米国の第2次大戦後の経済史で最も重要な事件であったのは、実はあまり知られていないが1968年3月の、金二重価格制の採用である。
1オンス35ドルで固定されていた金価格が、国際収支の赤字で60年代後半には何度もドルから金への逃避の動き―ゴールドラッシュ―がみられた。一生懸命ゴールドプールで支えていたが、ついに1968年3月に固定相場が外れ、民間の金取引は、自由価格となった。
金に対するドルの切り下げの開始である。この時に35ドルから放たれた金はいま1350ドルである。そのあとに、全面的に金とドルを切り離したのがニクソンショック(1971年)である。
この1968年3月の日柄は1941年の金利最安値1.87%からの27年目の黄金分割の日柄であった。
その金二重価格制採用から今年は50年目の節目の日柄を迎える。
1968年から米国はインフレが高まりつつあり、その1968年3月のからの13年半(162カ月)の1981年9月に金利は長期金利10年物で15.84%の高値を付け、インフレのピークを見た。
その1968年3月からの40年半(162四半期)の日柄である2008年9月にリーマンショックが起こり、基本的にはデフレ経済に入ったことになる。
2008年の後半、7月に原油が147ドルの天井を付けて暴落を始めている。リーマショックの2か月前に既に原油はデフレ入りを宣言したことになる。
それ以降原油の動きと、米国株式の動きはほぼパラレルである。
ただ天井を付けたのは原油が2008年7月11日であり、米国株式は2007年10月であった。
しかしそののちは2011年5月の高値、2016年2月の安値、昨年8月からの高騰、今年1月26日の高値と美しく軌を一にしている。
今年1月26日はどういう日柄だったかというと、原油が天井を付けた2008年7月11日からの38.2四半期(黄金分割61.8の補数)であった。
原油が天井を付けてデフレ時代の始まりを告げたのに、株式の方は中央銀行の量的金融緩和で、38.2四半期天井を付けるのが遅れたという風に解釈している。
本来原油の暴落で世界のカネは縮小しており、株価は下落するはずなのに、中銀連合による10兆ドルのおカネの印刷で、株価は下がるべきところを急騰した。
しかし本来もうカネは回らないはずであるのに、2008年32兆ドルだった世界株式の時価総額は2017年85兆ドルまで膨らんでいる。
しかしさしもの株価も原油が天井を付けたところから10年目に崩れだしたということであり、それは1968年3月からの50年目でもある。
原油の天井からの10年は黄金分割18度線上を走った時間が10年であり、水平時間に換算すると9.55年となり丁度38.2四半期に該当する。
これからは株価もデフレに協力する形で、本格的なデフレが世界中で進行するだろう。
今度の株価崩壊は一時的な現象ではない。無理をして支えてきた中銀による介入の失敗の始まりである。今度こそは原油のように株式暴落となりそうだ。