若林栄四 ニューヨークからの便り

若林栄四(わかばやし・えいし)

1966年東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
・富の不均衡バブル
・etc

書籍

トレトレブログ

明らかになりつつあるトランプの大統領資質

  • 記事URL
  • はてなブックマーク

19兆ドルの米国経済の規模というのは、わかりにくい。

労働市場でみると、1億4500万人が雇用されている。

この巨大市場の中で、勝者,敗者があり、毎日首になる労働者、あるいは倒産する企業などで、毎月150万人の人間が本人の望まざる事情で仕事を失っている。

もちろん新しく立ち上がる企業もあるので、全部が職を失うわけではなく、新しく職を見つける人も多数いる。

しかし150万人が毎月職を失うということは、ほぼ営業日ベースで毎日7万5千人が職を失っている。 そこで登場するのが次期大統領のトランプである。

ポピュリストのトランプは、キャリアという会社がメキシコに工場を移転することに介入して、800人のアメリカ人のジョブを救った。

それをメディアで大々的にPRして差も大事なことを成し遂げたようにみせかけている。フォードの700人の雇用も同じくである。

毎日7万5千人がジョブを失う経済の中で800人を救うのがなにほどの意味があるのか。ほとんど無意味である。

つまり大統領は、そうした見せかけの政策ではなく、如何に毎日ジョブを失う人のウェルフェア―(※1)が守られているかという大きなところに政策の意義を見出すべきである。

メディアもメディアである。

膨大な米国経済の営みと関係のない800人の雇用を書きたてることにより、国民の目を大事なポイントからそらし、ひたすらポピュリスト・トランプが何か重要なことを成し遂げたかの幻想を撒き散らしている。

もう少し巨視的視点(※2)でニュースを扱ってほしいものだ。 このトランプという男のマイクロマネジメントぶりはすごい。

19兆ドルの経済を彼のちっぽけな会社経営の感覚でマネージしようとしている。

さらに何事もすぐ白黒をつけようとすることはビジネスの世界ではまだ許されるかもしれないが、限りなく灰色の世界の外交、軍事の世界には徹底的に向かない。

このエゴの塊のような人間がどう19兆ドルの経済をかじ取りするのか。 空恐ろしい思いに満たされるのは筆者だけではあるまい。

※1 ウェルフェアー:welfare 米では生活保護という意味合いがつよい、他に福祉、福利;幸福

※2 巨視的:マクロ、肉眼で認識できる大きさの物や内容を意味する

  • 記事URL
  • はてなブックマーク
トレトレ会員登録でもれなく3mBTCプレゼント!

トランプラリー現象は始まりなのか終わりなのか

  • 記事URL
  • はてなブックマーク

 トランプラリーに入って約1カ月が経過した。ドル円はトランプ当選後の101円台から12月12日には116円台まで1カ月で15円の円安という記録的なスピードでの相場である。

 日経225は16100円台から19200円台とこれも3100円を1カ月で走るという相場である。

 これを見ているマーケットの人間はいろんな理屈を考えてこの動きを正当化しようとする。正当化したうえに、その理屈でいけばこの相場がさらに継続していくと考えるのである。

