
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
今日は久々にワイン・ネタでもお話し致しましょう。
筆者はワインが好きで、"自分飲み用"に結構沢山持っている。自分の家には入り切らず、東京都内やロンドンの倉庫に相当数を置いて貰っている。
ロンドンの倉庫とは、英国王室御用達のBerry Brothers & Rudd(BBR)の倉庫の事で、インターネットで購入して保管して貰い、好きな時に日本に移動出来る仕組みになっている。
急いで飲むつもりは無かったので、何をどれ位持っているかはあまり気にしていなかった。昨年の6月くらいだっただろうかBBRからメールが来た。
「お預かりしているドン・ペリニヨンが盗難に遭いました。実は倉庫ごと大規模な盗難に遭ってその中に貴方様からお預かりした物がありました。でもご心配無き様に。必ずきちんと補填いたします」と言う。
すっかり忘れていた。「では何もしなくていいんですか?」と訊くと、「はい少しお時間を頂きます」との返事があり、4ヶ月後の10月頃に「同じVintage(年)のドン・ペリニヨンを確保致しました。倉庫できちんとお預かり致します」と再びメールが来た。
ところで自分は何を持っているんだろうと訝り、「お預けしているワインのリストをくれませんか?」と頼むと直ぐにリストを送ってくれて、「へーえ、俺そんなワインを持っているのか?」とたまげてしまった。

その中に2006年と2007年のPauillac De Latour Chateau Latour.(ポイイヤック ドゥ・ラトゥール シャトー・ラトゥール)が合計24本あると言う。シャトー・ラトゥールは五大シャトーの一つで、筆者が若い頃よく飲んだ素晴らしいワインである。だけど、24本も買った記憶が無い。実はシャトー・ラトゥールはそんなに安いワインではなく、そんなに沢山買える筈も無いのだが。
「よし、ロンドンにあるこれらのワインの一部を成敗しよう」と思って、ドン・ペリニヨン(写真左)の普通のヤツとロゼを6本ずつ、オーパス・ワン(写真中央上)を6本、ポル・ロジェのサー・ウィンストン・チャーチル(写真中央下)を6本、アンリジロー・フードシェーヌ(写真右)を12本、そしてそのPauillac De Latour Chateau Latour.を12本の、合計48本の移送を頼んで先週到着した。
胸をわくわくさせながら先ず6本入りのシャンパンとオーパス・ワンの箱を開け、「ふむふむ、中々宜しい」と喜んで「Pauillac De Latour Chateau Latour.」の箱を開けた。
ん?違うぞ!下の写真の一番上にちょこんと乗っているのが「Grand Vin.」と呼ばれる「Chateau Latour.」。これが本物だ。そして下にずらっと並んでいるのが「Pauillac De Latour Chateau Latour.」。実はこれはシャトー・ラトゥールのサードと呼ばれる三番目の畑で獲れたブドウを使って作ったワインで、値段は「Chateau Latour.」の約五分の一に過ぎない。
だから24本も買ったんだ!いや、買えたんだ!もうがっかり。
先週の日曜日におっかなびっくりで飲んでみた。午後3時に抜栓して午後5時にデキャンタージュ。(瓶に移し替えて酸化を促す)
そして午後6時から飲みだしたら、まあまあではないか。
良かった!!さあ、飲もう、飲もう!

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
