不適切統計問題が話題になっている。
日経新聞などもなぜ支持率に響かないのかなどと疑問を投げかけている。
SNSなどでそれほど、注目されないのは、『実質賃金』といったキーワードになじみが薄く、安倍首相との結びつきが弱い傾向がその原因としている。
そうかもしれないが、基本的な背景は、日本の国民は現状に満足しているということだろう。
電子空間での炎上が話題になるが、基本は匿名性を盾に身を隠して、嫉妬を爆発させるという卑怯者が多いということだろう。
卑怯者はどのような人間集団でも過半数を占めるだろうし、嫉妬というネガティブ・エモーションも古来人間世界の歴史を規定してきた原動力である。
このネガティブ・エモーションは今や電子空間のおかげで、内にこもることなく、大いに発散することができる。
しかしこの不適切統計問題は、特に人々の嫉妬を掻き立てるような要素に欠けている。
且つ、人々はこのセミ・デフレの状態にそれほど不満を持っていない。
日本という国は、『会社』という幕藩体制に守られて、人々はそこそこの生活水準をエンジョイしている。従業員にそこそこの生活水準を保証するために、企業は存在しているともいえる。
毒にも薬にもならない企業群は、基本的に『存続』が基本命題である。
それはそれとして悪いことではない。ただ『存続』が大事な為に、株主対策や配当政策は2の次である。
そうした社会背景の中で、日本経済新聞などが株式市場の不振を嘆き、家計資産の株式保有への傾斜を盛んに説くことなどは矛盾している。滑稽である。
人々はぬるま湯の幕藩体制にどっぷりつかっている。学生の就職活動を見ても、どの藩に入り、生活の安定を獲得するかという視点が学生の最大の関心事である。
幕藩体制の中で、ありえないことに、株式の大バブルをぶち上げた我が国はこのままでは、株式バブルの再現はありえないだろう。
幕藩体制の崩壊あるいは改革が株式市場の再生のカギだろう。
そのためには幕藩体制を揺るがす大事件が起こらなければならない。
世界恐慌は、日本の再生に不可欠な通過儀礼だろう。