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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.58
公開日:2022年12月15日

資産所得倍増プランは実現するのだろうか

いささか旧聞に属する話で恐縮ですが、9月にニューヨーク証券取引所で岸田首相がスピーチを行いました。そこではこれからの日本が対応すべき5つの優先課題が示されました。

1、 人への投資
2、 イノベーションへの投資
3、 GX(グリーン・トランスフォーメーション)への投資
4、 資産所得倍増プラン
5、 世界と共に成長する国づくり

ちょっと気になったのが、この5つの重点項目のうち、私たち個人の家計に最も大きな影響を及ぼすと考えられる「資産所得倍増プラン」については、ほとんど言及されなかったことです。

スピーチの内容は首相官邸のホームページに全文が記載されています。それを見ると分かるのですが、資産所得倍増プランについては、「日本には、2000兆円の個人金融資産がある。現状、その1割しか株式投資に回っていない。資産所得を倍増し、老後のための長期的な資産形成を可能にするためには、個人向け少額投資非課税制度の恒久化が必須だ」。と書かれているだけなのです。

これに対して、他の4つの項目についてはかなり詳細に内容が書かれています。ちなみに首相官邸のホームページに掲載されているスピーチ文のうち、以上の5項目の行数を比較すると、

1、 人への投資・・・・・・16行
2、 イノベーションへの投資・・・・・・9行
3、 GXへの投資・・・・・・9行
4、 資産所得倍増プラン・・・・・・2行
5、 世界と共に成長する国づくり・・・・・・8行

となっています。他の項目に比べていかに「資産所得倍増プラン」の内容が薄いのかが分かると思います。

では、資産所得倍増プランは実現するのでしょうか。ここで言われている「資産所得」とは、家計が保有する株式や預貯金、その他の資産から得られる所得を倍増させるということです。

では、家計が保有する株式や預貯金、その他の資産から得られる所得を倍増させるためにはどうすれば良いのでしょうか。単純に株価を押し上げれば良いという話ではないでしょう。大事なのは、家計が得た所得から株式などに流入する資金を増やすことが必要です。

ということは、とりもなおさず国民所得が増えなければ、家計が得た所得から株式などに流入する資金を増やすことができない、ということになります。ところが、国民所得の大半を占めるGDPは、2000年以降の伸び率で見ても年平均0.2%でしかありません。

あるいは、家計の資産所得を増やすために株式や投資信託、預貯金にお金を回すためには、人々が働いて得る雇用者報酬が増えなければなりません。

ところが、三井住友信託銀行の調査月報(2022年11月)の時論で、この点について「2000年以降、雇用者報酬は長らく横ばい圏内に止まり、先立つもの=家計金融資産に流入する資金は90年代後半の半分程度まで減少した。その要因としては、国民所得の伸び悩みに加えて、企業分配率はやや高まる一方、労働分配率は振れを伴いつつ低下傾向になったことが挙げられる」と指摘しています。

ニューヨーク証券取引所での岸田首相のスピーチで、資産所得倍増プランについて、それを実現するためには「個人向け少額投資非課税制度の恒久化が必須」としています。これはNISAの制度改正を踏まえてのことだと推察されますが、いくらNISAの制度を拡充し、表面的に魅力的な仕組みにしたとしても、肝心の原資がなければ積立額を増やすこともできません。絵に描いた餅になってしまうのです。

大事なことは、「人への投資」、「イノベーションへの投資」、「GXへの投資」、「世界とともに成長する国づくり」という、資産所得倍増プラン以外の投資がうまく行き、国民所得が増えた結果、雇用者報酬も増額するという流れが出来て初めて、資産所得倍増プランが機能するということなのです。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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