酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

日米中央銀行の政策スタンスの違いが明らかに

2025/08/25

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注目のジャクソン・ホールでの中央銀行による金融シンポジュームが終了した。パウエルFRB.議長は講演で、雇用への“下振れリスクの高まり。”に言及し、政策スタンスの調整が必要になる可能性を示して、9月のFOMC.(連邦公開市場委員会)で利下げに着手する可能性を示唆した。

2025年8月25日号

注目のジャクソン・ホールでの中央銀行による金融シンポジュームが終了した。

パウエルFRB.議長は講演で、雇用への“下振れリスクの高まり。”に言及し、政策スタンスの調整が必要になる可能性を示して、9月のFOMC.(連邦公開市場委員会)で利下げに着手する可能性を示唆した。

昨年のジャクソン・ホールでの講演でパウエル議長は、“いよいよ利下げの時が来た。”と述べてその後の金利低下とドルの下落を招いたが、市場はそれを覚えていたのか、すかさず債券買い(金利低下)とドル売りに走り、ドル円相場は148円台から146円台へと2円近い急落を見せることとなった。

植田日銀総裁は金融政策の方向性には言及しなかったものの、我が国の持続的な賃金上昇圧力に言及して利上げの継続方針に変化がないことを伺わせたことにより、日米中央銀行の政策スタンスの違いが明らかになったこともドル円相場の下落に拍車を掛けた。

昨年、ジャクソン・ホール・シンポジューム後、9月に一時ドル円相場が140円台を割り込む場面が有ったことが思い出される。

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もっとも、パウエル議長は“政策変更に当たってはデータのみに基づいて決定を下す。”とも述べて、市場が急激にハト派的(金融緩和に積極的)になることに対して牽制しており、またトランプ大統領の執拗で理不尽な利下げ要求に対しても無視をする意思を見せた。

只、このトランプ大統領の利下げ要求は尋常一様ではなく、タカ派的(金融緩和に消極的)と見做されていたFRB.理事の解任を要求し、また自分のブレーンでもあり利下げに積極的でドル安論者であり、マー・ア・ラーゴの提唱者であるスティーブン・ミランを次期FRB.理事候補に決定した。

これは正しく中央銀行の独立性を脅かすトランプ大統領の暴挙であろう。

もう何度も繰り返してきたが、この様な愚か者が率いる国の通貨を買う気はしない….

この2ヶ月間、ドル円相場は概ね145円から148円の間を行ったり、来たりのレンジ相場を繰り返していたが、我が国個人投資家はレンジ内でドルが下落すればドルの買い持ちを増やし、ドルが上昇すればそれを売って僅かなドルの買い持ちを保持し続けている。

依然としてドルに対して強気である。

それに対してシカゴ・IMM.は4月頃のピークの凡そ150億ドルの売り持ちから半分以下に縮小させたものの、依然として凡そ66億ドルの売り持ちを保持しており、依然としてドルに対して弱気である。

筆者も、此方の一派に属する。

個人投資家残高残高前週の差為替レート変化
6月30日付+10+7@144.66+0.57
7月7日付+9-1@144.52-0.14
7月14日付+2-7@147.41+2.89
7月21日付+3+1@148.81+1.40
7月28日付+7+4@147.64-1.17
8月4日付+9+2@147.36-0.28
8月11日付+6-3@147.74+0.38
8月18日付+9+3@147.17-0.57
シカゴ・IMM.残高前週の差為替レート変化
7月1日付-111-2@144.00-2.12
7月8日付-101+10@146.04+2.04
7月15日付-88+13@147.77+1.73
7月22日付-90-2@147.38-0.39
7月29日付-75+15@148.54+1.16
8月5日付-69+6@147.09-1.45
8月12日付-62+7@148.13+1.40
8月19日付-66-4@147.87+0.26

トランプ大統領は自分の意に沿わない全ての人の排除を図り、周りにはYes man.しか存在しない。

4月のミニ・トリプル安に仰天したベッセント財務長官のファイン・プレイで金融市場は落ち着きを取り戻して株式市場は連日最高値を更新し、債券市場に於いても長期金利は安定しているが、嵐の前の静けさの様な気がしてならない。

依然として個人的にはアメリカがスタグフレーションに陥り、再びトリプル安となるリスクに対して留意している。

今週のテクニカル分析

見立ては、多少の上への戻しを期待しながら、下値警戒。

今週のレンジ

ドル円:145.50~148.50
ユーロ円:170.50~173.50

ゴールデンアワー:スペシャルゲスト:田代尚機

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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