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ドル円相場のセンチメントの変化|為替ランドスケープ 2022年6月号
公開日:2022年6月01日

ドル円相場のセンチメントの変化

3月まで暫く続いた115円を挟んでのレンジ取り引きから抜け出して5月に入って一気に凡そ20年ぶりのドル高水準となる高値131.34まで上昇し、"135円、いや140円もあり得る。"と騒がれたドル・円相場が調整に転じ、一時126.36の安値まで下落した。


(3月から5月30日までのドル・円相場日足・ローソク足・チャート。)

131.34へのドル・円上昇の背景には日米金利差拡大の思惑(FRBが利上げを進める中、日銀は頑にゼロ金利政策を続ける。)や我が国の貿易収支赤字拡大、(4月で9週連続で赤字を計上した。)そして市場の需給ギャップ(ドルを買いたい人の方が売りたい人より多い。)などが挙げられるが、ここに来て米国長期金利の下落が顕著となり、ドル・円があれよあれよと下げ始めたのだ。


(米国10年債利回り:日足チャート)

米国10年債利回りはFRBの政策金利(Fed Fund Rate)の引き上げを受けて一時3.2%まで上昇してこれがドル円相場の上昇の牽引力となったが、直近は2.7%台まで下落している。

これからFRBの金融引き締め策により短期金利(政策金利)はどんどん上がっていくのにどうして長期金利は下がったのか?

それにはニューヨーク株式式場の株値下落が大きく影響している。

昨年米国でコロナ禍が収まり始めてからニューヨーク株式市場の3指数は連日史上最高値を更新していたが、2月くらいから下げに転じて5月第三週時点で年初からダウは15%、ナスダックは28%、そして S&Pは19%下落した。

今回の米国株の下落はすさまじく、NYダウは8週連続で下落したが、こんなに長期に渡って続落するのは1932年の世界大恐慌以来であり、過去最長であった。

ナスダックとS&Pも7週連続で下落し、こちらはドットコム・バブルがはじけた2001年以来最長である。

先週はこの大きな下げの反動で3指数共大きく値を戻したが、それでも年初からの下げはダウは9%ナスダックは23%、S&Pは13%に達する。

株価が下落すると投資家(投機家も?)はリスク・オフと捉えて所有する既存の債権の圧縮を図り、新規投資を控える。

結果として株や仮想通貨などのリスク資産は売られて株価は下がり、仮想通貨の値段も下がる。

と同時に余った資金は最も安全な資産である米国債券に流れて債券が買われて金利は下がる。

米国金利の動きに最も敏感な通貨であるドル円は、金利が下がったので自ずから下落を余儀なくされるのだ。


(日経新聞記事から転用。)

では債券や為替市場に多大な影響を与えるニューヨーク株式市場はこれからどうなるのか?

先週は前週までの下げの反動で値を戻したが、未だ予断を許さないと思う。

FRBはこれから年末に向けて少なくとも0.75−1.00%の利上げを行うと思われるが、利上げよりも影響が大きいのは6月から始まるFRBによるバランスシート縮小(QT)であろう。

QTはコロナ禍で景気浮揚を図る為にFRBが実施した債券を購入して市場に巨額の資金提供を行なったバランスシート拡大(QE)の反対で、満期の来た債券の買戻しを行わないで市場から資金を吸収する。

余剰資金が流入して大幅に値上がりした株価はその煽りを受けて値下がりするのは当然であろう。

株価下落=リスク・オフの動き=債券購入=金利低下の動きとなれば、ドル円の更なる下落も不思議ではない。

米国の政策金利を決定するFOMC(公開市場委員会)内部で米国経済の先行きに対して警戒感を抱くメンバーが出て来たことも気になる。

インフレ懸念の台頭によりFRBは積極的な利上げとバランスシート縮小を図ろうとしているが、米国経済はそれに耐えられなくてインフレが進行する中、景気が後退すると言うスタグフレーションを警戒しだしたのだ。

スタグフレーションが現実的なものになれば株価は更に下がり、ドルも下げるであろう。

ただ、冒頭に挙げたドル・円相場が急上昇した理由である我が国の貿易収支赤字拡大や需給ギャップを見ると、前者は資源・エネルギー価格の上昇と円安により益々悪化すると思われ、又後者においてもドル高&円安時に起きた強烈なリーズアンドラグズ(輸出業者が売り急いでドルの売り弾が少くなり、逆に輸入業者は買い遅れて買わなければならない弾が沢山存在する。)により、相場が落ち着けばドルが再び買い戻される局面もあろう。

と言う訳で短期的には急上昇したドル・円相場の調整下落もあろうが、何れ再び上昇するのではなかろうか?

FRBによる政策スタンスの変化、そして米国株価の動向に要注意であろう。



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄 さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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