家計金融資産は過去最高額に
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経済ジャーナリストの鈴木雅光氏が、資金循環統計について解説。
流動性預金と定期性預金の状況にも変化とは?
この記事で分かること: 資金循環統計について/流動性預金と定期性預金の状況の変化について
いささか旧聞に属する話で恐縮ですが、先月、日本銀行が2025年12月末の資金循環統計を発表しました。
資金循環統計は3カ月に1度の頻度で発表されるもので、世の中にある「お金(現金、預金、貸出金、株式など)」が、今どこに、どれくらいあり、どこからどこへ動いたのかを網羅したデータです。一言でいうと、「日本中のお金の流れを記録した、巨大な家計簿」のようなものです。よくニュースなどで「家計の保有金融資産が過去最大になりました」などと言われる時は、大概がこの資金循環統計の数値がソースになっていると思って間違いありません。

現在、発表されているデータの最新は2025年12月末のものになります。家計部門の保有金融資産額は総額が2351兆円になり、過去最高額となりました。2025年は3月末、6月末、9月末、そして12月末と4回、数値が発表されましたが、6月以降は家計部門が保有している金融資産の総額が3期連続で増加したことになります。

このように家計部門の金融資産が伸びているのは、株価上昇の影響によるところが大きいと考えられます。金融資産の額を個別で見ると、前年比で株式等、ならびに投資信託の増額が際立っているからです。ちなみに投資信託の残高は2025年9月末が21.1%、12月末が21.3%の増加であり、株式は9月末が19.3%、12月末が22.6%の増加でした。
この数字を見ると、株価の上昇にともなって株式投資を始めたり、投資信託を購入したりする個人が増えているようにも見えます。ただ、この数字には注意点があります。それは、残高が時価で計算されていることです。時価ですから、仮に新規資金で投資信託が買われていなかったとしても、値上がりしさえすれば残高が増加するのです。
では、時価評価の部分を取り除いて、正味のところで資金の流出入を把握するためには、どうすれば良いでしょうか。
それは、残高から調整額という数字を加減することです。この調整額が、値動きによって生じる評価損益部分を表しているのです。
たとえば株式の残高の前年比は、9月末が19.3%増、12月末が22.6%増でしたが、この調整額を差し引きすると、実は9月末の前年比は▲0.38%になるのです。つまり、家計部門は株式を売っていたことになります。
では、12月末はどうだったのかというと、調整額を加味した正味の残高は、前年比で17.25%増でした。
また投資信託はどうだったのかというと、こちらは順調に資金が流入していることが見て取れます。前年比の推移を見ると、次のようになります。
【2024年】
3月末・・・・・・25.78%増
6月末・・・・・・33.42%増
9月末・・・・・・27.85%増
12月末・・・・・・25.46%増
【2025年】
3月末・・・・・・27.27%増
6月末・・・・・・7.85%増
9月末・・・・・・8.63%増
12月末・・・・・・21.55%増
2024年3月末以降、正味の残高が大きく伸びているのは、2024年1月から新NISAがスタートしたからと考えられます。また、2025年6月末、9月末は増加率の伸びが鈍化していますが、これは2025年4月にトランプ関税導入によるゴタゴタで、リスク資産の保有に対して様子見ムードが広まったからと考えられます。

では、預貯金など安定資産の推移はどうなっているでしょうか。
まず現金・預金ですが、全体の残高は1140兆円で、構成比は48.5%でした。これまで長期にわたって現金・預金の構成比は50%を超えていましたが、2025年9月末に50%を割り込み、今回の資金循環統計で2期連続、50%を割り込んだことになります。

現金・預金の中身を詳しく見ると、金利上昇の影響が生じているようです。現金で保有している総額は、12月末が103兆8921億円で、前年比▲1.62%でした。ちなみに直近でピークの額だったのが2022年12月の110兆1039億円です。金利が生まれ、インフレが生じているなかで、現金を握りしめたままでいるのは、さすがにインフレリスクに対して無防備だということなのでしょう。
また、流動性預金と定期性預金の状況にも変化が見られ始めています。
流動性預金の残高が大きく伸びたのは2001年6月末以降で、2003年3月には前年比で40.46%増にまで達したこともありました。2008年6月末以降は増加率が大きく後退して1%台程度だったものの、超低金利政策の影響で定期性預金との金利差が縮小したことから、換金性の高さを優先して、定期性預金から流動性預金に資金を移し替える動きも見られました。
2017年3月末以降は前年比6%台の増加率となり、一時は7.83%増となりました。2020年6月末以降は再び2ケタの増加率となっていますが、これはコロナ対策の助成金、補助金などが流動性預金口座に流入した一時的要因であると考えられます。
そして直近まで、金利が上昇したことによって流動性預金の前年比は低下傾向をたどり、2025年12月末は0.55%増となりました。
一方、定期性預金は2015年9月末以降、40期連続で前年比マイナスが続いていましたが、2025年9月末に1%増、そして12月末が0.92%増となっています。定期性預金の利率が徐々に上昇していることで、安定資産についても現金ならびに流動性預金から、定期性預金へのシフトが始まったと考えられます。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)
金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。
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