 つまりトランプラリーは新しい相場の初めであると考える人たちが一方にいる。

 しかし、相場の終わりはスピードアップして終わると考える人もいる。

 その場合トランプ現象は、相場の最後を飾るイヴェントとして記憶されることになる。

 一体どちらなのだろう、そのどちらでもないという人もいるかもしれない。

 しかしトランプと言う人間の登場があまりにも劇的なので、これは初めか終わりかのどちらかと考えるのが正しいだろう。

 ポピュリズム(大衆迎合主義)の流れは新しい動きであることは確かだろう。政治が新しい局面に入ることと、マーケットが新しい局面に入ることには直接の関係はない。

 そもそもポピュリズムには、決まったセットの経済政策が存在するわけではなく、支持者を喜ばせるための場当たり的な行動に走りがちである。

 トランプによるメキシコへの米企業の工場移転を妨害する措置などはその典型である。

 マクロ経済の流れと関係のないところで、矮小な政策を演じて得々としているところは、まさに場当たりそのものである。

 今世紀に入り米国の製造業雇用者数は1700万人から1200万人に500万人減少している。

 しかし同じ期間で製造業生産指数は70から130に倍増している。アジアやメキシコに矛先を向けるのは間違っている。

 製造業の要求する労働力は低学歴の労働力ではなく、高学歴の労働力である。

 IT 技術のアプリケ―ションが、経済のあらゆる局面に広がりつつある現状を無視して、無理やり工場移転阻止をしても、マクロ的にはほとんど意味がないだろう。

 依然として低学歴労働者の苦難は続く、そして米国経済のデフレ傾向は継続するものと思われる。

 ポピュリズムは政治的に見れば新しい動きだが、経済的にはこれといった処方箋がなく、マーケット的に見れば新しい動きではなく、このトランプラリーは、相場の最後を飾るイヴェントと考えるのが正しいように見える。

 問題は何せ勢いがあるので、その最後の動きがどこまで行くか分からないところである。

 ITバブルの頂点を付けた時のNASDAQは1999年8月の2442から天井2000年3月の5132まで7カ月で2.1倍の大ラリーをやって、大崩壊したこともある。

 しかしイェール大学のロバート・シラー教授の編み出したCAPE(cyclical adjusted price earnings ratio)という長期の株価収益率が27倍に達しており、すでに過去100年間で4度目の高値の水準に来ているといわれているので、まさか株価が、さらに大幅に上昇することはないだろう。

 いずれにせよ時間の問題で相場は高値を示現することになるだろう。

 終わりは始まっている。

  • 記事URL
  • はてなブックマーク
トレトレ会員登録でもれなく3mBTCプレゼント!

これから更なるトランプショックが起きる

  • 記事URL
  • はてなブックマーク

2016年11月トランプ当選というショックで金融市場は大荒れとなっている。

これだけの大逆転というのは米国大統領選挙史上でもほとんどないくらいの珍事であった。11月8日の選挙当日の朝トランプ陣営は沈痛な表情で、誰も笑顔がなく、彼らももちろん勝利するとは考えていなかった。したがって勝った後の戦略の準備も全然ない。来年1月20日の就任式までたった63日しか残されていない。

大忙しであるが、もともとトランプが大風呂敷を広げていたので、彼の選挙公約のどこまでが実現するのかということも誰もわかっていない。もちろんトランプも含めて誰も知らないのである。おそらく彼にとっては大統領になることには大いに興味があったが、大統領の仕事であるガバン(統治)することには興味がないだろう。うまくいかなければ、一年ぐらいで辞職してしまうこともありうる。厄介な人が大統領になるものである。

さて金融市場は当初予想とは一転、明るいムードが支配し始めているが本当にそうだろうか。大統領が変わって相場が劇的に変わるという話はあまり聞いたことがない。一般論としては大統領の如何に拘わらず、景気や相場は独自のサイクルで上下動を繰り返すものである。大統領が変われば世の中が変わるというのはまずないのである。

筆者は、むしろこんな人が大統領になったら米国は大変なことになるだろうと思っているが、要は相場がムードを支配するので、相場が駄目になってくれば、やはりトランプではだめかということになるのだろう。トランプが駄目になるから相場が駄目になるのではなく、相場が駄目になるから、トランプでは駄目ということである。

その相場がどうかと言うと、米国株式市場は筆者の計算ではほとんどこれ以上上昇の余地はないように見えている。

やっぱりトランプでは駄目かという日が割と近いだろう。

  • 記事URL
  • はてなブックマーク
DMM.com

水を差すのは米国株

  • 記事URL
  • はてなブックマーク

さすがのFRBも今度は年貢の納め時で、12月のFOMCでは金利を上げることになりそうだ。

世の中の動きが少し変わり始めている。

おそらく2008年第4四半期というのはリーマンショック2008年9月の後遺症で、ゴールドが底値、日経平均が底値、米国金利がゼロ金利導入となった激動の時間帯であった。その2008年第4四半期からの31四半期目が今年の7-9月期であった。

ゴールドは7月6日に1375ドルの天井、米国長期金利も7月に1.30%、日経平均は6月24日に14,864円の安値と、31四半期目で底天井を付け、この10月に入ってからその動きが加速し始めている。

これで本格的に米国金利上昇、ゴールド暴落、日経平均暴騰となればめでたいのだが、そうは簡単にいかないのが今のデフレである。

確かに31四半期目でとりあえずの天底を見たのだが、今度は米国株(2009年3月底)からの31四半期目がこの10-12月期である。となるとこの相場はこの10-12月期に天井を付けていよいよ大崩壊が始まるようなタイミング入っている。

