鈴木雅光の「奔放自在」

金利上昇で気になる住宅ローン金利

2026/08/28

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経済ジャーナリストの鈴木雅光氏が、長期金利の上昇で気になる住宅ローン金利について解説。
政策金利の引き上げが変動金利型住宅ローンに与える影響を、具体的な返済額の変化を交えて検証します。
この記事で分かること:金利上昇と住宅ローンの関係/変動金利型の返済負担/固定金利への乗り換えを考える際のポイント

長期金利の上昇が止まりません。お盆休み明けの8月17日、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時、2.910%まで上昇しました。実に1996年9月以来の水準です。

また、政策金利の見通しを反映しやすいとされる新発2年物国債の利回りも、一時1.685%まで上昇しました。

政策金利とは、各国中央銀行の金融政策を反映させる金利のことで、日本においてはかつて、公定歩合を政策金利としていました。公定歩合とは、日本の中央銀行である日本銀行が、民間金融機関に対してお金を貸し付ける際に適用される金利のことで、基本的に日本国内のあらゆる金利のなかで、最も低い水準のものが適用されていました。たとえば銀行同士が資金を融通する際の金利、短期金融市場における譲渡性預金の金利、手形の金利、コマーシャルペーパーの金利、銀行の住宅ローン金利、企業が資金調達する際に発行する普通社債の金利など、あらゆる金利は公定歩合を中心にして、それに調達サイドの信用リスクなどを加味した金利を上乗せして、世の中の金利が形成されていたのです。

しかし、金利の自由化が進んだことにより、現在は公定歩合ではなく、銀行同士が資金を融通する際に適用される「無担保コール翌日物金利」を政策金利とし、その誘導目標を見直すことにより、日本銀行の金融政策を示してきました。

冒頭で、長期金利が2.910%まで上昇したと言いましたが、同時に政策金利にも上昇の兆しが顕著に見られます。日本銀行は6月に、政策金利をそれまでの0.75%から1.00%に引き上げました。0.25%幅の利上げです。

加えて9月の金融政策決定会合においては、さらなる政策金利の引き上げが噂されています。これまでのパターンだと、政策金利の引き上げは0.25%幅なので、9月に利上げが実施された場合、政策金利は1.00%から1.25%に上昇します。

さて、このように金利水準が上昇すると、預金金利が引き上げられるのはもちろんですが、同時に住宅ローン金利にも影響が生じてきます。

特に問題になるのは、すでに住宅ローンを組んでいる人たちでしょう。全期間固定金利型の住宅ローンであれば、返済が終わるまで利払いは変わりませんが、変動金利型の場合は年2回、定期的に適用金利の見直しが行われます。かつ、変動金利型住宅ローンの場合、政策金利を反映して見直しが行われるので、昨今の政策金利引き上げによる影響が、返済額に影響してきます。

なお、近年に借り入れられた住宅ローンのうち、全期間固定金利型の割合は10%前後、固定金利期間選択型が15%程度と言われており、残りの75%が変動金利型になります。つまり、このところの政策金利の引き上げは、大部分の住宅ローン利用者に影響すると考えられます。

ざっと計算してみました。借入額が5000万円、元利均等返済で借入期間は35年。5年前に借り入れた場合の店頭表示金利は2.475%ですが、平均的な金利優遇を適用してもらい、仮に1.08%で融資を受けているとします。ボーナス払いなしで計算すると、借入当初の月々の返済金額は14万2987円でした。ペアローンを組んでいるファミリーであれば、この程度の返済金額は普通でしょう。

でも、5年前の政策金利は、マイナス0.10%でした。いわゆるマイナス金利時代です。そこから1.25%まで政策金利が上昇した場合、変動金利型住宅ローンの適用金利は、年2.330%まで上昇します。5年前に比べて1.25%も上昇するのです。

これにより、毎月の返済額がどの程度まで上昇するのかというと、16万9760円です。つまり月々の負担額が2万6773円にもなります。

もちろん変動金利型住宅ローンの場合、激変緩和措置として、5年間は毎月の返済額を変更しない「5年ルール」と、5年経過後に毎月の返済額を見直す際、改定前の返済額の1.25倍を上限とする「125%ルール」の2つが適用されますが、現時点では125%ルールは適用されないため、5年後には確実に毎月の返済負担額が2万6773円増える計算になります。

富裕層であればともかく、一般サラリーマン家庭でこの負担増は、決して軽いものではありません。

では、変動金利型から固定金利型に乗り換えたとしたら、どうなるでしょうか。確かに全期間固定金利型を選べば、今後、どれだけ金利が上昇したとしても、月々の返済額は最後まで変わることはありません。

ただ、問題は固定金利型住宅ローンの適用利率が、現時点で変動金利型を大きく上回っていることです。

前述したように、優遇金利を含めて1.08%で借りている人が、残り30年間を全期間固定金利型の「フラット35」の基準金利である3.29%に乗り換えたとします。確かに今後、返済額は一定だとしても、変動金利型で1.08%だった住宅ローン金利が、一気に3.29%まで跳ね上がるのです。

仮に、残り30年間を固定金利型で返済した場合の返済金額は、毎月19万1911円になります。14万2987円が19万1911円まで増えるのですから、これは下手をすると家計そのものがパンクする恐れがあります。つまり現状において、変動金利型から全期間固定金利型に乗り換えるのは得策ではありませんし、変動金利型のままでいると、今後、政策金利がどこまで上昇するか次第ではありますが、金利上昇によって着実に月々の返済負担は重くなっていきます。

住宅ローンを抱えている人にとって今の金利上昇は、かなり悩ましいものであると考えられます。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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