FRB.利上げ、そしてドル高。日銀利上げ、そして円安
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注目の日米両中央銀行による政策決定会合が終わった。市場予想通りにFOMC.、そして日銀政策決定会合に於いて共に0.25%ずつの利上げが決定されたが、為替市場での反応は全く違うものとなった。先鞭をつけた15日~16日に開催されたFOMCでは、全会一致による約3年ぶりの0.25%の利上げと年内あと1回の追加利上げを示唆するタカ派なドット・プロットが示され、市場は素直にドル買いで応じた。
2026年9月21日号

注目の日米両中央銀行による政策決定会合が終わった。
市場予想通りにFOMC.、そして日銀政策決定会合に於いて共に0.25%ずつの利上げが決定されたが、為替市場での反応は全く違うものとなった。
先鞭をつけた15日~16日に開催されたFOMCでは、全会一致による約3年ぶりの0.25%の利上げと年内あと1回の追加利上げを示唆するタカ派なドット・プロットが示され、市場は素直にドル買いで応じた。
これは想定内。
そして17日~18日に開催された日銀政策決定会合に於いても0.25%の利上げが決定され、先週のレポートで指摘した、最もチャンスが大きいとされた、
シナリオ1.
-FRB.、日銀共に0.25%の利上げを行う。
市場は日銀がもしかしたら0.50%の利上げをするかも知れないとの期待を持っており、ドル円相場は再び155円台をトライする。戻り売りのチャンスであろう。
となったのだが、決定会合に於いて高市首相が新たに委員に任命した利上げに慎重なハト派と位置づけられる
2名の委員が据え置きを主張したことで円売りが強まり、又決定会合後の記者会見で植田総裁会見は、“政策の局面が変化した。”とタカ派姿勢を示したものの、具体的な利上げ時期に言及がなく、円売りが優勢となってドル円相場はじり高となり158.05の高値を付けることとなった。

植田総裁は2人の委員が反対票を投じた件に関して、“適切な議論が行われた結果だ。反対票が出たから困るという風には考えていない。”と述べたが、市場の殆どが期待していた今回の利上げ決定が全会一致ではなかった点に関しては、違和感を感じざるを得ない。
片山財務相は、
-秩序ある為替市場の維持に取り組んで行く。
-為替について、今後さらなる協調介入を実施することも躊躇しない。
-各国財務省との緊密なコミュニケーションを維持していく。
-為替や金利でも秩序維持は重要。
と述べたが、まあ二人の委員の利上げ反対は面白くはなかったことであろう。
この1週間を振り返ってみると月曜日は153.44で始まり、153.38の安値を付けた後はFOMC., 日銀政策決定会合を経て金曜日には高値158.05を付けており、値幅4円67銭の大相場となった。
シカゴ・IMM.は先週までのドル安&円高の動きを見て前週から大きく(約88億ドル)ドルを売り越して、9月15日時点で約97億ドルの売り持ちとなった。
久々の大きな円買い(ドル売り)ポジションである。


火曜日の終値は155.12でその後は上述した様に158円台までドル安&円高が進んでおり、順張りが得意な彼らがその後どの様な行動を取ったか興味深い。
我が国個人投資家は若干ドルの買い持ちを減少させてはいるが、20日時点でドル買い64%、ドル売り36%と相変わらずドルに対して強気である。


(外為どっとコム社のホーム・ページ参照。)
伝えられるところによると金曜日、日本時間午後11過ぎにニューヨーク市場に於いて日銀の“レート・チェック。”の噂が流れてドル円相場は157.90から156.80迄1円以上急落した。
“レート・チェック。”とは介入を行う前に、日銀が邦銀に対して“現在、相場は幾らですか?”と尋ねることで、口先介入よりも緊急性が有り、効果は高い。
利上げをしたにも拘わらず、円安になったのでは日銀は兎も角我が国財務省としては面白い訳は無く、先ずは“コスト・ゼロ。”の“レート・チェック。”を行って、本日から始まる我が国での3連休を前にしての円安進行に釘を刺したかったであろうことは理解出来る。
今日から連休が始まったが、邦銀のディーラー諸君に介入に備えての出勤要請が有ったとしても驚かない。
休日での介入は別に驚くべき事でも無く、筆者自身も1985年プラザ合意の時の秋分の日の振り替え休日であった9月24日(月曜日)、そして1991年の正月三が日であった1月3日(木曜日)に介入のお手伝いをした経験が有る。
このシルバー・ウイークとやらの連休中に介入が出るかどうかは知る由も無いが、協調介入までもをやって円安進行阻止を助けてくれたベッセント米財務長官はどう思っているのであろうか?
あれだけ日銀にプレッシャーを掛けて利上げを強要したのは良いが、委員2名が反対して円安が進行したことに対しては、“何やってんだ!”と面白くはないであろう。
ベッセント米財務長官は、“自分には市場にはない非対称な情報(asymmetric information)=(要するに市場が知らない情報。)がある。今や、私が胴元(house)だ。私と反対に賭けたいのなら、ご自由にどうぞ。”と、円売り筋に対して挑発的な言葉を吐き、“もしかして意表を突く日銀の0.5%の利上げも有りか?”と思ったが、それは無かったどころか、2名の委員が“たった”0.25%の利上げさえも反対した。
彼は何を知っているのであろうか?
思いつくのは、かつてこのレポートでも触れた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF.)の運用の基本ポート・フォリオ(資産構成割合)の見直しの本格化である。
利上げ云々は中央銀行マターなので政府(日米財務省。)は深くは関与出来ない。
GPIF.の運用の基本ポート・フォリオ(資産構成割合)の見直しは政府マターであり、ベッセント米財務長官が日本政府から“市場が知らない情報。”を手にしていても、不思議ではない。
6 月時点でのGPIF.の資産は約320兆円で、外国債券が78.8兆円(24.6%)と外国株式81.1兆円(25.33%) だが、現在の25%の許容範囲の下限(債券が20%、株式が19%)まで引き下げられた場合、約31兆円の 円買い要因となる。
GPIF. の投資スタンスは、本邦機関投資家のベンチ・マーク(評価基準)となっており、GPIF.の基本ポートフォリオ(資産構成割合)の見直しには彼らも追随する可能性は高く、本邦発の円・キャリートレードの手仕舞いに繋がる可能性は高い。
ベッセント米財務長官は“外国為替報告書。”や“日米財務相共同声明。”でGPIF.による外国証券の投資に関して“ヘッジ。”(ドル売り&円買いヘッジ。)を促しており、彼にとっては驚くにはあたらない情報、しかし非対称な情報なのかも知れない。
今週のテクニカル分析
今週のテクニカル分析の見立ては上がれば上を見て、下がれば下を見る。
今週のレンジ


ドル円:153.00~158.00
ユーロ円:176.00~181.00

酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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