酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

ニュースのヘッド・ラインに注意

2025/10/27

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自民党と日本維新の会による連立協議が合意に至り、高市早苗氏が女性初となる内閣総理大臣に指名されて“高市トレード。”が再燃し、先週は再び株高&円安が進んでいる。28 日予定の高市・トランプ両氏による初の日米首脳会談では、様々な事項が確認されると思われるが、トランプ米大統領にとってはドル高・円安は不満の種であることは間違いなく、現在の150円を超える円安への言及にも警戒しておきたい。

2025年10月27日号

自民党と日本維新の会による連立協議が合意に至り、高市早苗氏が女性初となる内閣総理大臣に指名されて“高市トレード。”が再燃し、先週は再び株高&円安が進む事となった。

週末の日経新聞とテレビ東京の世論調査によると高市新政権の支持率は74%にも上り、新政権が掲げる“物価高対策が最優先。”にも大きな期待が掛かる。

高市氏が財政拡大と金融緩和を主張して来た経緯から“高市トレード。”なる物が持て囃されて株高&円安となったが、今のところ高市氏からは相場に影響を与える様な目立った発言は聞かれない。

新内閣の財務大臣にはかつて主計官まで勤めあげた片山さつき氏が任命されたが、彼女はかつて“日本の景気が後退したのは円安になったから。”とか、 “ドル円は120円台の時期が長かったので、120円台が実力との見方が多い。”と述べて、物価高の沈静化に向け円高進行が望ましい との考えを表明していた事が有るが、此方も今のところ具体的な発言は無い。

“物価高対策が最優先。”と叫ぶなら、手っ取り早い方法の一つとして為替相場を円高にするのが良いと思うのだが、如何かな?

本日、ベッセント米財務長官と片山財務相との初めての日米財務相会談が行われるが、此処では9月12日に発表された “日米財務大臣共同声明”が再確認されると見込まれる。

9月の共同声明文では“為替レートは市場において決定されるべきことで、過度の変動や無秩序な動きは経済や金融安定に悪影響を与えうることを再確認した。”と当たり障りのない事を確認したが、ベッセント米財務長官は、植田日銀総裁と2月と8月に電話会談を行っており、2 月には“他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある。”と述べ、8 月には“長く続く円安については、日銀がインフレ率や成長率に焦点を当てて金融政策を進めれば、為替レートは自然と調整される。これは植田日銀総裁の見解ではなく、私見だが、日銀は後手に回っており、利上げするだろう。”と述べて、暗に円安是正のための利上げを要請していた。

28 日予定の高市・トランプ両氏による初の日米首脳会談では、日米関税合意や米国への5500 億ドル投資、防衛費増大などが確認されると思われるが、トランプ米大統領にとってはドル高・円安は不満の種であることは間違いなく、現在の150円を超える円安への言及にも警戒しておきたい。

かつてベッセント財務長官は、日米の関税合意の実施状況にトランプ大統領が不満を感じれば、関税率を25%に戻す可能性を示唆しており、TACOS.を得意とする我が儘トランプの発言にも要注意である。

今週は28日~29日の予定でFOMC.、29日~30日の予定で日銀政策決定会合が開催されるが、市場はFOMC.に於いては0.25%の利下げ、そして日銀政策決定会合に於いては金利据え置きを織り込んでいると見られる。

FOMC.後の記者会見でパウエルFRB.議長が市場の期待に反して、これ以上の利下げに慎重な態度を示すか、そして日銀政策決定会合後の記者会見で植田日銀総裁が高市氏の意向に反して利上げに対して一歩踏み込んだ発言をするのかが注目される。

今週、注意すべきニュースのヘッド・ラインを纏めると、

-ベッセント米財務長官による円安阻止の為の日銀に対する利上げ要求が有るのか?

 有れば、ドル安&円高。

-トランプ大統領によるドル高&円安に対する不満が出るのか?

 出れば、ドル安&円高。

-パウエルFRB.議長が更なる利下げに対して慎重になるのか?

 なればドル高&円安。

-植田日銀総裁から我が国のインフレや成長率について楽観的な意見が聞かれるのか?

 聞かれればドル安&円高。

諸々のWhat if ?=(もし、….ならば?)で大いに相場が左右されるのは敵わないが、相変わらず慎重なリスク管理が肝要であろう。

今週のテクニカル分析

見立ては、上値のレジスタンス・レベルを上切ったので更なる上昇を見込むが、テクニカル分析とは関係の無い、上のニュースのヘッド・ラインに留意したい。

今週のレンジ

ドル円:151.00~154.00
ユーロ円:175.50~178.50

ところで、久し振りにドル円相場(青い線)と米10年債利回り(赤い線)の相関チャートを見たが、ドル円相場が大分ドル高&円安に振れ過ぎているとしか思えない。

漏れ聞くところによると、長期金利の低下にも拘わらずレポ金利がF.F.Rate.を超える4.3%の水準で取引されていると言う。

個人的には矢張りドルを買う意欲は毛頭無い。

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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