そうなると、米国長期金利もそれほどは上昇しないし、ゴールドの調整も普通の調整でしかあり得ない、日経平均にして米国株下落の中でそれほど大きく上昇するとも思えない。10月の出だしは元気に出たが、その動きを打ち消すような動きが早晩米国株で出てくる。やっぱりデフレだということになるのである。

つまり今進行中の大デフレトレンドというのはその31四半期程度のマイナーな日柄でひっくりかえるような柔なものではないのである。何せ40年のスケールで進行中のトレンドである。

31四半期の日柄で天底を見ると一般的には36四半期までそのトレンドが継続することが多いが、今回のケースはせいぜい1四半期程度の調整でしかないこととなろう。長くても来年1-2月までの調整である。

  • 記事URL
  • はてなブックマーク
DMM.com

ドナルド・ジョン・トランプという恐怖

  • 記事URL
  • はてなブックマーク

ヒラリー・クリントンが先週のウォール・ストリートのファンドレイザー(選挙資金集めのパーティー)でトランプ支持者のことを"the basket of deplorables"(嘆かわしい人たち)と呼んだことが問題になっている。

クリントンはそれに続いてこの人たちの半分はracist(人種差別主義者)、sexist(性差別論者)、xenophobia (外国人排斥者)、obamaphobia(オバマ大統領排斥者)だと口をきわめて非難している。

このファンドレイザーでは献金してくれる身内の人たちの集まりなのでどうしても気が緩み失言が多くなる。

共和党支持者から猛烈な抗議の声が上がり、さっそく"I am deplorable"と大書したTシャツを着て街を歩くトランプ支持者がテレビで報道されている。

クリントンも言いすぎた-候補者をけなすのは良いが選挙民を侮辱するのはまずい-と反省、その後謝罪を余儀なくされた。

一部選挙プロの間では、これがクリントン苦戦(あるいは敗北)の決定打となるのではないかとコメントする人もいる。

2008年にはオバマ候補がやはりサンフランシスコのDonor (献金者)の集まりで、ラストベルト(錆びついた工場群が並ぶペンシルバニアあたりの不況の町)の人々(主に白人)について"cling to guns or religion or antipathy to people who aren't like them"(銃規制に反対―狩猟と称して銃にしがみつく、また仲間内の教会の集まりに熱心で、自分たちと違う人種に反感を持つ―黒人排斥の集団)とコメントして大問題になり、謝罪に追い込まれている。

仲間内ではどうしても油断してしまうのである。

2012年の選挙ではロムニー候補がフロリダのDonorの集まりで、"47%の人々は政府に依存して生活している。彼らは犠牲者だと自分たちのことを思っている。(主に黒人貧困層を示唆した発言)私の仕事はこれらの人々について心配しないことだ。(政府援助を切り捨てるとの暗示)"の発言を隠しテープで取られ、それが公開されて一気に彼の敗北を決定づけたこともある。

こうしてファンドレイザーは、候補者の鬼門となる可能性があるが、選挙資金を集めるためにはこれをやらざるを得ない。

トランプは選挙戦の初めは他人の金に頼らないと言っていたが、選挙戦が本格化して、やはりファンドレイザーに頼り始めている。プレスは完全にシャットアウトである。

仲間内だけではなく公開の席上でありながら、ありとあらゆる暴言をまき散らすトランプが、報道陣をシャットアウトした席上でどんなにひどいことを言っているのか、想像しただけでも寒気がする。

そんな奴が決勝戦まで残る今回の米国大統領選挙の怖さは今まで、初めて経験する恐怖である。

トランプが、クリントンとの差を縮め始めた途端の金融市場の動揺は、常識的な一般人が感じる恐怖の現れだろう。

因みに9月15日現在の選挙専門ウェブ"fivethirtyeight"による候補者の勝利確率はクリントン65%、トランプ35%である。


  • 記事URL
  • はてなブックマーク
DMM.com
DMM.com
CCM香港 海外法人設立Wキャンペーン
トレトレ会員無料登録はこちら
トレトレ公式facebookページ
TRADETRADE Twitter
香港ポスト
マカオ新聞
ビットコイン研究所

最近のブログ記事

月別アーカイブ

▲ TOPへ戻る

スマホサイトを表示