2025年の金融詐欺被害額は800億円
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経済ジャーナリストの鈴木雅光氏が、2025年に被害額800億円超となった金融詐欺の実態に迫ります。増加する投資詐欺の手口や、被害者を狙う「詐欺被害回復詐欺」の危険性を解説します。
この記事で分かること: 金融詐欺の最新被害状況/投資詐欺の見分け方/二次被害を防ぐポイント
過日、警察庁は「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」を発表しました。
生活経済事犯とは、一言でいうと「私たちの日常生活や経済活動の安全を脅かす、お金や取引に絡む犯罪」のことです。具体的には以下の犯罪が、「生活経済事犯」の範疇に含まれています。

・利殖勧誘事犯=「絶対に儲かる」などと言って、架空の投資話や暗号資産(仮想通貨)、海外企業のファンドなどへの出資を違法に持ちかける行為(出資法違反や無登録営業など)。
・特定商取引等事犯=悪質な「訪問販売」や「電話勧誘」など。近年では「屋根が壊れている」と言って不要な工事を契約させる悪質リフォームなどがこれにあたります。
・ヤミ金融事犯=国や都道府県に無登録で貸金業を営み、法定金利をはるかに超える高金利で違法に金を貸し付ける行為。
・知的財産権を侵害する事犯=ブランドの偽物を販売したり、アニメや映画を無断でネット上にアップロードしたりする行為(商標法や著作権法の違反)や、企業の重要な技術情報や顧客データを不正に盗み出す行為(不正競争防止法違反)。
・境事犯=産業廃棄物の不法投棄や、有害物質の違法な排出。
・保健衛生事犯=無許可での医薬品の販売や、基準違反の食品流通など。
このうち「利殖経済事犯」の推移を見ていきましょう。
過去5年の推移を見ると、検挙事件数は減少傾向にあります。2021年のそれは46件で、2024年にかけて49件まで増えましたが、2025年は40件に止まりました。

ただ、これは被害額にも当てはまることですが、単年の数字を見て前年、あるいはここ数年の推移から減少しているからといって、犯罪が減っていることにはなりません。検挙件数や被害額は、事件化し、犯人が検挙されて初めて数字として表れるからです。
この手の犯罪の問題点は、検挙されるまでに時間がかかること、その間に被害が拡大していくことにあります。
しかも、詐取された資金は大抵、犯人たちが使ってしまったり、巧妙に隠匿されたりしますから、犯人が検挙されたとしても、ほとんどの資金は戻ってきません。特に近年においては、インターネットバンキングなどを通じて、何段階にも分けて他人名義の買い取られた口座や、海外口座、暗号資産へと瞬時に分散・送金されてしまいます。そのため警察が犯人を検挙したときには、すでに「手元にも口座にも一円も残っていない」という状態が定説となっています。だからこそ、この手の犯罪に引っ掛かってはいけないのです。

まだ検挙されていないものを含めた利殖勧誘事犯の犯罪件数の傾向を把握するには、「相談受理件数」の推移が適切です。これは「ひょっとしたら詐欺に騙されたかも」と思って警察に相談した人たちの件数ですから、全貌ではないにしても、おおまかな傾向を把握できます。
それによると、2025年の相談件数は3017件もありました。同年の検挙事件数が40件ですから、その差がいかに大きいかが分かります。もちろん、相談された事案のすべてが詐欺であるとは限らないので、多少は割り引いて見る必要はありますが、この数字の差からも、潜在的な利殖勧誘事犯は相当数に上ることが推察できます。
なお、利殖勧誘事犯の相談受理件数の推移を見ると、2016年は1745件でしたが、2025年には3017件まで増えています。遡れるところまでの数字で見ると2016年=1745件、2017年=1314件、2018年=1330件、2019年=1560件、2020年=1806件というように1000件台で推移していましたが、2020年になって3109件へと急増しました。その後、2022年は2584件まで減ったものの、2023年、2024年、2025年と3年連続で、3000件台の推移が続いています。
そして昨今、問題になっているのが二次被害です。ネット上やSNSでは、「詐欺被害金を90%以上取り戻せる」とか、「着手金だけで即座に全額返金請求」などを謳う広告が多数見られます。それらの多くが、弁護士や調査会社を名乗っていますが、これらの文言を信じてはいけません。
これらの中には、お金を失って精神的に追い詰められた被害者の心理につけ込み、高額な着手金だけをだまし取ろうとする「詐欺被害救済を騙る詐欺」の罠が多く混ざっています。この手の詐欺に引っ掛かると、二重にお金を騙し取られることになります。これが二次被害の問題で、国民生活センターなどが最も警戒している手口のひとつです。
生活経済事犯の統計データは、警察庁のサイトから、「統計」と項目をクリックすれば、簡単に見ることができます。「生活経済事犯の検挙状況等について」には、統計データだけでなく、具体的にどのような犯罪だったのかについても説明されているので、一読することをお勧めします。そうすれば、実際にどのような犯罪が行われているのかの見当がつくため、自身に被害が及びそうになった時の自衛策にもつながります。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)
金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。
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