
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
先週、道楽で輸入しているニュージーランド・ワインのEscarpmentの販促(販売促進)の為に大阪に出掛けた。お陰様で販促は上手く行った。今回は一緒にワイン商売をしている東京在住の友人と出掛けたのだが、彼が新幹線の切符を手配してくれた。
筆者は横浜在住なので、行きは新横浜~新大阪の切符を手配してくれて、帰りは当日大阪在住の友人と食事をする約束があったので翌日の出発時間がオープンの切符を手配して貰った。
翌日9:46発の『のぞみ』で帰ったのだが、東京で友人と会う約束が出来た為、新大阪駅で東京着に変更して貰おうと思ったら、「このチケットでは新横浜までしか指定席は使えません。」と言われた。「では新横浜~東京の分も足して下さい。」と言うと「たった10分なのに指定席料金が結構高いんです。新横浜から自由席に移った方がよろしいのではないでしょうか。」と言う。その『高い』が如何程かは知る由も無かったが、発車時刻が迫っていたので「あ、ではそれでお願いします。」と言って指定席に座った。
別に誤魔化すつもりは無かったのだが、正直言って「なーに新横浜~東京なんてたかが10分だ。黙って座ってりゃ分かりゃしないだろう。」と思った。ところがどっこい、新横浜を出てものの数分で車掌が来て「お客様、新横浜でお降りではないのですか。」と聞かれたので、新たに購入した新横浜~東京の新幹線チケットと川崎~東京の普通乗車券を見せたら「指定席券をご購入して頂く必要があります。」と言うので「はい、分かっています。では購入します。」と言ったら「うーん、1500円もするんです。」と言う。
別に1500円が惜しい訳では無いが、確かにたかが残り10分の為にそれを払うのは無駄だ。「では自由席に移れば良いんですか?」と聞いたら「いえ、どうせ後10分ですからデッキにお立ちになって頂ければいいのですが、大丈夫ですか?」と気の毒そうに言う。
全く異存は無い。
それで結局 残りの10分をデッキで立って過ごしたが別にどうって事は無い。車掌の親切な対応に感心したのだが、果て、どうやって俺が新横浜迄の切符しか持ってない事を知っていたのだろうか?そう言えば最近新幹線で『切符を拝見致します。』との巡回が無いが、コンピューターで管理しているのだろうな?
お見事でありました。これはお見事な対応であったが、凡そ5年くらい前に逆に新幹線で不愉快な思いをした事があった。
伊豆 修善寺に住む友人が当時3歳になる孫息子を含めてBBQ.・温泉旅行をアレンジしてくれた。行きは伊豆踊り子号で電車好きな孫は大喜び。帰りは時間が合わず、沼津から新幹線で帰ることにした。こちらも「しんかんしぇん!」と孫は大喜び。
新幹線の指定席はガラガラで、周りには誰も居ない。実は『3歳以下はタダ』と思って孫の料金は払っていなかった。(悪気は無かったが、只の無知による誤解であった。)
孫を隣に座らせていると車掌が検札に来ていきなり「子供さんは膝に乗せて下さい。」とつっけんどんに言って来た。こちらは席が空いて子供は3歳以下なので何が悪いのかと思って、「だってこんなに空いてんじゃねーかよ。小さな子供の前で大声を出させんじゃねーよ!」と怒鳴った。
車掌は憮然として「膝には乗せないんですか?」と言う。「乗せねーよ!」と突き放すと、どう言うわけかそのまま引き下がって2度と帰ってくることは無かった。事の成り行きを見ていた周りの人に「酷い奴ですよね、こんなに空いてんのに。」と言うと何だか微妙な反応が返って来て、只のクレーマー親父と思われたか、まあいいわいと思ってその経緯を娘に話すと、「お父さん、3歳以下は乗車券はタダだけど指定席券は買わなくっちゃいけないんじゃないの?」と言う。
ん?
急いでインターネットで調べると確かにそうだ。
だけどさあ〜、だったら「お子様を膝に乗せるか指定席券をお買い求め下さい。」と言えば良いだろうに。3歳児の指定席券なんてたかがしれたもんだろう!喜んで払うぜ!
後から申し訳無いとは思ったが、同じJRの車掌でも随分対応が違うもんだな。
いかん、いかん。人間、歳を取ると段々丸くなると言うが、こちとら段々とんがって来て直ぐに腹が立つ。
テレビを見ていて
「何だ、この女。キッタネー格好してしてやがんなあ!」
「何だ、このアナウンサー、気に触る声を出しやがるなあ!」
「何だ、最近のテレビはクソ面白くない番組ばかりだなあ!」
そしてカミさんが言う。「煩いなあ。死んだおじいちゃんとそっくり。家に居ると煩いから、偶には外で食べて来てよ!」と。かくして私は堂々と外食ばかりしているのであります。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
