長期金利5%の世界
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大和総研が予測する、長期金利5%の可能性。金利上昇が住宅ローンや不動産価格、株式、債券、外貨建て資産に与える影響と、今後の資産運用で注意すべきポイントを解説します。
この記事で分かること:長期金利上昇の背景/住宅ローンや金融資産への影響/金利上昇を見据えた資産運用の考え方

大和総研が「日本の長期金利、2035年に5%台の可能性」というレポートを発表しました。前回のコラムでも触れましたが、2020年8月は0.014%という低水準だった10年国債利回りは、2024年6月に1%まで上昇し、それからわずか2年3か月後の2026年9月には、3%をつけました。
10月後半にかけて、長期金利は2.8%台近傍で推移していますが、物価見通しが不確実であることや、高市政権の財政政策に対する警戒感の高まり、さらには日銀の利上げペースが加速しそうなこと、ターミナルレートの上昇を市場参加者が予測し始めていることから、引き続き長期金利には上昇圧力がかかっていると考えられます。
こうしたなか、大和総研が推計した長期金利は、2030年に3.3~3.6%、2035年には3.5~4.2%に上昇すると試算されました。加えて昨今、上昇しつつある海外投資家による日本国債の保有比率が上昇すれば、長期金利は2035年に5.4%まで上昇すると見られています。
2035年まであと9年。まだまだ先の話であるようにも思えますが、9年なんてあっという間です。しかもその間、ジリジリと金利上昇の影響が強まってきますから、今から金利上昇シナリオを想定して、お金回りのことをどうするべきか、考えておく必要がありそうです。
まず気になるのが負債サイドへの影響でしょう。長期金利が5.4%まで上昇すれば、短期金利の水準も相応に上がってきます。短期金利の上昇に伴って短期プライムレートも上がりますので、変動金利型住宅ローンの金利上昇につながります。現在は比較的、低めの金利で借りられていますが、長期金利が5.4%まで上昇すれば、変動金利型住宅ローンの金利は3%前後まで上昇するでしょう。変動金利型住宅ローンは「5%ルール」や「125%ルール」によって、金利が上昇しても毎月の支払額が急変しないような措置が設けられていますが、金利が上昇すれば、未払い利息が発生するリスクを想定しなければなりません。

また、長期金利の上昇は、固定金利型住宅ローンの新規借入金利に直接、影響を及ぼします。全期間固定金利型住宅ローンの適用利率は6%近傍まで上昇する可能性が高まってくるでしょう。「金利上昇局面では固定金利型の住宅ローンを選びましょう」という意見はありますが、6%まで上昇したら、そう簡単に固定金利型住宅ローンで調達できなくなります。
そして、こうした住宅ローン金利の上昇は、特に都心のマンション価格に影響を及ぼすでしょう。借入金利が0.5%〜1.0%上がるだけでも、借入可能額が数百万〜一千万円単位で目減りするため、実需層の購買力低下が下押し圧力になります。今後気になるのは、特にマンションを中心とした資産価値の目減りです。

金利上昇は資産価格にも影響を及ぼします。前述したマンション価格など不動産価格の下落リスクなどは、まさにその典型例といっても良いでしょう。
また株式市場への影響も考えられます。借入金利上昇と割引率(資本コスト)の上昇により、過大債務企業や将来の成長期待のみで買われていた高PERグロース株はバリュエーション調整を迫られます。高配当利回り銘柄への投資意欲も後退する恐れがありますし、何といっても従前、超低金利の恩恵を受けて物色意欲が高まっていた不動産投資信託(J-REIT)も、厳しい投資環境に直面する恐れがあります。
J-REITは確かに高い分配金利回りが期待できましたが、長期国債で5%超のクーポンレートが期待できるなら、わざわざ価格変動リスクを冒してJ-REITに投資する必要性が無くなってしまいます。
長期国債は償還前に売却すると、債券価格の変動リスクがありますが、償還まで保有すれば額面金額で元本が戻ってくるので、価格変動リスクはJ-REITに比べて低くなります。そうである以上、J-REITよりも長期国債や、変動金利型の10年物個人向け国債に注目する動きが広がってきそうです。
外貨建て資産で運用している人も、金利上昇には注意しておいた方が良いでしょう。近年では、S&P500やMSCI-ACWIなどの株価インデックスに連動する、投資信託で資産運用している人が増えています。これらは海外の株式に投資しているため、為替レートの値動きによる影響を受けます。
金利差に着目した為替の売買は、日本の金利水準だけでなく、海外の金利水準との相対比較によって決まるので、日本の長期金利が上昇したから円が買われると単純に割り切れる話ではありませんが、日本の金利上昇によって円が買われる可能性は高まります。
円高が進めば、外貨建て資産の円建て価格は値下がりします。為替差損をカバーするのに十分な、外貨建て資産価格の値上がりが得られればリターンはプラスになりますが、国内金利の上昇によって海外金利との差が縮小すれば、外貨建て資産には円高による為替リスクが生じる点には留意しておいた方が良いでしょう。
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