欧州債務危機は起こるのか?フランスのユーロ離脱と財政リスクを松崎美子氏が解説
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2026年9月3日に配信した「マーケット女史24時」では、視聴者の皆さまから欧州情勢に関するさまざまなご質問をいただきました。
今回はその中から、「フランスがユーロから離脱したらどうなるのか」「欧州発の債務危機は起こり得るのか」という2つの質問について、ロンドン在住の為替ストラテジスト・松崎美子氏が回答します。
2027年に大統領選挙を控えるフランスでは、政治の行方だけでなく、財政赤字や政府債務、国債金利の上昇も市場の注目材料となっています。
フランス政治の変化はユーロ離脱につながるのか。フランス発の債務危機が起きた場合、欧州にはどのような影響が広がるのか。松崎氏の見解を紹介します。
※本記事の回答は、2026年9月3日の配信時点における松崎美子氏の見解です。
フランスがユーロから離脱したら、どうなるのでしょうか?
松崎美子氏の回答
私自身は、フランスがユーロを離脱する可能性は、現時点ではかなり低いと考えています。
質問者の方は、2027年4月に予定されているフランス大統領選挙で、ルペン氏が率いる国民連合が大きな存在感を持つことにより、フランスがユーロから離脱する可能性を想定されたのかもしれません。
しかし、私は「ルペン氏が大統領になること」と「フランスがユーロから離脱すること」を同列には考えていません。
仮にフランスがユーロから離脱すれば、フランス国内だけの問題では済みません。ユーロそのものへの信認が揺らぎ、欧州の金融市場に非常に大きな混乱をもたらすでしょう。
フランスにとってユーロ離脱は、単に通貨をユーロからフランへ戻せばよいという話ではありません。
銀行預金や国債、企業の債務、金融機関が保有する資産・負債などを、どのように取り扱うのかという極めて複雑な問題を伴います。
詳しく説明すると非常に長くなるため、結論だけまとめます。
仮にルペン政権が誕生した場合でも、「ユーロから離脱する」というよりは、EUの政策に対してフランスの主権を強く主張する方向へ進むと考えています。
また、移民政策や財政政策などでEUとの距離を取りながら、「EUの中からEUを変えようとする動き」を推し進める可能性が高いでしょう。
欧州発の債務危機は起こり得ますか?
松崎美子氏の回答
欧州発の債務危機が起きる可能性は十分にあると思います。
ただし、「今すぐ起きる」と考えているわけではありません。その点は誤解のないようにお願いします。
もし欧州発の債務危機が起きるとすれば、その震源地はフランスになる可能性があると考えています。
その理由は、フランスがユーロ圏第2位の経済大国でありながら、政府債務がGDP比で120%に近づき、財政赤字も大きいことです。
さらに、低成長と金利上昇によって国債の利払い負担が増えていることに加え、政治が数年にわたり機能していない点も大きな問題です。
万が一、フランス発の危機が起き、フランス国債市場に深刻なストレスが発生すれば、フランス一国だけの問題では済みません。
その影響は、欧州の銀行、ほかのユーロ加盟国の国債市場、そしてユーロそのものへの信認へと、瞬く間に波及するでしょう。
フランス発の債務危機を見極める4つのポイント
フランスの財政問題が債務危機へ発展するかを見極めるため、今後注目したいのは次の4点です。
・フランス国債とドイツ国債の金利差
・フランスの財政赤字が縮小するか
・政府債務のGDP比がどこまで上昇するか
・財政再建について政治的な合意を形成できるか
特に重要なのは、フランスの財政に対する「市場の信認」です。
危機が表面化するのは、財政指標が一定の水準へ達した瞬間とは限りません。投資家がフランスの財政運営に不安を抱き、国債を安心して保有できないと判断したときに、市場の信認が大きく揺らぐ可能性があります。
ただし、そのような状況になるまでには、まだ時間がかかるはずです。
フランスが財政再建へ向けて政治的な合意を形成できれば、市場の信認が崩れることなく、状況が改善する可能性もゼロではないと信じたいです。
なぜフランス一国の問題にとどまらないのか
フランスは、ユーロ圏第2位の経済規模を持つ国です。
そのため、フランス国債市場に深刻なストレスが発生すると、影響をフランス国内だけにとどめることは難しくなります。
フランス国債を保有する欧州の金融機関に不安が広がり、ほかのユーロ加盟国の国債市場にも売りが波及すれば、最終的にはユーロという共通通貨への信認が問われることになります。
今後の欧州市場を見るうえでは、フランスの財政赤字や政府債務だけでなく、フランス国債とドイツ国債の金利差、財政再建をめぐる政治的な合意にも注意が必要です。
まとめ
・フランスのユーロ離脱リスク:
現時点での離脱可能性は極めて低い。仮に国民連合のルペン政権が誕生した場合でも、離脱するのではなく「EUの中から主権を主張し、政策を変えていく」方向へ進む可能性が高い。
・欧州発の債務危機リスク:
今すぐ起きるわけではないものの、将来的な震源地として財政悪化と政治機能不全を抱えるフランスに警戒が必要。
今後は、独仏の国債金利差や財政赤字・政府債務の推移、そして財政再建に向けた政治的合意に注目しながら、市場の信認が維持されているかを見守っていくことが重要です。
9月3日配信の「マーケット女史24時」もあわせてご覧ください。
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