12月2日の月曜日から相場の下落がはっきりし始めたようだ。
相場は上がり続けている時は、強気の材料を作って囃すので、材料で相場が動くと誤解している人たちは典型的に失敗する訳だ。
しかし相場の上昇にも限度があり、どこかで行き詰まり反落してくる。
本当はそれだけのことで、相場の自律的上下動が出現するだけのことである。
ところがその時にそれらしい材料が出ることが多く、人々はその材料が相場を動かしたと誤解する。
その典型的な例が今回のトランプ大統領による、米中貿易協議に対する悲観的なコメントである。そもそもマーケットが強く上昇している時に使われた材料が貿易協議に対する楽観的な見方と新聞報道されているから(それも嘘)、その逆のニューズが出た時に逆回転することになり、ますますトランプなどと言うとんでもない男の半言一句がマーケットを動かすことになる。
相場は正しい時間が来ればしかるべく反転する。トランプがいてもいなくても関係なく反転するのである。トランプが次に何を言うかなどと考えるのは時間の無駄である。
さてそのトランプも、NATO では各国首脳の陰口の対象となり、それに怒って急遽帰国すると、ワシントンでは弾劾決議に向けて下院は着々と行動中である。
3か所で出ているトランプの納税を含むファイナンシャル・ディーリングの明細を提出しろと言うサピーナ(召喚状)に対してホワイトハウスは裁判所に苦情を申し立てているが、3件とも控訴審まで行って、全部ホワイトハウスの敗訴、あとは最高裁に最後のお願いをしている状態である。
最高裁では9人の判事のうち4人が同意すれば、この案件を採り上げることになる。
4人に達しないと最高裁はこれを採りあげず、前段階の控訴審の裁定がファイナルとなり、トランプの犯罪記録の宝庫と言われる納税記録、銀行取引などが明らかになる。
一方、4人以上判事が同意し最高裁が採りあげる場合、来年6月が最高裁の1年の終わりなので、6月までに9人の判事の多数決でホワイトハウスの言い分が通るかどうか決まる。
来年6月はトランプの危機の再来である。
来年7月は民主党大会で、民主党大統領候補が決まる。筆者はエリザベス・ウォレンとみているが、いずれにせよ先の大統領選では腐敗の極みであるトランプが再選されることは無いだろう。
少なくとも史上3人目の弾劾決議の対象になることは確かだ。
ニクソンが同じようなスキャンダルに問われた時、弾劾確定まで1年ほどの時間がかかった。トランプもまだ始まったばかりで、そう簡単に無罪放免とはいかないだろう。
この哀れな大統領は包囲網がじりじり狭まっているので焦っており、米中協議の話題などを振りまいて、視線をそらそうとしているのだろう。
まじめにこの人の意図を忖度するのは馬鹿げている。