蟹瀬誠一コラム「世界の風を感じて」

蟹瀬誠一(かにせ・せいいち)

国際ジャーナリスト/明治大学国際日本学部教授
(株)アバージェンス取締役
(株)ケイアソシエイツ副社長
1950年石川県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米TIME誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。東欧、ベトナム、ロシア情勢など海外ニュース中心に取材・リポート。国際政治・経済・文化に詳しい。現在は『リーダー&イノベーション・賢者の選択』(日経CNBC,サンテレビ、BS-12)、『マネーの羅針盤』(テレビ東京)のメインキャスター。カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。
2008年より2013年3月まで明治大学国際日本学部長。
趣味は、読書、美術鑑賞、ゴルフ、テニス、スキューバ・ダイビングなど。


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野蛮の世紀

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『邪魔者は殺せ』という英国映画が日本で初公開されたのは1951年のことだったが、今まさにそのタイトルどおりのことが現実に起きている。3月に英国で元ロシア情報機関員と娘が猛毒の神経剤で襲撃された事件もそのひとつだ。

3月4日、セルゲイ・スクリパリ(66)とその娘ユリア(33)は大聖堂で有名な英南部の小都市ソールズベリーにあるショッピングセンターのベンチで意識不明になっていることころを発見された。目撃者によれば、ふたりは口から泡を吹き激しく痙攣していたという。現場に駆けつけた警察官1名も重体だ。

犯行に使われた毒物はロシア製化学兵器「ノビチョク」だと判明。専門家によれば、ノビチョクは第3世代の神経剤で、極めて殺傷性が高く遅効性なので毒殺にうってつけだそうだ。

被害者のスクリパリは英国のスパイとして活動したことが理由で禁固13年の判決をロシアで受けたが、2010年の米露スパイ交換によって英国に亡命していた。ロシア政府にとっては明らかに「許しがたい裏切り者」だった。

それにしてもなぜ今頃なのか。その答えは18日のロシア大統領選挙にある。2024年までの長期政権を狙うプーチン大統領にとって今回の暗殺計画は「私に盾突く者はこれからも容赦なく抹殺する」という非情な警告だとみて間違いないだろう。

しかも、その冷血な仕打ちは今に始まったことではない。2006年には元ロシア情報機関員で反体制活動家だったリトビネンコがロンドンで食事中に毒殺されている。犯行にはロシア製の猛毒ポロニウムが混入されたお茶が使われた。ロシアの情報機関FSBの関与は間違いなかったが、当時の英国政府の対応は政治的に弱腰だった。

2013年、英国に亡命しプーチン批判を繰り返していた新興財閥の大富豪ボリス・ベレゾフスキーが英国の元妻の家で首を吊って死亡。英当局は殺人事件として捜査中だ。さらには、ベレゾフスキーの友人でプーチンと不仲だったニコライ・グルシュコフも亡命債のロンドン自宅で不審死を遂げている。

ソールズベリーでの事件後、英国を始め欧米諸国からロシアに対する非難の声が上がった。英警察はロシアと関係する心臓発作や自殺、事故死など過去の不審死14人件の再捜査に着手するという。

しかし、7割を超える圧倒的は得票率で大統領に再選されたプーチンはそんなことはたぶんなんとも思っていない。西側諸国の結束がいまやボロボロに綻び、民主主義も名ばかりの状況になっていることを見透かしているからだ。

ソールズベリーでの暗殺未遂事件は勿論のこと、あらゆる不都合な出来事にロシア政府は一切関与していないと主張して憚らない。クリミア併合、サイバー攻撃、2016年米大統領選挙介入疑惑、シリア民間人虐殺などなど。

歴史を振り返れば、毒物による暗殺はロシアの伝統的手法である。古くは怪僧ラスプーチンが青酸カリを飲まされたし、レーニンはスターリンに毒殺されたという説がある。ヲールズベリーの事件で私が真っ先に思い出したのは冷戦時代にロンドンで起きた暗殺事件だ。

1978年9月7日。ブルガリアの反体制作家ゲオルギー・マルコフはロンドンの名所ウォータールー橋でいつものようにバスを待っていた。すると突然、右足に鋭い痛みが走った。振り返ると傘を拾い上げている見知らぬ男の姿があった。

その夜、高熱で倒れたマルコフは3日後に息絶えている。死因は傘型の銃から発射された有毒物資リシンだった。犯行はソ連国家保安委員会(KGB)の支援を受けたブルガリア秘密警察によるものだった。

まさに「邪魔者は殺せ」なのだ。

21世紀はルールを無くした「野蛮の世紀」だと仏政治学者テレーズ・デルペシュは喝破した。今、その野蛮が世界のあちらこちらで牙をむき始めている。

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