米国で債券王と呼ばれているビル・グロスが、いよいよ米国債券相場の下落(長期金利の上昇)が始まったとコメントしている。
この人は毎月米国雇用統計の時に必ずコメントする有名人で債券ファンドPIMCOの創業者の一人である。
この人の話の良いところは、くだらない誰が売った、だれが買ったという話をしないところである。その意味でマーケットの本質を理解している人間である。
投資家ではなくマーケットが主語の話ができる人である。
今回の話も中国が債券を買わなくなったとか言うくだらない話ではなく、短期金利の上昇に長期金利のまた裂き下落基調は、サステイナブル(継続可能)ではなく、短期金利の方向にさや寄せするのではないかというまともな話である。
しかし本当にそうか。
1981年9月の最高金利15.84%からの34年10カ月目の2016年7月に金利は最低1.31%を記録している。その後2016年12月には2.639%まで上昇を見たが、その後は2.3-2.4%台で推移、この1月に入って2.5%台に上昇、2016年12月の2.639%に迫っている。
問題は今のタイミングであるが、1981年9月の最高金利からの36年目が2017年9月であり、大事な36.5年の時間帯(145四半期)に入りつつある。
つまり36.5単位という一つの相場の終わりの時間帯に入っているということになる。
まだ2016年12月の2.639%も超えていない。その中でもう一度36.5年の節目のタイミングで金利高値をトライしているということだろう。
この金利高の流れが継続するのではなく、ここで盛り上がって再び金利下げに向かうというのが正しい流れだろう。
それが証拠に、為替相場は円高、ユーロ高の流れとなっている。
米国長期金利の流れが間違いなのか、円高ドル安、ユーロ高・ドル安の為替相場が間違っているのか。
ドル円相場でみると、2015年6月の125円のドル天井からの31カ月目がこの2018年1月でそれまでの円安基調が壊れ円高に転換する流れに入りつつあるものと考えられる。
つまり1月に入ってからの若干の円高基調は本物である。
米国長期金利は大きな流れでみると40年半の下げの流れに入っている。
1981年9月の天井からの40年半は2022年3月となる。その40年半の中の36.5年(145四半期)の日柄に向けての一時的な金利反発が今起こっている現象である。
早晩米国長期金利の反転下落が見られるだろう。
ビル・グロスの説は間違いということだろう。さすがのビルも、長期金利の動きを百年単位でみていないということではないか。