若林栄四 ニューヨークからの便り

若林栄四(わかばやし・えいし)

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
・富の不均衡バブル
・etc

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米株、暴落するとしたら...

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アップルの時価総額が1兆ドルに到達した。

総株数48億2992万6千株なので株価が207.05ドルになると1兆ドル達成と市場筋は計算している。8月3日の引けは208ドル台である。1兆ドルを達成したからどうなのかというと特に意味はない。

ただそこにあるのは、FANG(アップル、グーグル、アマゾン、ネットフリックス、フェイスブック)に対する信仰に近い楽観である。フェイスブックは高値から20%以上下げて、ベアーマーケット(※)入りしているが、これは個別のケースとして、FANG 全体への信頼が揺らいだわけではない。しかし、フェイスブックの急落はこの第2次ITバブル破裂の嚆矢として、後世に記憶されるかもしれない。

この1兆ドル騒ぎは典型的に天井の現象ではないかとみている。

天井の現象といえばアマゾンの創始者ジェフ・べゾスのアマゾンのホールディングの時価換算が1500億ドル(16兆5千億円)をこえたというのも話題になっている。

今年に入って500億ドル増えた。株価の上昇が今年に入って54%、この1年間で80%の上昇である。

第1次ITバブルの時のMicrosoftのビル・ゲイツが1000億ドル(これをインフレ調整すると現在の価値で1490億ドルになるので、ベゾスが史上最高の金持ちであると論ずる人もいる。毎日28百万ドル(31億円)ずつ使わないと、資産が増え続けるなどと人の懐具合を詮索する記事もある。

これも天井で出る話題である。

そう思って日柄を振り返ると1987年のブラックマンデイ暴落からの30.9年の重大日柄が来ている。

この30.9年は米国長期金利の、日柄ではきれいに出ている。

1981年9月30日の金利15.84%の天井からの30年10カ月目の2012年7月24日に1.38%の金利安値を付けて相場は大きく金利上昇に反転している。

大きなところの変化の日柄である。

ブラックマンデイの時は1987年8月25日にNYダウは高値2746ドルを付け、約2か月後の10月20日に1706ドルで底打ちしている。38%の下落であった。

30.9年は正確に言うと30年と47週になる、1987年8月25日の暴落前高値2746ドルからの30.9年は2018年7月20日辺りとなる。

1987年10月20日からの30年と47週は9月14日に終わる週となっている。

もちろん週ベースで正確に出るとは限らないが、おおむね7月終わりから9月終わりあたりのどこでNASDAQの天井、NYダウの3番天井が出てもおかしくない。

NASDAQは、ブラックマンデイ前高値は1987年9月1日の456である。

そこからの30年と47週後は今年の7月27日に終わる週である。

7月25日のNASDAQ高値7933はその日柄であり、市場が待ちかねていた日柄が到来天井を付けたとも考えられる。

NYダウは1月26日の高値26616ドルが天井で、7月26日の戻り高値25587ドルが3番天井で、相場急落に向かうとも考えられる。

相場の天井では社会現象が天井を示唆することが多いが、上記のエピソード類はまさにそれではないか。

縦しんば、天井を見ていないとしても、9月終わりまでの間に天井を見ることはまず間違いないだろう。

相場は暴落警戒である。

※ベアーマーケット bearmarket
弱気、値下がり傾向の市場。「Bear」熊が腕を振り下ろす動作からなぞられている。反対語は牛の突き上げからブルマーケットと言う。

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神の手による介入

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6月28日付のNYタイムズ1面トップは最高裁判事のアンソニー・ケネディの引退であった。

