蟹瀬誠一コラム「世界の風を感じて」

蟹瀬誠一(かにせ・せいいち)

国際ジャーナリスト/明治大学国際日本学部教授
(株)アバージェンス取締役
(株)ケイアソシエイツ副社長
1950年石川県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米TIME誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。東欧、ベトナム、ロシア情勢など海外ニュース中心に取材・リポート。国際政治・経済・文化に詳しい。現在は『リーダー&イノベーション・賢者の選択』(日経CNBC,サンテレビ、BS-12)、『マネーの羅針盤』(テレビ東京)のメインキャスター。カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。
2008年より2013年3月まで明治大学国際日本学部長。
趣味は、読書、美術鑑賞、ゴルフ、テニス、スキューバ・ダイビングなど。


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一人の日本人として捕鯨を思索する

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ちょうど70歳で亡くなった私の父は質素倹約を本分としていた。そのためか母が鯨肉を牛肉だと偽って食卓に出しても「今日のビフテキは柔らかくてうまい」と嬉々としていた。私も学校給食で鯨肉を食べた記憶がある。だから南氷洋での捕鯨が日本の伝統文化だといわれると素直にそうだろうと子供の頃は思っていた。しかし実際には違うのだ。

今年に入って、オランダ・ハーグの国際司法裁判所が日本の南極海での調査捕鯨を「科学的でない」として中止を命じる判決を言い渡した。この決定に対してマスコミを含め多くの日本人は「捕鯨・鯨食は日本の伝統文化」だとして反発した。しかしそれは調査捕鯨の実態が国民に知らされず情報操作された結果なのだ。

そもそも調査捕鯨はどのようにして始まったのか。1980年代、世界89カ国で組織されている国際捕鯨委員会(IWC)は海洋資源保護を理由に商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を採択した。これに対して日本は異議申し立て権を放棄するかわりに条約が加盟国に認めている調査捕鯨に目をつけた。これが始まりである。

大型野生動物の調査といえば発信器をつけて行動を調べたり偶然に発見された死骸を研究したりするのが通常の手法だ。ゾウの生態を調べるために大量にゾウを撃ち殺したりしない。ところが日本は毎年400~500頭もの鯨を殺して南極海の船上ですばやく解体・箱詰めし、そのまま食肉として販売してきたのだ。売上げは年間ざっと60億円。研究としての科学的成果も乏しく、調査捕鯨の名を語った商業捕鯨だと批判されても反論できない。だから日本政府も判決に従うとした。

ところがそれで一件落着とはならなかった。日本政府は今回の判決で対象とならなかった北西太平洋での調査捕鯨を継続すると発表したからだ。さすがに捕獲頭数は4割以上減らすという。背景には、調査捕鯨を請け負っている団体に毎年億単位の補助金が流れ込み役人の天下りの受け入れ先となっている実態があるからだろう。捕鯨議員連盟もある。典型的な政・官・業「鉄の三角形」の利権構造が出来上がっているのだ。そのため改革派の林農相でもメスを入れにくいようだ。

鯨食が日本の伝統文化だという主張も怪しい。確かに縄文の昔から日本人は鯨の肉を食べていたようだが、今では圧倒的多数が年に一度も鯨肉を口にしていない。鯨肉の需要は低迷し、4000トンから5000トンもの在庫が積み上がっている有様だ。さらに言えば、1930年代から始めた南極海で捕鯨の当初の目的は鯨油をヨーロッパに売って戦費を稼ぐためだったのである。それを伝統文化と呼ぶのは無理があるだろう。

この際、嘘で固めた外洋での「調査捕鯨」は止めて、古来から行ってきた沿岸捕鯨をIWCに認めさせる戦略に切り替えたほうが捕鯨・鯨食文化と日本の国際的な立場を両立できるのではないか。

「鯨は大きすぎて、私の手には負えません」1979年、渡米中に米国人記者から捕鯨に関する厳しい質問がぶつけられたとき、故大平正芳首相はそう発言して場の雰囲気を一瞬にして和らげたという。しかし、今はもうその場しのぎの発言だけでは問題は解決できそうもない。

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