酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

Here we go

2025/05/07

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ドル円相場が日銀の慎重姿勢を受けて急上昇。植田総裁の「ハト派的」発言で円売りが加速し、週末には145円台を記録。トランプ政権は台湾ドルにも注目し、通貨調整の動きが本格化する兆しが見え始めました。

2025年5月7日号

先週のドル円相場は、東京市場がゴールデン・ウイークで参加者数が限られる中、週初は米長期金利の続落に伴って一時安値141.97迄下落したものの、その後は市場予想通りに政策金利が据え置かれた日銀政策決定会合に於いて、経済・物価情勢の展望(展望レポート)では、2025年度、2026年度の実質GDPと消費者物価指数の見通しが前回1月時点から下方修正され、2%の物価安定目標の実現時期は従来よりも1年程度先送りされたことや、会合後の記者会見において植田総裁が「米関税をめぐる不確実性が極めて高い。」として早急な利上げに慎重であるとの発言が『ハト派的』と取られて円売りが台頭し、金曜日には145.93の高値を示現した。

シカゴ・IMMは世界の趨勢に反する日銀の金融引き締め政策とトランプ大統領の円に対する通貨調整を見込んで、空前規模の円・ロング=ドルショート・ポジションを構築しているが、今回の日銀政策決定会合後に多少のポジション調整(円の売り戻し=ドルの買い戻し。)の行動を起こし、それが急激なドル高&円安の動きを助長した可能性は否定出来ないが、今週末発表の5月6日付けの持ち高に顕著な変化が有るかどうかが注目される。

尚、先週末発表された4月29日付けのポジションは殆ど変わらずで、約158億ドルのドルショート・ポジションを保持している。

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個人投資家残高

前週4月28日付け比較
+16億ドル+8億ドル-8億ドル
@142.13@143.73+1.60

シカゴ・IMM

前週4月29日付け比較
-158億ドル-158億ドル0億ドル
@140.88@141.98+1.10

今週になって同じく東京市場が休場で参加者数が限られる中、ドル円相場は自律反落して142円台迄下落した後に輸入決済用のドル需要でゴールデン・ウイーク明けの本日は143円台を回復している。

結局のところ、日米両政府からは筆者が期待した様な為替に関する情報は全く聞かれないが、相変わらず極めて不自然さを感じる。

先週ご紹介した読売新聞のスクープを三村財務官は、「全く、根も葉も無い。」と一蹴したが、筆者にとっては「そんな事は無いでしょうよ。」との思いが強まっただけであった。

恐らく日米財務相会議で、どの部分までマスコミ等に公開するのか、どの部分を非公開にするかを決めた筈であり、今回は為替の話があったとしても、非公開にすることを決めた筈なのに、日本側がその約束を破ったと思わせない為にも、今回の様な大袈裟な否定が必要であったのであろう。

ところで、我々には余り馴染みの無い台湾ドルが5日のニューヨーク外国為替市場で急騰し、前週末比で6%強上昇して1ドル=28台湾ドル台をつけ、2022年4月以来、約3年ぶりの水準となった。

一部では、米国との貿易交渉に伴い、米国が台湾に通貨の切り上げを求めたとの観測が浮上した。

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トランプ政権から、「Here we go !」(さあ、始めよう!)との掛け声が始まった様な気がしないでもない。

余談であるが、先週の赤沢・ベッセント会談に同行した三村財務官の姿は到着したワシントンの空港では見られたが、赤沢・ベッセント会談の会場には姿を現していない。

大方、事務方との話し合いが続いているのであろう。

相変わらず、「FRBの誰よりも経済の事は分かっている。」と嘯く「Tariff man」トランプの言動に翻弄される日々が続くが、筆者はこれからアメリカは厳しい景気後退に見舞われ、物価も上昇してスタグフレーションに陥るものと見ている。

その時「Tariff man」トランプが、それを誰のせいにするかには大いに興味が有る。

「前任者のバイデンが悪い。無能な官僚が悪い。アメリカに不均衡をもたらす諸外国が悪い。」などと言って、自分の悪政を認めることは無かろう。

私事ながら次の日曜日から約1週間アメリカに行き、この目でアメリカの実情を見て来ます。

会う友人達は例外なく共和党員なので露骨なトランプ批判は行わない事は分かっているが、彼等の本音を聞きたいものです。

そう言う訳で来週のレポートは休ませて頂きますので宜しくお願い致します。

今週のテクニカル分析の見立ては、下サイドへのブレークに注意。

今週のレンジ

ドル円:141.00~144.00
ユーロ円:161.00~164.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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