更に深まる混迷の中、ドル下落リスクにより注意
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先週のレポートのタイトルを“混迷の円相場。”として、ボラティリティーが高くなったドル円相場について書いたが、米政府機関閉鎖の混乱などによるドル安要因と、我が国の政局不安、日銀による利上げ逡巡などで、先週来益々そのボラティリティーが高まっている。
2025年10月20日号
先週のレポートのタイトルを“混迷の円相場。”として、ボラティリティーが高くなったドル円相場について書いたが、先週来益々そのボラティリティーが高まっている。
暫くドル円相場はFRB.による利下げ、それに政府機関閉鎖の混乱などによるドル安要因と、我が国の政局不安、日銀による利上げ逡巡などによる円安要因との綱引きで146~149のレンジ内に留まっていたが、それが高市自民党新総裁の誕生による高市トレードなる物の出現で株高&円安が進み、153.27の高値を付けた。
その後、トランプ大統領が中国政府のレア・アース輸出規制に腹を立て、100%の追加関税を宣言して米中関係悪化懸念が台頭したり、公明党の連立政権からの離脱により高市新総理の誕生に暗雲が立ち込めて高市トレードが後退して、株価は下落してドル円相場は149.38迄急落することとなった。
ところが再びトランプ大統領がTACO.った(TACO.=Trump always chickens out.)トランプ大統領は直ぐに一旦決定した事を自分の都合に合わせて変更する。(日和る。)と揶揄されている。)ことと、自民党と日本維新の会の連立の動きを受けて株安&ドル安の動きは直ぐに反転することとなった。
トランプ大統領は対中関税に関しては “追加関税に持続性は無い。習近平とは上手くやっていける。”と手の平を返したり(APEC.時での米中首脳会談で成るべく自分に有利な立場でいたい。)、一度は仄めかしたウクライナに対してのトマホーク提供を撤回した。(これも予定されている米露首脳会談におけるウクライナ問題に関しての討議で成るべく自分に有利な立場でいたい。)
これは一度脅して相手の見方を見て結局は自分にとって都合の良い条件を引き出す為の彼特有のDeal.(取引)のやり方である。

このTACOS.によりニューヨーク株式市場では株高&ドル高となり、ドル円相場は150円台を回復して週を終えたが、此処2週間強でドル円相場は146.59の安値から153.27迄6円68銭急上昇し、149.38迄3円89銭急落した後に再び150円台を回復と激しい値動き(ボラティリティーの高い値動き)を見ることとなった。
週明けの東京市場ではドル高の流れが続いて一時、高値151.20迄ドル円相場は上昇したが、依然として我が国の新政権樹立に向けた思惑と共に米国内の問題については、より注意を払う必要が有る。
米政府機関閉鎖は4週目へと入ることが見込まれており、ベッセント財務長官が“1 日当たり最大150億ドルの損失をもたらす可能性があると考えている。”と述べている様に、閉鎖が長期化すればするほど経済的な影響は甚大になり、失業問題も更に悪化する可能性がある。
また先週のドル下落の一因ともなった米地銀の信用問題は米銀大手のJP.Morgan Chase.のダイモンCEO.が“ゴキブリを1匹見たら、大抵他にも居るものだ。”と指摘した様に、信用リスクが更に波及する可能性があり、米地銀の経営破綻が相次げば、銀行の貸出態度は悪化してより多くの破綻企業を生み出す。
これらの事を考えると来週28日~29日に開催されるFOMC.での0.25%の利下げは確実で、その後の記者会見でのパウエルFRB.議長の発言がどの程度ハト派的(金融緩和に積極的)なものになるかが注目される。
日銀の政策に関しては、先週田村日銀審議委員、内田日銀副総裁が相次いでタカ派発言を行い、年内の利上げに含みを持たせた。
ベッセント財務長官は円相場について“水準についてはコメントしない。”としつつも“日銀が適切に金融政策を運営し続ければ、円相場も適正な水準に落ち着くだろう。”と述べて暗に利上げを求めており、米財務省は半期為替報告書で、日銀の利上げの遅れが円安相場の一因と指摘している。
一時、日銀の利上げに関して,“阿保や!”と一括した高市氏も、総理の立場からはベッセント財務長官(米国政府)の神経を逆なでする様な迂闊な発言は出来まい。
ボラティリティーが高い状態が続く中、我が国個人投資家は上手く立ち回っている。
基本的にドル・ロング・ポジションを保持しながらドルが下がれば買い、上がればそれを売ると言うトレードを行っているが、10月6日にドル円相場が150円を超えた段階ではドル・ロングに転じて、翌週10月13日の152円台では全て売り払ってスクェアーに戻している。
お見事である。
シカゴ・IMM.のポジションは米政府機関閉鎖の影響を受けてか、此処2週間発表が無い。
ポジション | 終値 | |
---|---|---|
9月22日 | +6億ドル | 147.72 |
変化 | +1億ドル | +0.31 |
9月29日 | -1億ドル | 148.59 |
変化 | -7億ドル | +0.87 |
10月6日 | +11憶ドル | 150.36 |
変化 | +12億ドル | +1.77 |
10月13日 | 0 | 152.31 |
変化 | -11憶ドル | +1.95 |
今週も相変わらずドル安要因と円安要因との鬩ぎあいが続くと思われるが、ドル安要因により注意を払ってドルの下落に備えたい。
今週のテクニカル分析
見立てはトレンド・フォローを示唆しており、ドルが上がれば更なる上昇を、下がれば更なる下落を見越す。
今週のレンジ
ドル円:148.00~152.00
ユーロ円:173.00~177.00



酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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