蟹瀬誠一コラム「世界の風を感じて」

蟹瀬誠一(かにせ・せいいち)

国際ジャーナリスト/明治大学国際日本学部教授
(株)アバージェンス取締役
(株)ケイアソシエイツ副社長
1950年石川県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米TIME誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。東欧、ベトナム、ロシア情勢など海外ニュース中心に取材・リポート。国際政治・経済・文化に詳しい。現在は『リーダー&イノベーション・賢者の選択』(日経CNBC,サンテレビ、BS-12)、『マネーの羅針盤』(テレビ東京)のメインキャスター。カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。
2008年より2013年3月まで明治大学国際日本学部長。
趣味は、読書、美術鑑賞、ゴルフ、テニス、スキューバ・ダイビングなど。


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ギリシャ問題以外で、EUが持つもう一つのリスク

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欧州連合(EU)に海から大波が押し寄せ続けている。といっても嵐ではない。不法移民と呼ばれる難民の波だ。

とくに2011年はいわゆる「アラブの春」の影響もあり、人口わずか4500人のイタリア地中海のランペドゥーサ島になんと4万8000人もの難民が流れ着くという異常事態が起きた。その後もアフリカや中東の内乱・貧困に絶望した人々がEU諸国での豊かな生活を夢見て密航船で命がけの逃避行を試みている。

国連によれば、昨年だけでも20万人以上が祖国脱出を試み、過去最悪の3400人以上が死亡したそうだ。今年2月にはリビアから難民らを乗せイタリアに向かっていたゴムボートを含む4隻が悪天候の地中海で遭難し、300人が死亡したと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表している。しかしこれらの数字は氷山の一角にすぎないだろう。スペインの観光地カナリア諸島は浜辺にしばしば身元不明の溺死体が漂着するというのだから。

難民たちの多くがイタリアを目指すのには理由がある。2013年10月、ランペドゥーサ島沖で密航船が沈没しアフリカ難民368人が溺死するという大惨事が起きた。救助活動の不備を批判されたイタリア政府はリビア沿岸まで出向く積極的な海洋捜索救助活動「マーレ・ノストルム(我らが海)」を開始したのだが、皮肉なことにいざとなればイタリア海軍が助けてくれるという期待が難民の数を増やしてしまった。

イタリアに辿りつく難民の数が急増しているもう一つの理由は、地理的に近いリビアの政治的混乱だ。2011年にカダフィ政権崩壊後はイスラム過激派組織「イスラム国」を支持する武装集団の活動が活発化しているという。それでは命がいくつあっても足りないだろう。

難民を助けたいという善良な人もいれば、金儲けのチャンスと考える悪党もいる。密航ビジネスだ。使うのはたいていオンボロ漁船で定員の何倍もの密航者を乗せる。転覆や遭難が頻発するのはそのためだ。毎日新聞記者のリポートによれば、密航料は欧州で難民申請が通りやすいシリア人やパレスチナ人は日本円にして24万~30万円、シリア難民を装う身分証明書が必要なエジプト人は60万円だという。地獄の沙汰も金次第ということだ。

昨年10月、イタリアは「マーレ・ノストルム」を止めてしまい、その代わりにEU15カ国が「トリトン」(Toriton,海神)という作戦を始めた。しかしこの作戦は国境警備の強化と密入国斡旋業者の取り締まりが中心だ。これ以上移民が増えるのは経済的にも治安上も好ましくないというのがEUの本音が透けて見える。それでは失われていく多くの難民の命をいったい誰が救うのか。

今こそ私たちはアテナイ(アテネの古名)の悲劇詩人エウリピデスの言葉を思い出すべきだろう。

「祖国を失うことほど、この世に深い嘆きはない」


出典 : ja.wikipedia

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