蟹瀬誠一コラム「世界の風を感じて」

蟹瀬誠一(かにせ・せいいち)

国際ジャーナリスト/明治大学国際日本学部教授
(株)アバージェンス取締役
(株)ケイアソシエイツ副社長
1950年石川県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米TIME誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。東欧、ベトナム、ロシア情勢など海外ニュース中心に取材・リポート。国際政治・経済・文化に詳しい。現在は『リーダー&イノベーション・賢者の選択』(日経CNBC,サンテレビ、BS-12)、『マネーの羅針盤』(テレビ東京)のメインキャスター。カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。
2008年より2013年3月まで明治大学国際日本学部長。
趣味は、読書、美術鑑賞、ゴルフ、テニス、スキューバ・ダイビングなど。


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ユーロにとって地中海の小国で起きている大きな躓き

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ギリシャの首都アテネから空路で1時間半ほど飛ぶと紺碧の地中海に浮かぶ小さな島国に到着する。キプロス共和国だ。

キプロスは愛と美の女神アフロディテ(ヴィーナス)誕生の地として知られ、美しいビーチやユネスコ世界遺産に登録された遺跡などを見ようと毎年人口(112万人)の3倍を超える観光客が押し寄せる。

今その風光明美な観光地が世界の注目を集めているのだ。といっても観光地としてではない。

2009年のギリシャ危機に端を発した一連のユーロ危機のあおりを受けて、銀行預金を封鎖するという非常事態が発生したからだ。

国内総生産(GDP)が170億ユーロ余り、つまりEU全体のわずか0.1%しか占めていない小国だが、ユーロ圏の一員だから破たんすればその影響は大きいのである。そのためEUと国際通貨基金(IMF)は協議して緊急に100億ユーロの資金援助を行うことにした。

だだし、それには条件があった。同国の銀行預金に課税することだ。

具体的には、額面10万ユーロ以上の預金を保有している預金者には9.9%、それよりすくない預金には6.75%の1回限りの預金税をかけるというもの。キプロス政府は渋々この条件を受け入れたが、国民は怒り心頭である。それはそうだろう。小額でも利子がつくと思って銀行に預金をしていたら、いきなり税金をふんだくられるというのだから。

議会は有権者の意思を反映するところだから、関連する法案は賛成ゼロであっさりと否決されてしまった。これが世界の金融市場で不安の連鎖を引き起こした。しかしマーケットは何をそんなに恐れたのか。それは伝染病である。

自分の預金もキプロスと同じように「ヘアカット(元本削減)」をされるかもしれないと恐れたギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアなどの預金者が一斉に預金を引き出せば、これまでよりも深刻なユーロ危機がヨーロッパ、いや世界を襲うことになるだろう。もちろん日本にとっても対岸の火事ではない。

慌てた欧州中央銀行(ECB)のトリシェ前総裁が「周囲に伝染する要素ないと信じている」と発言して火消しにまわったのも頷ける。

複雑な裏事情もある。

キプロスの預金税導入に対して、唐突にロシアのプーチン大統領が非難する声明を発表している。なぜならロシアとキプロスの間には強い経済関係があり、ロシアの大金持ちにとってキプロスは資産を“避難”させる絶好の場所になっているからだ。

英国の経済紙フィナンシャル・タイムスは、キプロスの銀行業界が「猛烈な勢いで(ロシアの不正)資金を洗浄していることがうかがえる」と指摘している。

プーチン氏が預金課税を批判する理由がじつはそんなところにあるのだ。EUにしてみれば、大切な血税をロシア人の怪しげな資産を守るために使いたくないというのが本音かもしれない。ユーロ危機打開までにはまだまだ紆余曲折がありそうだ。アベノミクスばかりに浮かれていると、とんだ落とし穴が待っているかもしれないから要注意。

※3月25日時点でキプロスのアナスタシアディス大統領と欧州連合が、10万ユーロ以上の預金に課税、第2位の銀行の処理を条件に支援そすることで合意したが、まだこの先もどうなのるのか分かりません。

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天然資源の革命シェールガスで色めき立つ各国、さて我が国は...

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シェールと聞くと私たち団塊の世代は決まって”アイ・ガット・ユー・ベイブ“などのヒット曲で知られたソニー&シェールの女性歌手シェールを思い出す。

長い髪と独特の風貌が印象的で女優としても活躍した。だが、今世間の注目を集めているのは同じシェールでもシェールガス・オイルだ。それがエネルギー革命を起こすかもしれないというのだから知っておいて損はない。

シェールガス・オイルが米国などに大量に存在していることは専門家の間ではずいぶん前から知られていた。しかし、なにしろ地下数千メートルの岩盤の極小の隙間に閉じ込められている。

採掘は不可能と思われていた。ところが諦めない人間はいるものだ。米国の中小企業が水平掘りや水圧破砕という新技術を開発した。そのお陰で枯渇するといわれていた化石燃料の寿命が400年以上伸びた。まさに革命的なのである。

喜んだのは米国だ。それはそうだろう。天然ガスを中東に依存する必要がなくなるどころが、まもなく世界最大の天然ガス輸出国になれる。米国の貿易収支は改善し、強い米国の復活というわけだ。米国内のガス価格は2008年からわずか1年間で4分の1に急落。同国の消費者にとってもありがたい話ではないか。

訪米した安倍総理はさっそくオバマ大統領に「日本にもシェールガスを売ってね」とお願いした。うまくいけば現在の平均輸入価格より3割程度安くあがる。しかもシェールガス・オイルの採掘や運搬には日本の優れた技術が生かされるから一石二鳥となる。

困るのは米国に天然ガスを売りつけていた中東産油国だ。慌ててヨーロッパ諸国に安値で売り込んでいる。それで窮地に陥るのはこれまでヨーロッパに天然ガスを輸出してきたロシア。こちらは地理的に近い日本に秋波を送っている。まさにシェール革命が世界のエネルギー地図を塗り替えているのである。

2月半ばに安倍総理の特使として森元総理が訪露した。おそらくかねてから気心が知れたプーチン大統領とその話をしたに違いない。北方領土返還も絡めて。

しかし考えてみれば日本の立場はとりわけ良くなっているわけではない。結局は取引相手が代わっても他国頼みであることに変わりはないからだ。日本が積極的に採りにいくのは日本列島の周りに存在するメタンハイドレートだろう。

天然ガスの主成分であるメタンが低温高圧の地下で水分子の中に閉じ込められたものだ。天然ガス消費量の約100年分が埋蔵されているというではないか。

採掘技術もすでに確立されている。領海や排他的経済水域をしっかりと守れば、日本が資源大国になることも夢ではないかもしれない。そういえばシェールの大ヒット曲には”ビリーブ”(信じて)というのがあったはずだ。

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