相変わらず、膠着状態。
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トランプ大統領による停戦交渉進展発言で一時ドル安・円高が進んだものの、その後も米軍とイランの軍事的応酬が続き、中東情勢を巡る不透明感は払拭されなかった。
ドル円相場は159円台を中心とした膠着状態が続くなか、市場は植田日銀総裁の講演や米雇用統計、そして再び高まる為替介入観測に神経質な視線を向けている。
先週のドル円相場は、週初トランプ大統領が“イランとの戦闘終結への合意に向けた交渉は最終段階にあり、ホルムズ海峡は開放される。”などとSNS.に投稿してイラン情勢の好転が期待されて、一時安値158.59を示現したものの、直ぐに米国中央軍が“イラン国内のミサイル発射拠点や機雷設置を試みていた船舶を攻撃した。”と発表し、それに対しイラン 革命防衛隊も“イラン領空に入った米軍無人機を撃墜した。”と表明して相変わらず情勢は不安定のままだと市場は判断して直ぐに159円台を回復した。
但し依然として上値では介入警戒感が強く、高値は159.64に留まり、週を終えてみれば高値159.64、安値158.76の値幅88銭に留まって、前週の高値159.34、安値158.59の値幅75銭からレンジのレベルが多少上がり値幅が多少広がっただけに留まった。
個人的にはこの膠着は15日~16日の予定で開催される日銀政策決定会合迄続くと考えており、今は我慢が肝要と心得る。
今週は3日に予定されている植田日銀総裁の講演と5日に発表される5月の米雇用統計の結果が注目されるが、前者に於いては利上げ機運が高まる次回の日銀政策決定会合を前にして、植田総裁から利上げバイアスの掛かった発言が為されるのか、そして後者に於いては前月の+11万5千人から+9万2千人へと減少が見込まれる非農業部門雇用者数に対して市場がどの様な反応を示すかが注目される。
先週、財務省は直近約1カ月間で11兆7349億円の為替介入を実施したと発表したが、これは月次ベースでは過去最大の介入額となる。
発表直後、片山財務相は、“過度な変動は経済の安定に望ましくない。本日公表した実績が示す通り、我々は『断固たる措置』を躊躇なく実行する準備が常にある。 投機的な動きに対しては、24時間365日、市場を注視しており、必要であればいつでも次のボタンを押す用意がある。”と再びじりじりと進むドル高&円安に対して警鐘を鳴らした。

お手並みを拝見するとしよう。
最近、“ベッセント・ライン。”と言う言葉を耳にする。
これは、米10年債利回りの4.5%を指す言葉で、ベッセント財務長官が就任後、米10年債利回りを4.5%程度に抑えることを重視しているとされたことから、マーケット参加者の間で囁かれ始めた言葉である。
(注:1995年、ドル円相場は80円台を付けた後反転上昇を始め、クリントン政権が対外不均衡是正の為に円安阻止の為に当時のベンツェン財務長官に114~115円辺りで非公式に円安許容上限の目標を設定する様に指示し、当時ベンツェン・シーリングと呼ばれた事を思い出した。)
ベッセント財務長官は、円安や日本国債急落を通じて米国債利回りが押し上げられないよう注視しており、日本側が財政・金融・為替に於いて市場を落ち着かせるメッセージと政策運営を行うことを求めているとされる。
日本側がそれを行えば米国としても日本を助ける事はやぶさかではなく、それが1月のベッセント財務長官主導のドル円相場のレート・チェックに繋がったと理解されている。
この“ベッセント・ライン。”がドル円相場にも当てはまるのではないかと言う意見が有り、それが160~162円とされる。
160~162円を超えるドル高&円安進行を阻止出来れば、円安&債券安(日本長期金利高)の連鎖を断ち切り、それが日本発の米債券安(米長期金利高)を押し止めるであろうと言う考えである。
言い換えれば、ドル円相場の160円〜162円は、米10年債4.5%を守るためのベッセント財務長官の防衛線と読むことも出来るのである。
そしてこれが筆者が期待する、日銀利上げ後の日米協調介入期待の源となっている。
但し、これは筆者の個人的な意見であることをお断わりしておきたい。
ドル円相場は再び159円台を回復して11兆円をも超える介入の効果に疑問視する向きも増えているが、順張りを得意とする投機の雄シカゴ・IMM.と、逆張りを得意とする我が国個人投資家が、全く逆の行為に出ている。
前者は更なるドル高&円安を信じて、ドルの上昇に乗じて(順張り)前週から更に16億ドル買い持ちを増やして5月26日現在で約90億ドルの買い持ちとなっている。


逆に我が国個人投資家はドルの上昇に立ち向かって(逆張り)僅かではあるが前週から1億ドル売り持ちを増やして約10億ドルの売り持ちとなっている。

筆者の感覚ではディーラー諸君は介入期待で僅かにドルを売り持ちにしており、介入が出れば追い掛けて売る気配満々であり、顧客筋は追い掛けて買う気は無いが、下がると買いたい意欲が旺盛と見る。
今週のテクニカル分析
今週のテクニカル分析の見立てはレンジを予想。
160.50を上切れば更なる上昇を、逆に157.50を下切れば更なる下落を見込む。
今週のレンジ


ドル円:155.00~160.00
ユーロ円:182.00~187.00

酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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