日本と違って、これは大事件である。

ケネディは多くのイデオロギー問題で、9人の裁判官の中で中立的な役割を果たし、最高裁が過度に保守的になることを防いできた防波堤である。

イデオロギー問題で米国が勝ち得てきた、多くの進歩例えば、公民権、人工中絶、ヒューマンライト、公正な選挙などが大きく後退する危機にさらされている。

というのはトランプが指名する次の最高裁判事の候補は、間違いなく保守のイデオロギーで武装した判事になる。

これで9人の裁判官のうちリベラル派は4人、保守派が5人と色分けされることになり、米国の司法は大きく右傾することになる。

しかも、リベラル派の判事のうちブライヤーは79歳、ギンスバーグは85歳である。

米国の最高裁判事に定年はなく、自ら引退するまで仕事を続けることができるが、この二人の老齢者の引退はそう遠くない将来に起こることが考えられる。

2020年までトランプが大統領の座にいることを考えると、これらのリベラルが引退する

後任には保守の判事が指名されることは確実である。

保守派が6対3、7対2で強くなる可能性が強い。

すでにホワイトハウス、上下両院が共和党支配となっている中で、最高裁が保守支配になると、行政、立法、司法の3機関が保守支配となる異例の状態になる。

しかもこの事態の進行は止められない。特に最高裁は、一旦右傾化すると20-30年の時間でこれを覆すことはできない。

進歩派のアメリカ人にとっては耐えられない事態の招来である。

進歩派の牙城であるNYタイムズは、この暗い将来に対する唯一の抵抗の手段は、選挙民による投票行為であると社説で訴えている。

最高裁がだめなら、行政、立法機関で三権分立の実を取るしかない。

したがって、まずその手始めとして、11月の中間選挙で、共和党に一矢報いることが大事である。

もしDIVINE INTERVENTION(神の手による介入)があるとすれば、中間選挙で民主党が下院支配を取り戻し、2020年にトランプの再選を阻止することによって、米国のバランスを取り戻すことになるかどうか。

リベラルにとっては神頼みの数年間となろう。

それにしても、2016年の大統領選挙で大きく間違えた、民主党本部の罪は大きく、これまでの進歩を帳消しにする事態を招いたことは、万死に値する。

一方でトランプはますます傍若無人ぶりを発揮して、怖いものなしの状況である。

この状況をひっくり返すものは、選挙と資産市場の崩壊である。

選挙がだめなら資産市場の崩壊で来るのがDIVINE INTERVENTIONだろう。

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NASDAQ上昇相場の終わり

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NASDAQが3月13日の高値7637を上に抜いてきた。

NYダウもSP500も1月の天井にはるかに及ばないレベルで、NASDAQだけが新値を更新してきた。

この相場の日柄を見ると2000年3月10日のITバブル頂点からの72半期目を過ぎ、6月一杯は73四半期目(36.5単位)の盛り上がって終わる日柄である・ITバブル破裂後の最安値1108は2002年10月10日である。

2002年第4四半期からの15年半62四半期目は2018年4-6月である。ということでこの相場は6月末を越えて新値を更新するのが難しいだろう。

つまり新値を更新して走り出した相場は6月末までに終了して、大天井を示現することになりそうだ。

その6月末までにNYダウは1月26日の高値26616ドルを超えることはないだろう。

SP 500も1月26日の高値2872を超えるのは難しそうだ。

違ったインデックスが一つは高値更新、その他は高値更新せずとなると典型的なベアリッシュ・ダイバージェンス(売りシグナル)となる。

因みにNASDAQの天井をどのあたりまであるかと言うと、73四半期前のITバブル頂点5132にペンタゴンの対角線の長さ3090ポイントを加えた8222と言うのが天井として美しいレベルである。

あるいは大底1108からの黄金分割三角形の上限8195と言うのも美しい。

後3週間で6.7%の上昇と言うのは相場の終わりにふさわしい急騰である。

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トランプ政権のアキレス腱

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トランプが不動産王ではなく嘘つき王だということは、広く信じられている。

ワシントンポスト紙によると、就任してから今週でトランプのついた嘘あるいは誤解を招く発言は3000回を超えたとしている。一日平均6.5回の嘘である。 

それでも彼の熱烈なファンはいささかも揺るがず、引き続き彼のラリーには大勢の人が押し寄せる。

トランプの登場でアメリカという国の嘘に対するトレランス(耐性)が大幅に増加して、国中で嘘をつくことに抵抗がなくなっている感じがする。

61%の国民は、トランプは時々事実を語ると結論づけている。

この嘘は、メディアに対しての嘘なら アメリカ全般の道徳観の低下を嘆くだけで済むが、特別検察官のチームに対しての嘘だとそうはいかない。

特別検察官に対しての偽の供述は、犯罪である。

したがってトランプの弁護士たちは、ムラー検察官の大統領とのインタビューを断り続けている。

NYタイムズが暴露した、特別検察官の49の質問事項に対して、トランプが嘘なしにこたえることはできないと弁護士たちはわかっているからである。

このホワイトハウスの対応に、特別検察官サイドはサピーナ(捜査令状)を裁判官に申請して、大統領を強制的に尋問の席につかせようとする。それに対して三権分立の司法部門である裁判所がどういう判断を下すかが、これからのポイントになりそうだ。

