酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

円、全面高。

2026/09/14

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ドル円はついに155円を割り込み、152円台まで急落。ベッセント米財務長官の発言や高田日銀審議委員のタカ派姿勢に加え、円キャリー取引の巻き戻しも意識され、円高が一段と進んでいる。 来週のFOMC・日銀政策決定会合を控え、ドル円はさらに下値を試すのか、それとも反発に転じるのか――今後のドル円相場を展望する。

先週のレポートで、これまで二回トライして実現しなかった155円割れの可能性について、“二度ある事は三度あるか(結局は155円台を割る事は無い。)、それとも三度目の正直(ついに155円台を割る。)となるか?”と問うたが、結局後者となりドル円相場は一時安値152.89迄急落した。

この2週間で高値160.38から7円49銭の暴落である。

その間、日米長期金利と原油先物価格(WTI.)は大きく上昇しており、何方かと言うと円安要因が多かったが、結果的には対クロスでも円高が進み、円の独歩高の様を呈した。

8月31日9月11日変化
ドル円159.74153.49-3.90%
ユーロ円185.56178.02-4.10%
ポンド円216.42207.63-4.10%
豪ドル円114.46110.06-3.80%
日本10年債2.940% 2.980%+0.040%
米10年債4.754%4.969%+0.215%
WTI.85.76100.05+16.7%

円高進行の背景としてはウォーシュFRB.議長のややハト派的な発言により来週開催予定のFOMC.での利上げ観測がやや後退したことや、高田日銀政策委員による極めてタカ派的な発言により同じく来週開催予定の日銀政策決定会合での利上げ観測が増進した事にもよるが、極め付きはベッセント米財務長官がテキサスのサザン・メソジスト大学のイベントで、

-我々が円相場に介入する際、私は日本政府や日本銀行、日本の政策立案者が何をしようとしているのかを十分に把握している。

-今は私が胴元(the house)だ。賭けたければ私に賭ければ良い。

と言い放ったのだ。

まるで為替市場を賭博場の様な言い方をして驚いたが、実はベッセント財務長官自身が元ヘッジ・ファンドのトレーダーで、為替市場の事を熟知しており、マクロ・ファンドのみならずヘッジ・ファンドまでもがDon’t fight Bessent=“ベッセントと喧嘩をするな。”と一斉に円買いに走ったと思われる。

そしてついにシカゴ・IMM.までもが降参して凡そ81億ドルも売り戻して、9月8日時点では僅かではあるは約9億ドルの売り持ちに転じた。

その後週央に発表された8月の米卸売物価指数がやや上振れたり、米長期金利と原油価格上昇によりドル円相場は一時154.66迄戻したが、今までの下値支持線であった155.00を上切ることは出来ず、逆に上値抵抗線となって週末には再び153円台のLow.迄下げることとなった。

この2週間のドル円相場の動きに対しては、全く違和感を感じない。

寧ろ想定内である。

ところが我が国個人投資家は突然の円高進行に納得が行かないのか、相変わらずドルの買い持ちを保持しており、直近の9月11日付けでは買いが72%、そして売りが28%と大きな買い持ちポジションを保持したままである。

(外為どっとコム社、ホーム・ページより参照。)

興味深いのは、上述した様にドルの反転上昇要因が目白押しなのに、ドル安&円高が進行している事である。

ドル円相場が上がればドルを売りたい人達が居ると言う事であろう。

聞くところによると、この突然のドル安&円安の進行に追い付けずに輸出筋が売り遅れたと言われており、又ファンド勢は親分ベッセントの言う事を聞いて円の買い持ちポジションを構築し始めたらしい。

申し上げておくが、これは“円キャリー・トレード巻き戻し。”のごく一部でしかないと思う。

未だ“大きな流れの変化。”に気付いていない人が沢山居るのではなかろうか?

とは言え、2週間で約7円の下げは大きい。

上手くショートで回した連中の利食いのドル買いが入っても不思議ではない。

そしてそれが先週にも見られた154.66までのHiccup.(しゃっくりで、為替業界では一時的な相場の上げの事を言う。)であろう。

来週は15日~16日にFOMC.、そして17日~18日に日銀政策決定会合が開催されるが、これらが秋に向かってのドル円相場に行方を大きく左右するであろう。

シナリオ1.

-FRB.、日銀共に0.25%の利上げを行う。

市場は日銀がもしかしたら0.50%の利上げをするかも知れないとの期待を持っており、ドル円相場は再び155円台をトライする。戻り売りのチャンスであろう。

シナリオ2。

-FRB.が 0.25%、日銀が0.50%の利上げを行う。

150円台割れを試す。

シナリオ3。

-FRB.は据え置き、日銀が0.25%の利上げを行う。

150円台割れを試す。

そして両者共に会合後のウォーシュFRB.議長と植田日銀総裁の記者会見の内容が重要な物となろう。

両者共に今後の利上げ続行をどの様に正当化するかが注目される。

ざっと見回すと(輸出筋、個人投資家、シカゴ・IMM.、そして長年に渡って円キャリー取引をしてきた得体の知れない連中。)、市場は未だ円を買い切っていない(ドルを売り切っていない。)感じがしてならない。

ほくそ笑んでいるのは、我が国財務省と160円台でショートにした極一部の投機家、そしてマクロ・ファンドであろうか?

今週のテクニカル分析

今週のテクニカル分析の見立てはトレンドは下を見るが、156円を上切ると上昇を見込む。

今週のレンジ

FOMC.と日銀の政策決定会合に大きく左右されるであろうが、
ドル円:148.00~155.00
ユーロ円:173.00~180.00。


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