有事のドル買い、そして株安&債券安
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先週のドル円相場は、前週からのドル上昇の流れを受けて週初は159円台を伺う展開となったが、主要7ヶ国が石油備蓄の共同放出を発表すると一時157.27迄下げる局面が見られたものの、一向に進展しないイラン情勢を受けてリスク・オフが進み、有事の安全通貨としてドルが買われ、株と債券が売られる(金利上昇)展開となった。
2026年3月16日号
先週のドル円相場は、前週からのドル上昇の流れを受けて週初は159円台を伺う展開となったが、主要7ヶ国が石油備蓄の共同放出を発表すると一時157.27迄下げる局面が見られたものの、一向に進展しないイラン情勢を受けてリスク・オフが進み、有事の安全通貨としてドルが買われ、株と債券が売られる(金利上昇)展開となった。
下のグラフは先週1週間の主要通貨、日米長期金利、日米株価、そして原油価格のベンチ・マークであるWTI.の値動きを表した物であるが、ドル高(主要通貨安)、債券安(金利高)、株安、そして原油高の動きとなっている事が良く分かる。
| 3月6日終値 | 3月13日終値 | 比較 | 週高値 | 週安値 | |
| ドル・円 | 157.80 | 159.73 | +1.2% | 159.74 | 157.27 |
| ユーロ・ドル | 1.1613 | 1.1414 | -1.7% | 1.1666 | 1.1410 |
| ポンド・ドル | 1.3400 | 1.3221 | -1.3% | 1.3482 | 1.3218 |
| 豪ドル・ドル | 0.7027 | 0.6980 | -0.7% | 0.7187 | 0.6956 |
| 米10年債利回り | 4.138% | 4.282% | +0.144% | 4.282% | 4.101% |
| 日本10年債利回り | 2.160% | 2.240% | +0.080% | 2.240% | 2.160% |
| ダウ | 47,501.55 | 46,558.47 | -2.0% | 47,740.80 | 46,558.47 |
| 日経平均 | 55,620.84 | 53,819.61 | -3.2% | 55,620.84 | 52,728.72 |
| WTI | 90.90 | 98.71 | +8.6% | 98.71 | 83.45 |
今回のイラン戦争(戦争と呼んで良いのか良く分からないが。)はトランプ大統領がイスラエルと結託してイランの核施設除去を目的として一方的に仕掛けたものであるが、指導者であったハメネイ氏を始め主要幹部を殺害し、大規模な空爆により元々無かった制空権を始め、何隻かの軍艦をも撃沈されて制海権も殆ど失ってトランプが豪語した様に、“早々と結着が付く。”と思っていたが、イランによる周辺国のアメリカ軍事施設へのミサイル・ドローン攻撃や、ホルムズ海峡封鎖の恐れなども相まって膠着状態が続く。
原油価格高騰により、アメリカではインフレ進行と景気後退が併存するスタグフレーションが懸念されるが、これは我が国にとっても同じ問題と言える。
また原油価格上昇により、原油産出国でもあるアメリカと、原油の殆ど全てを輸入に頼る我が国ではそのダメージは雲泥の差が有り、これもドル円上昇に拍車を掛けている事は疑いの余地も無い。
戦争の行方は我々には全く読めない。
筆者の様に“意外に早く決着するであろう。”と楽観的に見る人も居れば、“イランが徹底抗戦を続け、ホルムズ海峡の封鎖でも起きれば更なる原油価格の上昇が続き、金融市場の混乱は続く。”と悲観的に見る人も多い。
現在の市場の動きは、後者の意見を表していると見て良かろう。
トランプの脅しにも拘らず、今週17日から18日の予定で開催されるFOMC.での追加利下げ期待は急速に縮まりつつあり、又同じく今週18日から19日の予定で開催される日銀政策決定会合でも政策は据え置かれる事になると思われ、金融政策面でのドル安&円高方向への転換を期待するのは難しくなった感が有る。
とは言え、このまま円安進行が続けば更なる物価上昇が続くことは必至であり、植田日銀総裁は先週、“為替が物価に与える影響は過去よりも大きく、インフレ期待にも影響を及ぼす可能性があることに留意する必要がある。”と述べており、円安に対する追加利上げの可能性に含みを持たせた。
4月27日から28日の予定で開催される日銀政策決定会合で果たして利上げ示唆が行われるのか、大いに興味のあるところである

先週は、ドル円相場が2024年7月振りの高値となる159.74を付けたが、この動きに対して片山蔵相は、
-為替に関して、いかなる時も万全の対応をとる方針である。
-中東情勢受けて、為替を含む市場に大きな変動が生じている。
-混乱状態を最短、沈静化していかなければならない。
-原油価格の高騰が市場に悪影響を及ぼしている。
-為替介入が困難との指摘に対してはコメントを控える。
-米国当局とは日頃より以上に緊密に連絡取り合っている。
と述べたが、市場へのインパクトは殆ど見られなかった。
“お化け。”(介入)は出ると怖いが、出なければ恐る恐るではあるが前に進んでいくのは不思議ではないか?
実際に“お化け。”が出れば皆、キャッと言って逃げ出すのだろうが、未だその気配は無い。
“お化け。”も一番効果の有るタイミングを狙っているのであろう。
随分昔の話であるが、実際に長い間お上の介入(お化け。)にお付き合いして来た筆者は、依然として“お化け。”が出る可能性は極めて高いと信じている。
それを知ってか知らずか、シカゴ・IMM.はドルの上昇に乗じて先週一気に円売り(ドル買い)を進めて前週の約13億ドルの買い持ちから、20億ドルの増加となる約33億ドルの買い持ちとなっている。
彼らは更なるドルの上昇を見込んでいる。


一方、我が国の個人投資家は全く逆の動きを見せて、前週のドルの買い持ち約5億ドルからドテンして8億ドル売り、少額ながら約3億ドルの売り持ちとなった。
彼らは介入期待も有ってそろそろドルが天井を打ち、ドルの下落を期待している模様である。


現在の混沌とした状況では、大きなリスクを取る価値は無いと思うが、個人的には早期のイラン戦争終結と介入頼みで依然としてドル円相場は下がるものと期待している。
トランプさん(初めてさんを付けた。)、片山さん、どうぞ宜しくお願い致します。
今週のテクニカル分析
見立ては更なるドルの上昇を見込むが、毎度言う様に介入には無力である。
今週のレンジ


ドル円:155.50~160.50
ユーロ円:180.00~185.00

酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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