世界中で進行するだろう。

今度の株価崩壊は一時的な現象ではない。無理をして支えてきた中銀による介入の失敗の始まりである。今度こそは原油のように株式暴落となりそうだ。

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さすがのビルも今回は...

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米国で債券王と呼ばれているビル・グロスが、いよいよ米国債券相場の下落(長期金利の上昇)が始まったとコメントしている。

この人は毎月米国雇用統計の時に必ずコメントする有名人で債券ファンドPIMCOの創業者の一人である。

この人の話の良いところは、くだらない誰が売った、だれが買ったという話をしないところである。その意味でマーケットの本質を理解している人間である。

投資家ではなくマーケットが主語の話ができる人である。

今回の話も中国が債券を買わなくなったとか言うくだらない話ではなく、短期金利の上昇に長期金利のまた裂き下落基調は、サステイナブル(継続可能)ではなく、短期金利の方向にさや寄せするのではないかというまともな話である。

しかし本当にそうか。

1981年9月の最高金利15.84%からの34年10カ月目の2016年7月に金利は最低1.31%を記録している。その後2016年12月には2.639%まで上昇を見たが、その後は2.3-2.4%台で推移、この1月に入って2.5%台に上昇、2016年12月の2.639%に迫っている。

問題は今のタイミングであるが、1981年9月の最高金利からの36年目が2017年9月であり、大事な36.5年の時間帯(145四半期)に入りつつある。



つまり36.5単位という一つの相場の終わりの時間帯に入っているということになる。

まだ2016年12月の2.639%も超えていない。その中でもう一度36.5年の節目のタイミングで金利高値をトライしているということだろう。

この金利高の流れが継続するのではなく、ここで盛り上がって再び金利下げに向かうというのが正しい流れだろう。

それが証拠に、為替相場は円高、ユーロ高の流れとなっている。

米国長期金利の流れが間違いなのか、円高ドル安、ユーロ高・ドル安の為替相場が間違っているのか。

ドル円相場でみると、2015年6月の125円のドル天井からの31カ月目がこの2018年1月でそれまでの円安基調が壊れ円高に転換する流れに入りつつあるものと考えられる。

つまり1月に入ってからの若干の円高基調は本物である。

米国長期金利は大きな流れでみると40年半の下げの流れに入っている。

1981年9月の天井からの40年半は2022年3月となる。その40年半の中の36.5年(145四半期)の日柄に向けての一時的な金利反発が今起こっている現象である。

早晩米国長期金利の反転下落が見られるだろう。

ビル・グロスの説は間違いということだろう。さすがのビルも、長期金利の動きを百年単位でみていないということではないか。

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米中間選挙を見据えて

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米国の税制改革案は上院も51対49で可決、すでに成立している下院の改革案との最終的なすり合わせが行われ、両者が合意に達すれば、トランプの署名を経て現実の法律となる。

複数の第3者機関は、法人税減税による1兆5千億ドルの歳入減を懸念しているが、ムニューシン財務長官は減税効果による景気拡大に伴う自然増収で賄うとし、マコネル共和党院内総務は、この減税案はレヴェニュー・ニュートラルつまり歳入減による財政赤字の拡大は無いとしている。

十分な検討もしないで会計税務の専門家による公聴会も開かず、複雑で秘密の多い法律を急いで通そうとしているのは、共和党支持者の間でも評判が悪い。

NYタイムズの記事によれば、一部共和党のストラテジストが75%の米国民に異常な不人気であるこの法案という言い方をしている。11カ月間の米国議会による不作為の後、やっと初めて1勝するチャンスが巡ってきているこの税制改革案は、75%の国民の不興を買っているというのは悲劇である。

有名な世論調査機関であるQUINNIPAC大学の調査では59%の有権者は、この共和党の税制改革案は、中産階級を犠牲にした、金持ち優遇の税制であると信じている。

この法律が成立すると、それに対する反感から共和党が来年の中間選挙で不利になるというのは確かにそうだが、だからと言って上院が簡単に民主党多数になるわけでもない。

2018年の中間選挙における上院の改選議員数は、共和党8名、民主党25名と圧倒的に民主党の改選議席が多い。ということは現職議員が選挙で負けるチャンスは圧倒的に民主党の方が多いということになる。今の48議席を維持するだけでも民主党にとっては大変なことであり、51議席(100議席が総数)の多数へ持っていくのは相当に難しい作業である。

となると上院はなかなか難しい。

下院はどうかと言うと、人工的に選挙区を捻じ曲げるゲリマンダリングの結果、総得票数は常に民主党が多いが、議席は共和党多数となっている。

このゲリマンダリングによる不利を克服するには、得票数が民主党55%、共和党45%くらいまで拡大しないと、民主党が議席多数と取ることが出来ないといわれている。

はたして中間選挙で、民主党が55%の得票で圧勝することができるかどうか。

圧勝しなければ、議席多数は取れず民主党は、マイノリティーにとどまる。

上院も下院も中間選挙で民主党が勝つのは不可能ではないが、相当難しい作業である。

75%の国民の不興が投票行動では何%の民主党有利となるのか、難しい読みである。

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