
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
横浜に美味い物あり。その名を『シウマイ弁当』と言う。
筆者は美食家ではない。(注:美食家。ぜいたくでうまいものばかりを好んで食べる人。グルメ。デジタル大辞泉)
世間で言う『ぜいたくでうまいもの』ばかりを食べているつもりは無いし、むしろ霜降りの牛肉や大トロなどはあまり好きではない。懐石料理もフランス料理も量が苦手で、あまり食べたいとも思わない。
もし神様が「お前は明日死ぬ運命にある。生前良い子であったから死ぬ前に最後の晩餐として好きな物を食べて宜し」。と言われたら躊躇なく「美味しいラーメンと濃い目の赤ワインをお願いします。」と言うつもりである。
筆者が余り好きでない物は、
--さしの入った霜降り牛肉や脂が付いたステーキ。
--いわゆるフルコースと呼ばれるフランス料理。
--これでもかと続々出て来る懐石料理。
--煮物。
--ビール。
大好きな物は
--麺類。夏は冷やし中華かソーメンで、冬はラーメン。
--シャンパン、ワインそして日本酒。(基本的にはビール以外のアルコールは何でもOK)
まあ基本的にはくどくなくてあっさりしている物が好きだ。そして時々無性に食べたくなる物がある。それが崎陽軒のシウマイ弁当である。(シュウマイ弁当ではない。)
月に1~2回は食べたくなって中華街にある崎陽軒の出店に買い出しに行く。我が家から車で15分の距離だ。これは美味しいですよ!もう50年近く食べ続けているが安定の美味しさである。昔は300円だったが、現在は830円らしい。
中身はシウマイが五個、甘辛く煮た筍、鮪の照り焼き、蒲鉾、玉子焼き、鶏のから揚げ、昆布、そして紅ショウガが入っている。あ、デザートとして杏子が一切れ入っているな。先ず辛子の入ったプラスティックの袋を破り五個のシウマイの上に均等に付けて醤油を掛ける。少し余るのでそれを玉子焼きに掛けて準備OK。最後のご飯の一口を梅干しと頂く。
ああ、幸せ。
安定の美味しさと言えば、先週も同じ様な経験をした。
筆者は道楽でニュージーランドのワインを輸入販売しているのだが、先週、札幌での販売促進会に参加した。ゴルフは止めたので、それまでしょっちゅうゴルフをしに出掛けていた札幌行きはおおよそ10年ぶりだったと思うが、札幌と言えば味噌ラーメン。久し振りに二条市場のだるま軒に味噌ラーメンを食べに出掛けた。
ここは「本物札幌ラーメンの元祖」と自ら名乗り、50年前と変わらぬ味を楽しませてくれる。最近は色々と凝ったラーメンが流行りの様だが、変わらぬ古典の味は素晴らしい。美味しかった!
あ、話が変わるが今回のゴルフで得るものがあった。ゴルフを止めた理由は、『飛ばず、寄らず、そして入らず』となってゲームが面白くなくなったからであるが、この歳になると飛ばずは仕方ないのだが寄らず、入らずは悔しくて仕方ない。歳には関係無いからだ。
寄らずの大きな理由の一つはショート・アプローチでシャンク(※)が出るからである。ゴルフをしない人にはチンプンカンプンだろうが、シャンクとはボールがアイアンの根っ子に当たって真っすぐ先の目標には行かずに90度の角度で右に飛び出る現象を言う。
注:シャンク(shank)
ゴルフで、アイアンクラブの頭部と柄の接続部。また、その部分で打ってしまうミスショット。デジタル大辞泉
これが出だすと止まらない。10ヤード先のホールを真っ直ぐ狙ったら右に90度飛び出す。コンチクショーと思って次を打つと、また右に90度飛び出す。下手をすると90度ずつ4回やってぐるりとグリーンを1周したところで頭に来て「俺は止めて帰る!」と言いたいところだがぐっと我慢しダブル・パー(そのホールのパーの数の倍)でそのホールを終える。
原因は色々考えられるが、筆者の場合は右肩が下がってクラブがハンドファーストになってしまってボールがクラブの根っ子に当たる。
分かっている。
面白い事に素振りでは問題無いのに実際にボールを打とうとするとこれが出る。『嫌だなあ、シャンクしないだろうな。』と思って打つとシャンクする。えーい、ちきしょーと思って打つと、またシャンクする。本当に腹立たしい。だからゴルフは止めた。
それで、今回久し振りに学生時代の友人(シングル・プレーヤーで滅茶苦茶上手い)とプレーしたのだがすかさず注意された。
「なして(どうしての北海道弁)右肩下げてハンドファーストにすんのよ?」
自分ではよく分からない。
「お前のはこんなになってるっしょ(なっているでしょの北海道弁)」と言って真似してアドレスすると右肩が凄く下がっている。「これじゃあシャンクするべさ。こうやって右と左の肩をレベルにしてみれ。(右と左の肩を水平にしてみろ)」と言って、クラブで筆者の左右の肩を押さえると確かに右肩が凄く下がっている。
「ええ、こうかい?」と筆者も何時の間にか北海道弁になって、言われた通りに幾つかボールを打ってみるとシャンクしない!スコアも北海道にしてはまあまあだった。北海道のゴルフ場のフェアウェイの芝はティフトンと言う洋芝でねちっこい。ねちっこいからダフるとボールが飛ばずに、いわゆる『チョロ』となる。大体こちらでのスコアよりも10打くらい悪くなるのを覚悟した方がいい。
ふーん、そうだったのか!左右の肩をレベルにして、あまりハンドファーストにしなければいいんだ。俺、過去45年間何をやって来たんだろう?
よーし、ゴルフ復活だ。
我と思わん方はどうぞお申し出下さい。何時でも勝負致しますぞ。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