ことは、民主主義の根本である選挙に不正があった可能性は、トランプが考えているよりはるかに大事なことで、裁判所の判断は注目される。

今のままでは大統領が尋問に応じないことで、捜査の進展はないだろう。特別検察官のほうは大体調べ終わったといったところだろう。

次の裁判所へのサピーナの申請がカギである。

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最近の日柄を考える上で大切な数値

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3月の弊社講演会で『36.5の不思議』ということを申し上げた。

36.5の数字は相場の転換点をよく律する数字である。36.5単位でいえば73も重要だし109.5や146も重要である。

なぜ36.5なのかと質問されても困る。

一年はなぜ365日なのですかという質問には誰も答えられないはずである。

宇宙のルールでは1年が365日、100年が36524日と決まっている。

相場の世界でも36.5は理屈ではなく、自然現象としてとらえるべきである。

2000年1-3月を期して、ITバブルが崩壊した。

それから18年たった今年、1月にはNYダウ、3月にはNASDAQが天井を付け、次の大きなバブルが破裂し始めた。

丸18年を過ぎた瞬間の破裂である。18年は四半期で72四半期である。

73四半期目に入った途端に、相場が崩壊し始めたのである。

こうした大事な日柄から始まった相場の崩壊は、大崩壊の始まりである。

一時的なものではない。

米国株がいつまで下がり続けるかを考えていたが、やはり36.5単位ではないかとみるのがこれほどの大相場の崩壊に相応しい。

筆者のガットフィーリング(直観力)で行くと365四半期ではないかと思われる。

365四半期は91.25年となる。

91年過ぎたところからそれに該当する。

ここで二つのポイントがある。

一つは大恐慌前の高値386ドルを示現した1929年9月3日、そのポイントからの91.25年は2020年10-12月となる。

もう一つは大恐慌底値1932年7月8日の40ドルからの91.25年である。

2023年8月-10月となる。

 

2018年1-3月に天井を見た株価が2023年8-10月まで下げ続けるとは考えにくい。

ただ不景気は5年間続くことは十分考えられる。

バブル頂点から、破裂の大底までの時間は大恐慌の場合2年10ヶ月である。

ITバブル破裂の場合、2002年10月の大底までNYダウで2年9ヶ月である。

其れで行くと今回も2年9-10カ月とすると見事に2020年10-12月にはまってくるのである。

この2年9-10ヶ月というのはどういう数字かというと、1ヶ月を28日(月齢で宇宙のルールである)で見た36.5ヶ月は28×36.5=1022日である。それを太陽暦の1年12ヶ月に置きなおすと2年(730日)と292日である。292日は365の0.8倍だから丁度2.8年ということになる。

0.8年は12ヶ月で見ると9.6ヶ月となる。すなわち月齢28日を1ヶ月と置くと、36.5ヶ月は33.6ヶ月、2年と9.6ヶ月ということになり、上記の天井から底への時間2年9-10ヶ月に見事に該当するのである。

この計算で行くと2020年10-12月に米国株が底値を付ける蓋然性は結構有力である。

しかもそれが大恐慌前の高値386ドルからの365四半期目というのは美しい。

2023年8-10月の場合は、2018年1月―3月の天井からの28日月で見た73ヶ月目すなわち太陽暦で67.2ヶ月(5年7ヶ月)の美しい日柄である。

大恐慌底値からの365四半期もこの上なく美しい。

常識的には2020年10-12月が下げ相場のduration(存続期間)として妥当だが、

大恐慌底値からの365四半期は、人為バブルの終わりに相応しいエンディングのような気がする。

因みに、NYダウのチャートを見ると2020年10-12月なら14000ドル、2023年8-10月なら5500ドルとなる。

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